大和連続主婦強盗殺人事件|知人関係を利用した2人殺害と、死刑・無期を分けた責任

公開日 2026年3月4日
最終更新 2026年7月31日

大和連続主婦強盗殺人事件は、2001年8月28日と9月19日、神奈川県大和市のマンションで主婦2人が襲われ、金品を奪われたうえで殺害された事件である。 庄子幸一と交際相手の山本章代は、山本が被害女性と面識を持つことを利用して室内へ入り、性暴力またはその未遂、強盗、殺害を行う計画を共有したと認定された。

横浜地裁は2003年4月、庄子へ死刑、山本へ無期懲役を言い渡した。庄子の死刑は2007年に最高裁で確定し、2019年8月2日に東京拘置所で執行された。山本の無期懲役も確定している。

POINT
この記事でわかること
  • 2001年に大和市で起きた2件の強盗殺人の経緯
  • 庄子幸一と山本章代が被害者宅へ侵入した手口
  • 2人の主婦が殺害され、金品を奪われた状況
  • 庄子が語った「5つの扉」と祈祷師をめぐる供述
  • 庄子は死刑、山本は無期懲役となった理由
  • 2019年の死刑執行と現在の状況

大和連続主婦強盗殺人事件の概要

項目内容
一般的な事件名大和連続主婦強盗殺人事件
別称大和市主婦連続強盗殺人事件、神奈川連続主婦殺害事件など
発生日2001年8月28日、9月19日
発生場所神奈川県大和市内のマンション
被害者主婦2人(当時54歳、42歳)
犯人庄子幸一
共犯者山本章代
事件当時の年齢庄子46歳、山本38歳
主な罪名強盗殺人、強盗強姦、強盗強姦未遂、住居侵入、窃盗など
逮捕2001年9月26日
一審判決2003年4月30日、庄子に死刑、山本に無期懲役
控訴審2004年9月7日、東京高裁が各判決を維持
最高裁2007年11月6日、庄子の上告を棄却
死刑確定2007年12月5日
死刑執行2019年8月2日、東京拘置所
現在庄子は死刑執行済み。山本の無期懲役刑も確定済み

2件の犯行は、いずれも大和市内のマンションで起きました。

被害者は山本の知人や顔見知りだったため、突然現れた見知らぬ人物を警戒する場合とは状況が異なります。山本が先に室内へ入り、庄子が後から侵入するという手口が用いられました。

顔見知りを自宅へ迎え入れたことが、庄子の侵入につながる。被害者が抱いていた日常的な信頼そのものが、犯行に利用されたのです。

庄子幸一と山本章代の関係|交際後に各地を転々

庄子と山本は、2000年ごろ、大和市内の飲食店を通じて知り合ったとされています。

山本には夫と子どもがいましたが、やがて庄子と行動をともにするようになりました。2人は各地を転々としながら、不安定な生活を続けます。

庄子には、それ以前から窃盗や性犯罪を含む複数の前科がありました。出所後も犯罪から離れず、2000年には知人女性を襲って金品を奪う事件を起こしています。

最高裁は、この前歴と本件の犯行を踏まえ、庄子について同種犯罪の常習性が顕著だと指摘しました。

1件目の殺害|54歳女性宅へ侵入し現金とカードを奪う

最初の事件は、2001年8月28日、大和市内のマンションで起きました。

被害者は当時54歳の主婦です。庄子と山本は、女性に性的暴行を加えたうえで殺害し、金品を奪うことを事前に計画していました。

最高裁判決によると、庄子は室内へ侵入すると、女性の口をタオルでふさぐなどして性的暴行を試みました。目的を遂げられなかった後も暴行をやめず、ベルトで首を絞め、さらに刃物で腹部を刺しています。

