廿日市女子高生殺害事件|北口聡美さん殺害から約13年半、指紋とDNA型が鹿嶋学を特定

公開日 2026年10月1日
最終更新 2026年8月31日

事件ステータス

都道府県
広島県
事件分類
性犯罪 / 殺人事件

14年近く止まっていた捜査を動かしたのは、事件直後から保管されていた指紋とDNA型だった。2004年10月5日、広島県廿日市市の住宅で高校2年生の北口聡美さん(17)が刺殺され、祖母も刃物で襲われて重傷を負った。家にいた妹は男を目撃し、捜査では似顔絵が公開されたが、被疑者の特定には長い時間を要した。

2018年4月、別の暴行事件で警察が鹿嶋学から採取した指紋が廿日市事件の現場資料と一致し、DNA型も一致した。鹿嶋は殺人容疑で逮捕され、裁判では起訴事実を認めた。2020年3月18日、広島地裁は求刑通り無期懲役を言い渡し、双方が控訴しなかったため確定した。

事件の基本情報

発生日2004年10月5日
場所広島県廿日市市
被害者北口聡美さん(17)死亡、祖母が重傷
逮捕2018年4月13日
被告人鹿嶋学
主な証拠現場資料と一致した指紋・DNA型
一審2020年3月18日 広島地裁・無期懲役
確定双方が控訴せず無期懲役確定

学校を早退した北口聡美さんが自宅で襲われた

事件は平日の午後に起きた。北口さんは学校を早退して自宅の離れに戻っており、妹も体調不良で学校を休んでいた。物音を聞いた祖母が離れへ向かったところ、祖母も刃物で襲われた。妹は現場から逃げる途中で男に追われ、のちにその特徴を警察へ説明した。

祖母は一時意識不明となったが生存した。現場では男のものとみられる血痕などが採取され、妹の証言をもとに似顔絵が作られた。県警は長期にわたって情報提供を呼び掛けたものの、当時の聞き込みや目撃情報だけでは鹿嶋へたどり着かなかった。

現場の指紋とDNA型が、2018年の別件捜査で一致した

転機は2018年4月だった。山口県内の暴行事件で鹿嶋が警察の捜査対象となり、その際に得られた指紋が廿日市事件の現場に残されていたものと一致した。さらにDNA型も一致し、事件から約13年半後の4月13日に逮捕された。

長期未解決事件で決め手となったのは、事件直後に採取された客観証拠が保管され続けていたことだった。新たに取得された人物情報を過去の現場資料と照合できたことで、長年接点が見つからなかった人物と事件が結び付いた。

鹿嶋は殺人・強姦致死・殺人未遂などの起訴事実を認めた

広島地裁の裁判員裁判で鹿嶋は、殺人、強姦致死、殺人未遂などに問われた。初公判で起訴事実を認め、公判の中心は犯人性ではなく、なぜ廿日市へ来て北口さんの自宅へ侵入したのか、犯行がどのような経過で拡大したのか、そして量刑をどう定めるかへ移った。

被告人質問では、事件当日に勤務先の寮を離れて原付で東へ向かい、途中でナイフを購入した経過や、北口さんを見かけて性的な目的を抱いたことなどが供述された。供述内容は裁判上の証拠として検討され、被害者側も法廷で意見を述べた。

広島地裁は求刑通り無期懲役を言い渡した

2020年3月18日、広島地裁は鹿嶋に無期懲役を言い渡した。検察側の求刑も無期懲役だった。判決後、検察・被告側のいずれも控訴せず、一審判決がそのまま確定した。

事件発生から逮捕まで約13年半、判決確定までは約15年半を要した。上級審で結論が変更された事件ではなく、保存された指紋・DNA型による被疑者特定と、その後の裁判員裁判によって刑事手続が終結した。

家族は「犯人が分からない時間」を13年以上過ごした

事件後、北口さんの家族は長期間にわたり情報提供を呼び掛けた。妹は犯人を目撃した人物として記憶を失うことへの不安を抱え、祖母は重傷から回復した後も孫を失った現実と向き合うことになった。

逮捕後の公判では、家族が被害後の生活や喪失について語った。長期捜査が終わったことと、被害が回復することは同じではない。判決は刑事責任に区切りを付けたが、家族にとっては事件後の時間が続いている。

犯行後、鹿嶋は東京方面へ逃走し、その後山口県へ戻った

公判での供述によれば、鹿嶋は犯行後に原付で現場を離れ、東京方面へ向かった。所持金が尽きるなどした後、知人から送金を受け、最終的には山口県の実家へ戻った。

事件後に自首することはなく、長年会社員として生活した。2018年の別件暴行がなければ、警察が鹿嶋の指紋を新たに照合する機会は生まれなかった可能性がある。

凶器として使ったナイフについても、公判で供述した

鹿嶋は事件前、山口県を離れて移動する途中で折りたたみ式ナイフを購入したと供述した。公判では野宿などに使うつもりだったとの説明と、北口さん宅へ侵入した後にそのナイフを用いた経過が審理された。

事件後、鹿嶋はナイフを実家へ持ち帰ったとも供述している。裁判員裁判では、犯行当日の準備、偶然見かけた北口さんへの接近、犯行後の行動が一連の時系列として確認された。

長期捜査では似顔絵と情報提供の呼び掛けが続いた

事件直後、妹の証言から作られた似顔絵が公開され、広島県警は現場周辺や通学路で聞き込みを重ねた。発生から半年の時点でも多数の捜査員が投入され、情報提供を求める活動が続いていた。

それでも鹿嶋の名前は捜査線上に浮上しなかった。2018年の逮捕は、目撃情報だけでなく、事件当時の現場資料を長期間保管し照合できる状態にしていたことが結果につながった。

参考資料・出典

関連事件

同じテーマの書籍を探す

この事件に関連するテーマから、書籍・資料をまとめて確認できます。