品川製麺所夫婦強殺事件|謝依俤の犯行経緯

公開日 2026年3月12日
最終更新 2026年7月31日
カテゴリー 2000年代 死刑

品川製麺所夫婦強殺事件は、2002年8月31日未明、東京都品川区の製麺所兼住宅で、大家夫婦が元入居者の謝依俤に殺害され、現金や貴金属を奪われた強盗殺人事件である。裁判では、謝依俤に殺意があったか、犯行が計画的だったかが争われましたが、東京地裁、東京高裁、最高裁はいずれも死刑を支持し、2012年10月に死刑が確定している。

POINT
この記事でわかること
  • 品川製麺所夫婦強殺事件の発生日・場所・被害者と事件概要
  • 謝依俤が大家夫婦を襲ったと認定された犯行経緯
  • 東京地裁・東京高裁・最高裁で死刑が確定するまでの流れ

品川製麺所夫婦強殺事件の概要

事件名品川製麺所夫婦強殺事件
発生日・期間2002年8月31日未明
発生場所東京都品川区の製麺所兼住宅
被害製麺所経営者の男性とその妻、死亡者数:2人
被告人等謝依俤
裁判・捜査状況住居侵入、強盗殺人、出入国管理及び難民認定法違反/2006年10月2日、東京地裁が死刑判決/2008年9月26日、東京高裁が控訴棄却/2012年10月19日、最高裁が上告棄却/死刑現在の状況死刑が確定 事件発生|品川区の製麺所兼住宅で夫婦が殺害された 事件が起きたのは、2002年8月31日午前0時過ぎごろだった。東京都品川区にある、1階がラーメン店と製麺所、上階が居住部分となっていた建物に、謝依俤が侵入した。
現在の状況品川製麺所夫婦強殺事件は、2002年8月31日未明、東京都品川区の製麺所兼住宅で、大家夫婦が元入居者の謝依俤に殺害され、現金や貴金属を奪われた強盗殺人事件である。裁判では、謝依俤に殺意があったか、犯行が計画的だったかが争われましたが、東京地裁、東京高裁、最高裁はいずれも死刑を支持し、2012年10月に死刑が確定している。

謝依俤が大家夫婦を襲ったと認定された犯行経緯

この建物に住んでいたのは、製麺所を経営する夫婦だった。夫婦は謝が住んでいたアパートの大家でもあり、謝にとってまったく面識のない相手ではなかった。謝は、金品を奪う目的で建物内に入り、サバイバルナイフで夫婦を相次いで襲った。夫婦はいずれも死亡し、謝は現金や貴金属類を奪って逃走したと認定されている。

被害者夫婦|製麺所を営み、謝の大家でもあった

被害に遭った夫婦は、東京都品川区でラーメン店と製麺所を営んでいた。地域で生活しながら商売を続けていた夫婦が、自宅兼店舗で突然命を奪われたことは、周辺住民にも大きな不安を広げた。夫婦は、謝が住んでいたアパートの大家でもあった。謝はそのアパートに入居していましたが、家賃を滞納しがちだったとされ、生活状況は安定していなかった。

この事件では、大家と入居者という日常的な関係性が、強盗殺人へと転じた。被害者側に落ち度があった事件ではなく、裁判所も、金品目的で落ち度のない夫婦の命を奪った点を極めて重く評価している。

謝依俤とは|不法滞在中に職を転々としていた人物

謝依俤は、中華人民共和国籍の人物で、日本に不法滞在していたとされている。日本国内では、解体工や飲食店関係の仕事などを転々としていたと報じられた。事件当時、謝は思うような収入を得られず、生活費や遊興費に窮していたと認定されている。加えて、借金や家賃滞納もあり、金に困った状況にあった。

ただし、生活苦や不法滞在という事情は、強盗殺人を正当化する理由にはならない。裁判所は、謝が金品を奪う目的で被害者方に侵入し、夫婦を殺害したと判断した。

犯行前の状況|生活費と遊興費に窮していた

謝は事件前、安定した収入を得られていなかったとされている。家賃の支払いも滞り、金銭的に追い詰められていたことが、犯行動機として裁判で認定された。最高裁判決でも、謝が「思うような収入が得られず、生活費や遊興費に窮した挙げ句」に、被害者方へ侵入して金品を奪おうとしたと指摘されている。

強盗殺人事件では、金品を奪う目的と人を殺害した結果が結びつくため、極めて重い犯罪として扱われる。本件では、金に困った末の犯行であることが、かえって動機の身勝手さとして重く見られた。

犯行の経緯|製麺所内で機会をうかがい、夫婦を相次いで襲撃

裁判所の認定によると、謝はサバイバルナイフを用意して被害者方に侵入した。建物内では、1階の製麺所部分に潜み、金品を奪う機会をうかがっていたとされている。その後、被害者の男性が謝の存在に気づいて逃げようとしたところ、謝は首や胸などをナイフで攻撃し、殺害した。さらに、1階で金品を物色した後、2階に上がり、被害者の妻も背中などを多数回刺して殺害したと認定されている。

裁判所は、この犯行態様について、強固な殺意に基づく冷酷で残忍な犯行だと評価した。単に盗みに入ったところ偶然争いになったというより、被害者の殺害も考えた計画的な犯行だったと判断されている。

奪われた金品|現金や貴金属を持ち去った強盗殺人

謝は夫婦を殺害した後、建物内を物色し、現金や財布、貴金属類を奪ったとされている。報道では、現金約4万7000円や指輪、ネックレスなどが奪われたと伝えられた。この点は、事件が単なる殺人ではなく、金品を奪う目的を伴う強盗殺人として処理された重要な理由である。殺害後に金品を奪ったことにより、謝の犯行目的が強盗にあったことが強く裏づけられた。

