五日市スーパー強盗殺人事件|新谷進さん殺害から25年、残る凶器・靴・作業ズボンの手掛かり

公開日 2026年4月3日
最終更新 2026年8月28日

事件ステータス

発生年月日
2000年
都道府県
広島県
事件分類
未解決事件 / 殺人事件
事件状況
未解決

事件から四半世紀を過ぎても、広島県警は一本のフィッシングナイフ、特定銘柄の運動靴、裾上げされた作業ズボンの情報を公開し続けている。2000年9月3日午後9時過ぎ、広島市佐伯区の「マルショク五日市店」で従業員の新谷進さん(当時36歳)が刺されて死亡し、店内から手提げ金庫などが奪われた。

手提げ金庫と凶器などは、現場から直線で約5キロ離れた太田川放水路の護岸で発見された。一方、犯人の身元は特定されていない。県警が公開しているのは「当時30~50歳」「身長150~160センチ」「頬がふっくらした小太り」といった目撃情報に基づく像で、氏名や居住地が判明した被疑者が指名手配されている事件ではない。

2024年までに投入された捜査員は延べ約17万6000人、情報提供は208件に達したと報じられた。2025年9月3日には事件から25年となり、警察と遺族がJR五日市駅前で改めて情報を求めた。2026年8月現在も広島県警の「凶悪事件等」に掲載され、佐伯警察署の捜査本部が情報を受け付けている。

発生2000年9月3日 午後9時過ぎ
場所広島市佐伯区五日市中央4丁目「マルショク五日市店」
被害者従業員・新谷進さん(当時36歳)
被害刃物で刺され死亡、手提げ金庫などが奪われる
遺留品発見太田川放水路護岸・現場から直線約5km
公開犯人像当時30~50歳、150~160cm、頬がふっくらした小太り
公開された凶器がまかつ フィッシングナイフ GM-202 初回版
靴ブリヂストン195、25~25.5cm
作業ズボン紺色、ウエスト82cm、股下61cmに裾上げ
現在未解決・広島県警が捜査と情報募集を継続

午後9時過ぎ、スーパーで新谷進さんが刺され、手提げ金庫が消えた

広島県警の事件概要によれば、発生は2000年9月3日午後9時過ぎ。現場は五日市中央4丁目のスーパー「マルショク五日市店」だった。従業員の新谷さんは何者かに刃物で刺されて殺害され、店内から手提げ金庫などが奪われた。県警は強盗殺人事件として捜査本部を置き、現在まで捜査を継続している。

重要なのは、公開情報から犯行時の店内行動を細部まで再現できるわけではないことだ。犯人が閉店作業をどこまで把握していたのか、店員の勤務状況を事前に知っていたのか、偶然その時間を選んだのかは、現在の県警ページでは確定事実として示されていない。現場の具体像と、そこから推測される計画性は分けて考える必要がある。

手提げ金庫と凶器は、約5キロ離れた太田川放水路で見つかった

事件現場に残らなかった手提げ金庫と凶器などは、広島市西区扇2丁目の太田川放水路護岸で発見された。場所は太田川マリーナ工事現場東側で、スーパーから直線距離にして約5キロ。犯行現場と遺留品発見場所が離れていることは、県警が現在も明示している事実である。

金庫と凶器が同じ事件の重要な手掛かりである一方、遺留場所から犯人の生活圏や移動手段を断定することはできない。捜査では移動経路や土地勘の有無が検討対象になり得るが、「近隣住民だった」「車を使った」といった説明は、公開されている確定情報ではない。

凶器は「がまかつ GM-202」の初回版まで特定されている

県警が公開している凶器は、釣具メーカー「がまかつ」のフィッシングナイフGM-202。しかも同型品というだけでなく、1990年10月と11月に出荷された初回版とされている。販売価格は3000~5000円だった。

製品名と出荷時期まで示されているのは、購入・所有歴を知る人から情報を得るためだと考えられる。ただし、事件はナイフの初回出荷から約10年後に起きている。購入者がそのまま犯人だった、釣りを趣味にしていた、といった人物像までは県警は公表していない。

運動靴は「ブリヂストン195」、サイズは25~25.5センチ

足元の情報も具体的だ。県警は犯人が履いていた運動靴として、アサヒコーポレーション製「ブリヂストン195」を公開している。サイズは25~25.5センチで、公開写真とは別に黒色の製品も存在した。

靴のサイズは、目撃証言から作成された犯人像にも組み込まれている。身長150~160センチという情報と合わせれば比較的特徴の絞られた像になるが、サイズや銘柄だけで個人を特定できるわけではない。事件から長期間が経過した現在も製品情報が残されているのは、所有者や販売時の記憶につながる情報を求めるためである。

紺色の作業ズボンは、ウエスト82センチ・股下61センチ

県警は、犯人が履いていたとみられる作業ズボンと同一の製品も公開している。広島県府中市内の被服会社が製造した「ベトナムズボン」で、ウエスト82センチ。股下は61センチに裾上げされており、県警ページには「かなり短い」と付記されている。

既製品の銘柄だけでなく、裾上げ後の寸法が手掛かりになっている点が特徴的だ。衣料品を購入した店舗、裾上げを依頼した記憶、当時同じ作業着を使っていた職場など、時間が経過してからでも思い出せる可能性のある情報が残る。ただし、作業ズボンを着用していたことから犯人の職業を決めつけることはできない。

