那須町夫婦殺害事件|7人起訴、平山綾拳は懲役30年確定・佐々木光は控訴

公開日 2026年7月23日
最終更新 2026年8月28日

事件ステータス

発生年月日
2024年
都道府県
栃木県
事件分類
死体遺棄事件 / 殺人事件

2024年4月16日朝、栃木県那須町で、東京・上野周辺で飲食店を経営していた宝島龍太郎さん(55)と妻の幸子さん(56)の焼損遺体が見つかった。捜査は遺体の損壊・遺棄から夫妻の殺害へ広がり、夫妻の長女を含む7人が殺人罪などで起訴された。

7人の裁判は一括ではなく、それぞれの立場や主張に応じて進められている。2026年7月3日には、指示役とされた佐々木光被告と仲介役とされた平山綾拳被告に東京地裁が懲役30年を言い渡した。平山は控訴せず確定した一方、佐々木は控訴しており、事件全体の刑事裁判は終わっていない。

事件名那須町夫婦殺害事件
被害者宝島龍太郎さん(55歳)、宝島幸子さん(56歳)
遺体発見2024年4月16日、栃木県那須町
起訴された人数7人
起訴された人物関根誠端、宝島真奈美、前田亮、佐々木光、平山綾拳、若山耀人、姜光紀
最初の判決2026年7月3日、佐々木光・平山綾拳に懲役30年
平山綾拳控訴せず懲役30年が確定
佐々木光一審判決を不服として控訴
関根誠端ら5人各被告人の裁判手続が継続中

河川敷で見つかった2人の焼損遺体

事件の発端は、2024年4月16日午前6時50分ごろ、那須町の河川敷で男女2人の遺体が焼かれた状態で見つかったことだった。身元確認の結果、2人は宝島龍太郎さんと幸子さんと判明。夫妻は東京・上野周辺で複数の飲食店を経営していた。

防犯カメラの確認では、前日の15日午後9時ごろ、宝島さんとみられる男性が上野周辺を移動し、その後、夫妻とみられる2人が男らと車へ乗り込む様子が捉えられていた。16日午前4時ごろには那須町の現場付近を走る車も確認され、東京都内から栃木県までの足取りが捜査の焦点になった。

遺体が見つかった場所と、夫妻が実際に殺害されたとされる場所は同じではない。2026年7月の東京地裁判決では、夫妻は東京都内で殺害され、その後、遺体が栃木県那須町まで運ばれて焼かれ、遺棄されたと認定された。

7人が殺人罪などで起訴された

東京地検は2024年7月18日までに、関根誠端、宝島真奈美、前田亮、佐々木光、平山綾拳、若山耀人、姜光紀の7人を殺人罪などで起訴した。起訴されたという段階では、各被告人の刑事責任や役割が確定したわけではなく、その後の公判で個別に審理されることになる。

検察側は、関根被告から依頼を受けた佐々木被告が平山被告へ指示し、平山被告がさらに実行役へ内容を伝えたという流れを主張している。夫妻と面識があった人物から、夫妻と直接の関係が薄かった人物まで複数の層を経て犯行が実行されたという構図だ。

判決は東京都内での殺害から那須町への遺棄までを認定

佐々木・平山両被告の一審判決によると、共謀した者らは4月15日から16日にかけ、東京都台東区から移動する車内で夫妻に睡眠薬入りのコーヒーを飲ませた。その後、品川区の空き家ガレージで電気コードを使って首を絞め、幸子さんの頭部をハンマーで殴るなどして2人を殺害したとされた。

殺害後は遺体を車で栃木県まで運び、那須町で損壊・遺棄したとされる。事件名は遺体発見場所に由来するが、最初の裁判で認定された犯行は東京と栃木の二つの地域にまたがっている。殺害、遺体運搬、焼損・遺棄が役割分担の中でどのようにつながったかが審理された。

佐々木光と平山綾拳の裁判が最初に進んだ

7人のうち最初に判決へ進んだのが、佐々木光被告と平山綾拳被告の裁判だった。2026年6月22日の初公判で、佐々木被告は起訴内容を認めた。平山被告は事件への関与自体は認めながら、殺人の共同正犯ではなく幇助にとどまると主張した。

