吉屋強指名手配事件|足立区綾瀬の19歳男性殺害、27年続く重要指名手配

公開日 2026年3月6日
最終更新 2026年8月28日

事件ステータス

発生年月日
1999年
都道府県
東京都
事件分類
少年犯罪 / 未解決事件 / 殺人事件
事件状況
未解決

1999年6月4日、東京都足立区綾瀬五丁目で男性2人が十数人の集団に襲われ、うち19歳の男性が刃物で刺されて死亡した。警視庁は暴走族同士のトラブルを背景とする事件として捜査し、一連の事件で15人を検挙した。

ただ一人、主犯格と位置付けられた吉屋強の身柄は確保されていない。事件から27年が過ぎた2026年8月現在も、吉屋は警察庁の重要指名手配被疑者に掲載され、警視庁は国外逃亡と国内への再潜伏の双方を想定して情報提供を求めている。

綾瀬五丁目マンション敷地内殺人事件の基本情報

項目内容
発生日1999年6月4日
場所東京都足立区綾瀬五丁目のマンション敷地内・付近路上
被害男性2人が襲撃され、19歳男性1人が死亡
指名手配吉屋強
事件当時の年齢21歳
中国名麦振強(バク・シンキョウ)
捜査状況一連の事件で15人を検挙、吉屋は未逮捕
現在警察庁指定重要指名手配被疑者

十数人が男性2人を襲い、19歳男性が死亡した

警視庁が公表する容疑事実によると、吉屋は他の十数人と共謀し、綾瀬五丁目のマンション敷地内とその付近の路上で二人組の男性を襲撃した疑いが持たれている。発端について警視庁は、暴走族同士のトラブルだったとしている。

襲われた男性の一人は当時19歳。刃物で刺されて死亡した。多数が関与した事件だったが、捜査で15人が検挙される一方、警視庁が主犯格とみる吉屋は逃走を続けた。

警視庁が主犯格として追う吉屋強

吉屋は1977年7月21日生まれ。事件当時21歳で、1998年に撮影された写真が現在も公開されている。国籍は日本で、警視庁によれば元は中国籍で1997年に帰化した。中国名として「麦振強(バク・シンキョウ)」も手配情報に記載されている。

身体的特徴は身長約172センチ、当時の頭髪はちぢれ毛、額には1998年ごろの円形状の傷痕があるとされる。出生地は中国遼寧省東溝県、1999年当時の居住地は東京都葛飾区亀有五丁目と公表されている。

事件当時の写真だけでなく、加齢後のイメージも公開

逃走が長期化したため、警視庁の手配ページには事件前年に撮影された21歳当時の写真と、40歳ごろを想定したイメージが並ぶ。事件発生時の外見だけで照合することが難しくなったためだ。

警察庁の重要指名手配一覧でも吉屋は殺人容疑で掲載されている。令和7年版では48歳とされ、見立真一、小暮洋史らと同じ重要指名手配被疑者の一覧に名前が残る。

警視庁は事件後に中国へ出国した可能性を示す

警視庁は関係者の話を基に、吉屋が事件後に日本を出国し、中国・大連近辺へ逃亡した可能性が高いとの見方を公表している。国外へ出たという見立てから、この事件は警視庁の「国外逃亡被疑者」の公開捜査一覧にも掲載されている。

ただし、捜査は中国だけを対象としているわけではない。警視庁は、すでに日本へ再入国し、国内に潜伏している可能性も十分にあるとしている。現在地を特定したという公表はなく、国内外の双方を視野に捜査が続く。

「大連近辺」は現在地の確定情報ではない

公開手配で示される大連近辺への逃亡は、関係者の話などから警視庁が示した捜査上の見立てである。長い年月が経過している以上、その地域に現在もいることまで確認された情報ではない。

そのため警視庁は、目撃情報だけでなく、現在の居場所に関する情報や吉屋について聞いたうわさも受け付けている。加齢で容貌が変わっていることを前提に、中国名や額の傷痕、過去の居住歴など複数の特徴が公開されている。

15人が検挙されても、主犯格とされる人物が残った

この事件では、集団襲撃に関与した被疑者15人が検挙された。複数人による事件では、個々の参加者の役割や行為を分けて捜査する必要があるが、吉屋について警視庁は現在も「主犯格」と明記している。

一方、吉屋は逮捕されていないため、本人の供述や弁護側の反論を含む刑事裁判は行われていない。警察が公表する容疑事実と、裁判所が有罪判決によって認定した事実は同じではない。

公開捜査では「見た」「居場所を知る」以外の情報も求めている

警視庁が情報提供の例として挙げているのは、現在の目撃や居場所だけではない。「吉屋についてのうわさを聞いたことがある」といった断片的な情報も対象としている。逃走が長期化した事件では、一つの目撃だけで人物を特定するのではなく、交友関係や別名、移動歴などを積み重ねる必要があるためだ。

事件当時の住所として公表されている葛飾区亀有五丁目、出生地の遼寧省東溝県、中国名の麦振強といった情報もそのために残されている。国外逃亡の可能性が高いとの見方と、日本国内へ戻った可能性を同時に示している点に、この事件の長期捜査の難しさが表れている。

2010年の法改正で殺人罪の公訴時効が廃止された

事件発生から長期間が過ぎても、殺人罪の公訴時効によって捜査が終わる状態にはなっていない。2010年4月27日の刑事訴訟法改正で、殺人や強盗殺人など「人を死亡させた罪のうち死刑に当たるもの」の公訴時効は廃止された。

改正は施行前に起きた事件でも、その時点で時効が完成していないものに適用される。1999年に発生した本件は改正時点で旧制度上の時効が完成しておらず、経過年数だけを理由に刑事責任の追及ができなくなる事件ではない。

「主犯格」という表現は警視庁の容疑事実に基づく

警視庁の公式ページは吉屋を事件の「主犯格」としている。ただし、これは指名手配段階の捜査機関による位置付けであり、刑事裁判の有罪認定ではない。現在まで本人が逮捕・起訴されていない以上、公判で証拠を争い、裁判所が吉屋の具体的な行為を認定する手続は行われていない。

一連の事件で15人が検挙されていることも、吉屋本人の刑事責任が確定したことを意味しない。長期指名手配事件を読む際には、警察が公表している容疑と、確定判決で認定された事実を区別する必要がある。

2026年8月現在も重要指名手配が続く

2026年8月現在、警視庁の公開捜査ページは吉屋を「今なお逃走を続けています」として掲載し、警察庁も重要指名手配被疑者として公表している。長期未解決となった現在も、手配そのものは解除されていない。

情報提供先は警視庁綾瀬警察署。事件当時の写真だけではなく、氏名、中国名、身体的特徴、過去の居住地などを含めた情報が手掛かりとして示されている。

参考資料・出典

  • 警視庁「綾瀬五丁目マンション敷地内殺人事件(足立区内殺人事件)」
  • 警察庁「警察庁指定重要指名手配被疑者1(令和7年)」
  • 警視庁「指名手配」
  • 法務省「公訴時効の改正について」

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