姫路2女性バラバラ殺人事件|遺族が追った足取りと高柳和也の死刑確定

公開日 2026年3月12日
最終更新 2026年8月28日
カテゴリー 2000年代 死体遺棄事件 死刑

事件ステータス

発生年月日
2005年
都道府県
兵庫県
事件分類
死体遺棄事件
最終刑・処分
死刑

2005年1月、23歳の畠藤未佳さんと友人の谷川悦美さんが相次いで連絡を絶った。未佳さんの家族は交際相手を名乗っていた高柳和也の説明に疑問を持ち、独自に足取りを追った。後に裁判所が認定したのは、高柳が1月9日に自宅で2人を殺害し、数日後に遺体を分けて兵庫県内の海中などへ遺棄したという事件だった。

高柳は殺人、死体損壊・遺棄、覚醒剤取締法違反などの罪に問われた。一審の神戸地裁姫路支部は死刑を言い渡し、大阪高裁も維持。最高裁第一小法廷は2013年11月25日に上告を棄却し、2人の殺害が計画的ではなかったことを考慮しても、死刑を回避する事情にはならないと判断した。

事件名姫路2女性バラバラ殺人事件
発生2005年1月9日
主な場所兵庫県相生市の高柳方、兵庫県内の海中など
被害者畠藤未佳さん(23)、谷川悦美さん(23)
被告人高柳和也
主な罪殺人、死体損壊、死体遺棄、覚醒剤取締法違反
一審2009年3月17日・神戸地裁姫路支部、死刑
控訴審2010年10月15日・大阪高裁、控訴棄却
上告審2013年11月25日・最高裁第一小法廷、上告棄却
現在死刑確定者

高柳は「資産家の息子」と偽って交際していた

最高裁判決によると、高柳は資産家の息子を装って未佳さんと交際し、現金を渡すこともあった。事件当日、さらに現金を強く要求され、髪を引っ張られるなどしたことに激高し、未佳さんを殺害したと認定された。

裁判所は、未佳さん側の言動に誘発された面があること自体は認めた。しかし、その対立は高柳が資産家の息子を装っていた嘘から生じたものであり、量刑上、高柳に大きく有利な事情とはならないとした。

未佳さんの殺害直後、友人の谷川さんも口封じで殺害

未佳さんと一緒に高柳方に滞在していた谷川さんも、その直後に殺害された。最高裁判決は、谷川さんについて「口封じ」のためだったと明記している。谷川さんには事件の原因となるような落ち度は見当たらないとも指摘した。

2人はいずれも頭部付近をハンマーで複数回殴られて死亡した。殺害後、高柳は1月11日ごろに遺体を損壊し、13日ごろから16日ごろにかけて兵庫県内の海中などへ遺棄した。記事上必要な点は、身元判明を妨げる目的で遺体を分け、複数の場所へ処分したという経過にある。

連絡が途絶えた後、家族が高柳の説明を追った

未佳さんが帰宅せず連絡も取れなくなると、家族は高柳に行方を尋ねた。しかし、説明には不自然な点があり、家族は未佳さんの交友関係や最後の足取りを独自に調べ始めた。

テレビ朝日の『ザ・スクープ』は2005年12月、未佳さんの両親と、個人的に協力した捜査経験の長い警察官が高柳の所在や関係資料を追った経緯を報じた。両親は警察の初動や捜査対応を厳しく批判し、公判後にも検察へ抗議したと伝えられている。

遺族の行動が、事件の発覚過程そのものになった

この事件では、被害者家族が単に捜査結果を待っていたわけではない。高柳が未佳さんの所在を知らないという説明を続けるなか、家族側が関係先を訪ね、警察経験者の協力を得ながら情報を集めたことが、後の事件解明を語るうえで大きな要素となっている。

高柳はその後、覚醒剤取締法違反でも立件され、殺人や死体遺棄などと合わせて裁かれた。遺体の一部が発見され、DNA型鑑定などによって2人との結び付きが確認されるなど、捜査は物的証拠を伴って進んだ。

一審では、一人について殺意の有無も争われた

神戸地裁姫路支部の公判で、高柳は2人を死亡させた一連の行為そのものについて供述しながら、犯行態様や殺意について争った。弁護側は未佳さんに対する殺意を否定し、死刑ではなく無期懲役が相当だと主張した。

2009年3月17日、神戸地裁姫路支部は求刑どおり死刑を言い渡した。2人の生命を奪ったことに加え、二人目の谷川さんを口封じのために殺害したこと、遺体を分けて遺棄し身元判明を妨げようとしたことなどが重く評価された。弁護側は即日控訴した。

控訴審でも死刑を維持、上告へ

大阪高裁は2010年10月15日、控訴を棄却した。控訴審では責任能力や犯行時の判断能力も争点となったが、一審の死刑判断を変更する事情はないとされた。

高柳側は最高裁へ上告し、事実誤認や量刑不当などを主張した。最高裁第一小法廷は記録を調査したうえで、刑事訴訟法411条により原判決を破棄する事情はないと判断した。

最高裁は「計画性がない」ことも考慮した

最高裁判決は、2人の殺害が事前に計画されたものではなかったことを、高柳に有利な事情として明示した。それでも、未佳さんを殺害した直後に、事件を知る谷川さんまで口封じのために殺害したこと、2人の死亡という結果、犯行後の遺体処分などを総合し、刑事責任は極めて重いとした。