目撃情報から示されたのは「当時30~50歳、150~160センチ」

県警は目撃者などの証言をもとに犯人のイメージ図を作成している。年齢は事件当時30~50歳、身長150~160センチ、頬がふっくらした小太りの体格。服装は紺色の作業ズボン、靴は25~25.5センチとされる。

この「犯人像」は、逮捕された人物の身体データではなく、あくまで目撃証言を基礎にした捜査情報である。事件から25年以上が経過しているため、仮に当時30歳だった人物でも現在は50代半ば、50歳だった人物なら70代半ばになる。公開されたイメージ図と現在の容貌が同じとは限らない。

手掛かりが細かく残っていても、個人特定には至っていない

ナイフのメーカーと型番、初回版の出荷時期、靴の銘柄とサイズ、作業ズボンの製造地と裾上げ寸法。未解決事件としては、一般向けに公開されている物品情報が非常に具体的である。

それでも、こうした情報は「この人物が犯人だ」と示す直接の身元情報ではない。遺留品の購入者と使用者が同じとは限らず、衣服や靴も譲渡・中古購入があり得る。捜査上の手掛かりが多いことと、起訴できるだけの犯人性を立証できることは別の段階である。

発生から1週間、捜査本部は110人態勢で目撃情報を集めていた

広島県警は現在、事件直後に掲載された中国新聞と朝日新聞の記事を、各社の許諾を得て公式サイトで公開している。2000年9月10日付の中国新聞は、発生から1週間の時点で捜査本部が警察官110人態勢を組み、目撃者や有力情報を求めていたと伝えた。

同記事では、事件当時に店内で買い物をしていた客、駐車場にいた人、付近を車で通過した人などから情報を集めていたことが記録されている。現在公開されているナイフや靴、作業ズボンだけでなく、発生直後から「誰が、いつ、どこで不審な人物を見たか」という目撃情報が捜査の大きな柱だった。

初期報道の「土地勘」「計画性」は、捜査途中の見方として読む必要がある

9月5日付の中国新聞は、犯人が店付近の路地を伝って逃走した可能性や、周辺の地理に詳しい人物ではないかという捜査上の見方を報じた。9月10日付の朝日新聞も「計画的な犯行か」という観点を示している。ただし、これらは発生直後の捜査段階で検討されていた仮説で、犯人の居住地や職業が確定したことを意味しない。

古い事件では、当時の記事の見出しだけが後年「犯人は地元の人間だった」「計画犯だった」という断定に変わることがある。本件では逮捕・起訴がなく、裁判所による事実認定もない。初期捜査の見方と、25年以上たった現在まで確定している事実を切り分けることが重要になる。

発生後に手提げ金庫とナイフが見つかり、物証の位置づけも変わった

県警が公開する新聞記事では、事件後に太田川放水路付近で手提げ金庫が見つかり、さらに発見されたナイフについて、付着した血液が新谷さんと同型だったことを中国新聞が報じている。当時は「殺害に使われた可能性」を捜査している段階だったが、現在の県警ページはGM-202を事件の「凶器」として公開している。

つまり、事件から1週間前後の報道だけを切り取ると「物証に乏しい事件」に見えるが、その後に金庫とナイフという重要な資料が回収された。捜査の情報は時間とともに更新されており、初期報道と現在の県警公表内容を同じ時点の情報として扱うことはできない。

延べ約17万6000人を投入し、208件の情報が寄せられた

2024年9月のテレビ新広島の報道によれば、警察は事件発生から24年間で延べ約17万6000人を動員して捜査を続け、情報提供は208件に達していた。同年に入ってから寄せられた情報は6件だった。

これだけの捜査規模でも逮捕に至らなかったことは、捜査が終了したという意味ではない。翌2025年にも県警と遺族が情報提供を呼びかけ、県警の公式ページも更新されている。古い情報であっても、当時は重要性に気づかなかった目撃や会話が、既存の証拠と結び付く可能性があるためだ。

25年目、警察と遺族がJR五日市駅前で情報を求めた

2025年9月3日、事件から25年となった。警察と遺族らはJR五日市駅前でチラシを配り、通勤・通学する人へ情報提供を呼びかけた。佐伯署長は、25年たった今だから言えることもあるかもしれないとして、当時を思い起こしてほしいと訴えた。

同年の報道では、これまでに寄せられた情報は200件を超えるとされた。事件当時に現場周辺へいた人、公開されたナイフや靴、作業ズボンに心当たりがある人だけでなく、当時の知人の言動などを後から不審に感じた場合も、捜査本部への情報が求められている。

2026年8月現在も「凶悪事件等」の情報募集対象に残る

広島県警の「凶悪事件等」一覧には、2026年8月現在も本件が掲載されている。事件の法的状態は、犯人の有罪・無罪が争われている段階ではなく、被疑者の検挙そのものに至っていない未解決の強盗殺人事件である。

犯人の氏名、動機、被害者との面識の有無、単独犯か共犯がいたのかといった点について、刑事裁判による認定は存在しない。確定しているのは、新谷さんが刺殺され、手提げ金庫などが奪われ、金庫と凶器などが約5キロ離れた場所で発見されたこと、そして捜査が現在も続いていることである。

参考資料・出典

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