強盗殺人は、刑法上もっとも重く扱われる犯罪類型の一つである。本件でも、2人の命が奪われた結果と、金品目的の身勝手な動機が量刑判断に大きく影響した。

110番通報と逮捕|「大家が死んでいる」と通報した人物

事件後、謝は現場から逃走した。その後、公衆電話から「大家が死んでいる」といった趣旨の110番通報をしたとされている。当初、謝は現場で遺体を見つけたかのような説明をしていたと報じられた。しかし、供述には不自然な点があり、警察は謝の行動や現場との関係を詳しく調べた。

謝はまず、入管難民法違反の疑いで逮捕され、その後、強盗殺人容疑で再逮捕された。逮捕は捜査機関が容疑を認定した段階であり、有罪が確定したわけではない。その後、検察による起訴を経て、刑事裁判で責任が問われることになる。

裁判の争点|殺意の有無と計画性が争われた

裁判で謝側は、金品を盗む意図はあったものの、殺意はなかったという趣旨の主張をした。また、飲酒の影響や記憶の不確かさも争点となった。しかし裁判所は、謝が殺傷能力の高いサバイバルナイフを用意していたこと、被害者夫婦の首、胸、背中など身体の重要部分を多数回攻撃していたことを重視した。

最高裁も、攻撃の部位や態様から、謝には被害者らに対する強固な殺意があったと認定した。ナイフや覆面用のストッキングなどを用意していた点も、計画性を示す事情として扱われている。

一審判決|東京地裁は死刑を言い渡した

2006年10月2日、東京地裁は謝依俤に対し、死刑判決を言い渡した。判決では、被害者2人が死亡した結果の重大性、金品目的という動機の身勝手さ、犯行態様の残忍性が重く評価された。被害者夫婦には何の落ち度もなく、地域で生活していた一般市民が自宅兼店舗で殺害された点も重視された。

一審は、謝の反省や日本での前科がないことなども検討したうえで、それでも死刑を回避する事情にはならないと判断した。

控訴審|東京高裁も死刑判決を支持

一審判決後、謝側は控訴した。控訴審では、殺意の認定や量刑の重さなどが改めて争われた。2008年9月26日、東京高裁は一審判決を支持し、控訴を棄却した。高裁も、謝の犯行が金品奪取を目的とした計画的な強盗殺人であり、2人を殺害した刑事責任は極めて重大だと判断した。

その後、謝側は最高裁へ上告した。上告審では、殺意認定や量刑に加え、証拠物であるナイフに関する問題も主張されることになる。

最高裁判決|2012年に死刑が確定

2012年10月19日、最高裁第二小法廷は謝依俤の上告を棄却した。これにより、謝依俤の死刑が確定した。最高裁は、謝が金品を奪う目的で被害者方に侵入し、サバイバルナイフで夫婦を相次いで殺害したと認定した。被害者を殺害した後も建物内を物色し、金品を奪った点から、冷徹に目的を達した犯行だと判断している。

弁護側は、押収された同種のサバイバルナイフが高裁で保管中に紛失したことを問題にした。最高裁は管理態勢に問題があったとしつつも、そのナイフは犯行に使われた凶器そのものではなく、写真や計測記録、ほかの証拠から殺意を認定できるとして、弁護側の主張を退けた。

なぜ死刑判決となったのか

品川製麺所夫婦強殺事件で死刑が選択された理由は、複数の重大事情が重なっていたためである。まず、被害者は夫婦2人であり、いずれも落ち度のない一般市民だった。次に、犯行は金品を奪う目的で行われた強盗殺人だった。生活費や遊興費に困ったという動機は、裁判所から酌むべき事情とは評価されなかった。

さらに、謝はサバイバルナイフを用意し、製麺所内で機会をうかがったうえで、夫婦を相次いで攻撃した。裁判所は、この点を計画的で冷酷な犯行と判断した。死刑判断では、被害者数、犯行の計画性、動機、犯行態様、遺族感情、反省の有無、社会的影響などが総合的に検討される。本件では、2人を殺害した結果の重大性と、金品目的の残忍な犯行態様が重く見られた。

現在の状況|謝依俤は死刑確定者

現在も確認できる公開情報では、謝依俤については死刑が確定済みである。死刑執行が公的に確認された情報は見当たらず、死刑確定者として扱われている。死刑は、最高裁で上告が棄却されるなどして判決が確定した後、刑の執行を待つ段階に移る。ただし、個別の死刑確定者の収容状況や執行時期は、常時詳細に公表されるものではない。

この事件は、大家と入居者という身近な関係性の中で起きた強盗殺人であり、生活苦や不法滞在の問題だけでは説明できない、金品目的の冷酷な殺人事件として記録されている。

品川製麺所夫婦強殺事件が残した課題

この事件が残した課題の一つは、生活困窮や孤立が犯罪の直接的な免罪理由にはならない一方、社会の目が届きにくい場所で危険が蓄積することがあるという点である。謝は不法滞在中で、仕事も安定せず、家賃を滞納していた。周囲から見れば「困っている入居者」だったとしても、本人の中で金品目的の犯罪計画が進んでいたことまでは、簡単には見抜けない。

また、被害者夫婦は地域で商売を営む立場にあり、謝に住まいを貸していた大家でもあった。日常的な信頼関係の近くで凶悪犯罪が起きたことは、賃貸住宅や小規模店舗をめぐる安全管理の難しさも示した。品川製麺所夫婦強殺事件は、金銭目的の強盗殺人、住宅兼店舗への侵入、落ち度のない夫婦2人の殺害、そして死刑判決の確定という点で、現在も重大事件として語られる事件である。

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