女性は、首を絞められたことによる窒息と、腹部の傷による出血で死亡しました。

庄子らは、現金約23万円やキャッシュカード3枚などが入ったリュックサックを強奪。その後、奪ったカードを使い、ATMから40万9000円を引き出しました。

犯行は衝動的に始まったものではありません。性的暴行、殺害、金品の強奪までを想定し、準備したうえで被害者宅へ向かったと認定されています。

2件目は約3週間後|42歳女性を拘束し浴室で殺害

最初の殺害から約3週間後の9月19日、2件目の事件が起きました。

被害者は大和市内のマンションに住む当時42歳の主婦。山本とは、子どもを通じた接点があったとされています。

庄子らは今回も、性的暴行、殺害、金品の強奪を計画して女性宅へ入りました。 庄子はスタンガンや刃物を使って女性の抵抗を抑え、両手首と両足首を粘着テープで縛ったうえで性的暴行を加えています。

その後、顔全体へ粘着テープを幾重にも巻き、水を張った浴槽へ顔を押し付けて窒息死させました。 奪われたのは、現金6万円と預金通帳などが入ったポーチです。

一人目を殺害した後にも、犯行をやめる時間はありました。それにもかかわらず、新たな標的を選び、同じ市内で再び女性の命を奪ったことが、裁判で厳しく評価されています。

庄子は前年にも60歳女性を襲い425万円を引き出していた

庄子の裁判では、2人を殺害した事件だけでなく、それ以前に単独で起こした強盗・性犯罪も審理されました。

2000年5月、庄子は東京都内に住む当時60歳の知人女性宅へ侵入。女性に性的暴行を加えてけがを負わせ、現金約12万円とキャッシュカード2枚を奪いました。

さらに、奪ったカードを使ってATMから合計425万円を引き出しています。

この事件だけでも重大な犯罪です。その翌年、庄子は山本を共犯者として巻き込み、殺害を伴う事件へ進みました。

最高裁は、過去にも同種の強盗・性犯罪で服役していたことを含め、庄子の犯罪傾向を死刑判断の重要な事情としています。

指名手配の翌日に逮捕|防犯カメラなどから2人を特定

1件目の事件後、奪われたキャッシュカードがATMで使用されました。防犯カメラには、現金を引き出す人物の姿が記録されていました。

捜査が進む中、警察は庄子と山本を特定。2001年9月25日、2人を全国に指名手配します。

翌26日、神奈川県伊勢原市内で2人の身柄が確保され、最初の強盗殺人事件で逮捕されました。その後、42歳女性の事件についても捜査が進み、再逮捕・起訴へ至ります。

2人目の被害者が殺害されてから、逮捕までわずか1週間ほどでした。

「5つの扉」と祈祷師の話|裁判で明らかになった供述

大和連続主婦強盗殺人事件では、祈祷師の「お告げ」が犯行動機として語られることがあります。 庄子は捜査や公判で、祈祷師から「世の中に出るには5つの扉の鍵を開けなければならない」といった趣旨の話を聞き、5人を殺害すれば道が開けると考えたなどと説明しました。

しかし、祈祷師が2人の殺害を具体的に命じたと司法判断されたわけではありません。 また、庄子は「殺人自体が目的で、強盗目的ではなかった」とも主張しましたが、裁判所は採用しませんでした。

最高裁が認定したのは、性的欲求と金銭的欲求を満たすための計画的犯行です。「5つの扉」という話は庄子側の説明として知られていますが、確定判決が認定した中心的動機とは区別する必要があります。

庄子幸一は死刑、山本章代は無期懲役|量刑が分かれた理由

2003年4月30日、横浜地裁は庄子に死刑、山本に無期懲役を言い渡しました。 2人は共謀して犯行を計画し、山本も被害者との関係を利用して侵入を助けるなど、重大な役割を担っています。

一方、裁判所は、事件全体を主導したのは庄子であり、山本には庄子から利用された面もあると判断しました。

庄子は自ら暴行、性的加害、殺害の中心部分を実行しています。過去にも同種犯罪で服役しており、出所後に再び女性を狙った犯行を繰り返したことも、両者の量刑差につながりました。