また、高柳が犯行自体は認めながらも、態様などについて不合理な弁解を続けているとして、真摯な反省がうかがえないとも評価した。2013年11月25日に上告は棄却され、一、二審の死刑判断が維持された。

捜査対応への批判と、刑事裁判の事実認定は別の線で残った

事件発覚後、未佳さんの両親は警察の捜査姿勢を公に批判した。テレビ朝日の特集は、家族と協力者が独自に証拠や行動記録を集めた経緯を取り上げ、捜査のあり方そのものを検証対象とした。

一方、刑事裁判で最終的に確定した中心事実は、高柳が2005年1月9日に2人を殺害し、数日後に遺体を損壊・遺棄したことだった。捜査過程への批判があったことと、高柳の刑事責任が三審で認定されたことは、それぞれ独立した経過として残っている。

2026年時点でも死刑確定者として扱われている

高柳は最高裁の上告棄却後、死刑が確定した。2024年の取材記事でも死刑囚として扱われ、2026年4月刊行の死刑確定者を扱う書籍の掲載対象にも高柳の名が挙げられている。

死刑確定から10年以上が経過しているが、2026年8月27日時点で高柳の死刑執行が行われたとの公表は確認されていない。事件の司法手続は死刑確定で終了している一方、刑の執行には至っていない状態が続く。

二人は高校時代からの友人だった

未佳さんと谷川さんは高校時代からの友人で、事件当時はいずれも23歳だった。未佳さんは会社員、谷川さんは専門学校生と報じられている。谷川さんは高柳と直接の金銭トラブルを抱えていた人物ではなく、未佳さんを通じて高柳と接点を持った。

最高裁が谷川さんの殺害について「特に落ち度は見当たらない」としたのは、この関係を踏まえたものだった。最初の殺害後、その場にいた友人まで事件発覚を防ぐために殺害したことが、2人死亡という結果だけでなく、犯行の性質を判断するうえでも重く見られた。

4月に事件が表面化し、遺体の一部が発見された

2人の失踪から約3か月後の2005年4月、事件は殺人事件として大きく動き始めた。高柳方に残された痕跡や高柳の供述を手掛かりに遺棄場所の捜索が行われ、姫路市の港から若い女性の骨が発見された。DNA型鑑定により、2人との結び付きが確認されたと報じられている。

高柳は覚醒剤事件で身柄を確保された後、2人の殺害や遺棄について供述した。5月には死体遺棄、続いて殺人の容疑で再逮捕され、その後、殺人、死体損壊・遺棄、覚醒剤取締法違反などで刑事裁判を受けることになった。

最高裁は被害者側の言動も検討したうえで量刑を判断

最高裁判決は、未佳さんから現金を強く要求され、髪を引っ張られるなどしたことが最初の殺害を誘発した面を認めている。ただし、その対立は高柳が資産家の息子を装う虚偽を重ねたことから生じており、被害者側の行動を高柳の刑を大きく軽くする事情とは扱わなかった。

また、犯行が事前計画に基づく殺人ではなかった点も考慮した。それでも、一人目を殺害した後に二人目を口封じで殺害したこと、身元判明を妨げるため遺体を処分したこと、不合理な弁解を続けたことを合わせ、死刑を維持する結論に至った。

死刑確定後も、遺族と高柳をめぐる取材は続いた

高柳の死刑が確定した後も、事件を取材してきた記者は本人との面会や手紙を通じて、その後を追っている。2024年の日刊ゲンダイDIGITALは、高柳を死刑囚として取り上げ、逮捕時に警察対応への批判が集まったことと、裁判で認定された事件の実相を振り返った。

2026年4月に宝島社から刊行された死刑確定者を扱う書籍でも、高柳は掲載対象の一人として挙げられている。事件から20年以上、死刑確定から12年以上が経過した後も、未佳さんの家族が事件発覚までにたどった経緯と、裁判が認定した二つの殺害は別々の記録として残り続けている。

一審判決まで4年を要し、殺意と責任能力が争われた

事件発生から一審判決までには4年以上を要した。殺人2件に加え、遺体の損壊・遺棄、覚醒剤事件も含まれており、高柳の供述内容や責任能力、未佳さんに対する殺意など複数の争点が審理された。

2009年3月17日の一審は死刑。控訴審でも高柳側は責任能力や量刑を争ったが、2010年10月15日に大阪高裁が控訴を棄却した。最高裁では憲法違反の主張に加えて事実誤認・量刑不当が主張されたものの、いずれも死刑判決を覆す理由にはならなかった。

最高裁が示したのは、二つの殺害を同じ動機で扱わない判断だった

未佳さんの殺害について、最高裁は口論に誘発された面を指摘した。これに対し、谷川さんは最初の犯行を隠すために殺害されたとされ、動機は異なる。2人を単に同じ態様で殺害した事件として一括せず、それぞれの経緯を分けて量刑を検討している。

そのうえで、二人目まで殺害したこと、犯行後に身元判明を妨げる行動を重ねたこと、法廷での説明に不合理な点が残ったことなどを重視した。計画性の欠如という有利な事情を認めながら死刑を維持した点に、最高裁の量刑判断が表れている。

参考資料・出典

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