ここで争われたのは、実際に手を下していないとされる人物に、殺人の共同正犯としてどこまで責任を負わせられるかという点だった。佐々木被告は指示を伝える役割、平山被告は実行役につなぐ役割を担ったとされ、それぞれの行為が殺害計画の実現にどの程度不可欠だったかが量刑とともに審理された。

検察は2人に無期懲役を求刑

6月30日の論告で、検察側は佐々木・平山両被告に無期懲役を求刑した。佐々木被告は起訴内容を認め、平山被告は幇助を主張していたため、同じ求刑でも争点は異なっていた。

検察側は、夫妻殺害の依頼や指示が段階的に伝えられ、両被告がそれぞれ実行に必要な役割を果たしたと位置付けた。弁護側は、関根被告との関係性や指示に逆らいにくかった事情などを挙げ、責任の程度を争った。

東京地裁は2人を殺人の共同正犯と認定

東京地裁は2026年7月3日、佐々木光被告と平山綾拳被告にそれぞれ懲役30年を言い渡した。求刑はいずれも無期懲役だった。裁判所は、実行行為を直接担当しなかったとしても、殺害計画を実現させるために担った役割を重く評価した。

判決は、2人の立場を単なる周辺的な関与とはみなさず、「犯行実現に向けて必要な役割を主体的に果たした」と評価した。平山被告についても、指示を伝えただけの幇助ではなく、殺人の共同正犯として責任を認めた。

その一方、求刑された無期懲役ではなく、有期懲役の上限となる30年が選択された。佐々木・平山両被告の裁判は、7人が同時に一つの判決を受ける形ではなく、各被告人の役割と共謀の範囲を個別に判断していく最初の裁判となった。

平山は確定、佐々木は控訴

判決後の手続は2人で分かれた。平山綾拳は控訴せず、懲役30年の一審判決が確定した。これに対し佐々木光は一審判決を不服として控訴し、2026年8月27日時点で刑は確定していない。

同じ日に同じ刑を言い渡された2人でも、控訴の有無によって法的状態は異なる。平山については確定判決、佐々木については控訴審で争われる一審判決として扱う必要がある。

関根誠端は起訴内容を否認

検察側が事件を主導した人物と位置付ける関根誠端被告は、2026年6月24日の勾留理由開示手続で「誰とも共謀していない」と述べ、無罪を主張した。佐々木・平山両被告の判決で示された検察側の構図が、そのまま関根被告の有罪を意味するわけではない。

関根被告のほか、宝島真奈美、前田亮、若山耀人、姜光紀の各被告人についても、それぞれの公判で証拠や供述が検討される。特に、誰が計画を立案し、どの段階で殺害の共謀が成立したのかは、残る裁判の重要な論点になる。

被告7人の法的状態は分かれている

この事件では7人が殺人罪などで起訴されたため、一連の報道では7人の名前が並ぶことが多い。しかし2026年8月27日時点で、確定判決まで至ったのは平山綾拳の懲役30年である。佐々木光は控訴中で、ほかの被告人についても裁判が続いている。

平山については確定判決、佐々木については控訴審、関根ら残る被告人についてはそれぞれの公判というように、同じ事件でも手続の段階は分かれている。今後の判決によって、共謀の成立時期や各人の役割がさらに具体化されることになる。

最初の判決が示した分業型犯行の責任

佐々木・平山両被告の裁判では、殺害現場で直接攻撃したかどうかだけで刑事責任を判断せず、指示の伝達や実行役の手配など、計画を現実に動かした行為が評価された。複数の人物が役割を分ける事件では、誰がどの段階で共謀に加わったかが重要になる。

一方で、最初の判決だけから残る5人の責任を先取りすることはできない。今後の公判では、それぞれの被告人が何を知り、何を合意し、どの行為を担ったのかが個別に審理される。事件の全体像は、複数の裁判を通じてなお形成途中にある。

参考資料・出典

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