検察側は山本についても死刑を求めて控訴しましたが、2004年9月7日、東京高裁は一審の無期懲役を維持。その後、山本の刑は確定しています。

最高裁が庄子の死刑を支持|2007年12月に確定

庄子側は、計画性や殺意、強盗目的、責任能力などを争い、死刑回避を求めました。

しかし東京高裁は2004年9月、庄子の控訴を棄却。さらに2007年11月6日、最高裁第三小法廷も上告を棄却しました。

最高裁は、2件の犯行について次の事情を重く評価しています。

  • 当初から強盗、性的暴行、殺害を計画していたこと
  • 共犯者との役割分担を決め、周到に準備したこと
  • 何の落ち度もない女性2人を標的としたこと
  • 犯行態様が凶悪で、2人の生命を奪ったこと
  • 約3週間のうちに同じ市内で犯行を繰り返したこと
  • 同種の強盗・性犯罪に関する前科があったこと

一部の事実を認め、反省の言葉を述べていたことや、山本の刑が無期懲役だったことを考慮しても、死刑はやむを得ないとの結論でした。 判決訂正の申し立てを経て、2007年12月5日に死刑が確定しています。

2019年8月2日に死刑執行|再審請求中だった

死刑確定から約11年8か月後の2019年8月2日、庄子幸一の死刑が東京拘置所で執行されました。

執行時の年齢は64歳です。同日には、福岡3女性連続強盗殺人事件で死刑が確定していた鈴木泰徳の刑も執行されました。

庄子は当時、再審請求中でした。 法務省は、関係記録を審査し、刑の執行停止や再審事由の有無を慎重に検討したうえで執行命令を出したと説明しています。

一方、再審請求中の死刑執行に対しては、弁護士会や人権団体から批判や抗議も出されました。

山本章代も計画へ加わったが、死刑と無期に量刑が分かれた

山本は被害女性との関係を利用し、室内へ入るきっかけを作り、金品奪取と犯行後の行動へ加わったと認定された。単なる同席者や、事件後に事情を知った人物ではない。

一方、裁判所は、2件の性暴力・殺害を直接主導し、同種前科を持ちながら再犯した庄子の責任をより重く評価した。

検察は山本にも死刑を求めたが、東京高裁は庄子から利用・支配された側面などを考慮し、一審の無期懲役を維持した。共同犯でも役割、主導性、前科、犯行後の態度などにより刑は異なり得る。

『祈祷師に言われた』という供述は責任能力を失わせなかった

庄子は公判で、祈祷師から『五つの扉』などと告げられ、殺人へ進んだという趣旨の説明をした。 裁判所は、役割分担、標的選定、拘束・金品奪取、預金引出し、証拠隠滅まで目的に沿って進めたことから、完全責任能力を認定した。

第三者の言葉や信仰を述べたことだけで、違法性を理解し行動を制御する能力が失われたとはいえない。供述を事件の原因として単純化することも避ける必要がある。

最高裁は2007年、庄子の死刑を維持

最高裁第三小法廷は2007年11月6日、庄子側の上告を棄却した。判決訂正申立てを経て同年12月に死刑が確定した。

最高裁は、当初から強盗、性暴力、殺害を行う確定的意思を持ち、共犯者と役割分担して準備し、わずか3週間余りで女性2人を殺害した結果を重く評価した。 被害者2人に落ち度はなく、日常の知人関係を利用され、自宅という生活の場で襲われた。

2019年8月2日に死刑執行、山本の無期は継続

法務省は2019年8月2日、庄子幸一と福岡3女性連続強盗殺人事件の鈴木泰徳へ死刑を執行した。庄子は64歳だった。

庄子は当時再審請求中だったとされる。再審請求中であっても、自動的に刑の執行が停止する制度ではない。

2026年7月30日現在、庄子本人への刑事手続は執行により終了している。山本については無期懲役が確定しているが、収容先や仮釈放審理などは公開情報から確認できない。

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