栃木県上三川町強盗殺人事件|少年4人全員逆送・起訴と指示役夫婦、国際手配まで

公開日 2026年6月11日
最終更新 2026年8月28日

事件ステータス

発生年月日
2026年
都道府県
栃木県
事件分類
少年犯罪 / 強盗・監禁・暴行事件 / 殺人事件

2026年5月14日午前、栃木県上三川町上神主の住宅に複数人が押し入り、住人の富山英子さん(69歳)が殺害された。異変を知って駆け付けた長男と次男も襲われ、重傷を負った。捜査は、現場で実行した少年たちだけでは終わらず、指示役とされる夫婦、さらに事件後に国外へ出た人物へ広がった。

2026年8月26日時点で、竹前海斗・美結両被告と実行役とされる少年4人は起訴されている。一方、事件を主導した疑いがあるとして警察が追う益田和彦容疑者は国際手配中で、身柄は確保されていない。起訴された6人についても有罪判決はまだ出ておらず、捜査機関が示す役割分担と裁判所の最終認定は分けて見る必要がある。

発生日2026年5月14日午前9時25分ごろ
場所栃木県河内郡上三川町上神主の住宅
死亡被害者富山英子さん(69歳)
負傷者富山さんの長男・次男が重傷
動物被害飼い犬1匹の殺害も起訴内容に含まれる
実行役とされる人物事件当時16歳の少年4人
指示役とされる人物竹前海斗被告(28歳)・美結被告(25歳)
主導役とされる人物益田和彦容疑者(48歳)
夫婦の起訴2026年6月29日、強盗殺人・強盗殺人未遂・住居侵入など
少年4人6月26日に家裁送致、7月に全員逆送、7月31日までに全員起訴
益田容疑者5月に公開手配、6月6日までにICPOを通じ国際手配
現在起訴された6人の刑事裁判と、益田容疑者の捜索が進行中

住宅へ押し入り金品を物色中、富山さんが殺害された

起訴状や捜査報道によると、少年4人と竹前夫妻らは共謀し、金品を奪う目的で富山さん宅へ侵入したとされる。室内を物色していた際に富山さんが襲われ、死亡した。

さらに、現場へ駆け付けた長男と次男もバールで頭部を殴られるなどして重傷を負ったとして、強盗殺人未遂の起訴内容に含まれている。被害者宅の飼い犬1匹を住宅へ侵入する前に殺したとして、動物愛護法違反も起訴されている。

事件約1か月前、次男宅から被害女性宅の情報が書かれた物が盗まれていた

事件後の捜査で、富山さんと別居していた次男の住宅が2026年4月上旬に窃盗被害に遭い、富山さん宅の情報が書かれた物も盗まれていたことが判明した。貴金属類も盗まれており、警察はこの窃盗と5月14日の強盗殺人との関連を調べた。

さらに4月以降、富山さん宅の周辺では不審な車やバイクが複数回目撃されていた。これらは「強盗殺人の準備だった」と裁判で確定した事実ではない。捜査本部が、被害宅の情報がどのように流れ、事前の下見があったのかを解明する材料として調べていた段階の情報である。

実行役とされたのは、事件当時16歳の少年4人だった

警察は防犯カメラ映像や逃走経路などを追い、神奈川県内の少年らを相次いで逮捕した。実行役とされた4人はいずれも事件当時16歳で、相模原市や川崎市に住んでいた。

少年事件であるため、逮捕後に直ちに成人と同じ起訴手続へ進んだわけではない。捜査機関による逮捕・送検の後、4人は6月26日に家庭裁判所へ送致され、家裁が保護処分と刑事処分のどちらが相当かを判断する段階に入った。

事件発生から3日で、少年4人と竹前夫妻の計6人が逮捕された

少年の逮捕は事件当日の5月14日から始まり、15日、16日と続いた。栃木県警は16日夜までに、現場にいたとみる16歳の少年4人全員を強盗殺人容疑で逮捕したと発表している。防犯カメラ映像や逃走経路の確認が、逃走した少年の特定につながった。

翌17日には竹前海斗・美結両容疑者も逮捕された。海斗容疑者は羽田空港の国際線ターミナルで出国直前に確保されたと共同通信が報じている。少年らの供述と防犯カメラのリレー捜査などから夫婦の関与が浮上し、事件発生から3日間で逮捕者は計6人になった。

事件当日、逮捕された6人は初めて全員で集まったとみられている

共同通信によると、竹前夫妻と少年4人は、事件当日に現場へ向かう前、6人全員では初めて顔を合わせていたとみられている。捜査本部はこの集合を事件の打ち合わせとみて調べた。犯行時に少年が着用したとみられる衣服も現場周辺で見つかり、逃走時に脱ぎ捨てられた可能性が捜査された。

一部の少年と夫婦には事件前から接点があったとの捜査情報もあるが、4人全員が同じ経路で集められたわけではない。少年の一人が他の少年を勧誘した可能性も報じられており、実行役がどのように集められたのかはグループの構造を解明する重要な論点になった。

少年4人は6月26日に家裁送致され、7月に全員が検察官送致された

最初に逆送が明らかになったのは川崎市の少年で、横浜家裁川崎支部が7月16日付で検察官送致を決定した。残る相模原市の少年3人についても、横浜家裁が7月21日、22日付で順次逆送を決めた。

「逆送」は有罪判決ではない。家庭裁判所が成人と同じ刑事裁判に付すのが相当と判断し、事件を検察官へ戻す手続である。その後、検察が起訴し、地方裁判所で刑事責任が審理される。本件では4人全員がこの段階を経た。

7月31日までに実行役4人全員が起訴された

逆送後、少年4人は順次起訴された。7月31日、相模原市の16歳と17歳の少年2人が強盗殺人などの罪で起訴され、FNNはこれで実行役とされる4人全員が起訴されたと報じた。事件時16歳でも、起訴時の年齢が異なる少年が含まれる。

起訴内容は、富山さんを殺害し、息子2人を殺害しようとしたとする強盗殺人・強盗殺人未遂などである。ここから先は、捜査段階で語られた供述や役割分担をそのまま確定事実にするのではなく、公判での証拠評価と判決を待つ必要がある。

竹前海斗・美結両被告は「指示役」とみられ、6月29日に起訴された

少年らへの指示役とみられるとして逮捕されたのが、横浜市の竹前海斗被告と妻の美結被告だった。宇都宮地検は2026年6月29日、強盗殺人、強盗殺人未遂、住居侵入などの罪で2人を起訴した。飼い犬を殺したとする動物愛護法違反も起訴内容に含まれる。

共同通信によると、起訴時に地検は2人の認否を明らかにしていない。捜査関係者への取材では夫婦が事件への関与を否定しているとされた。FNNは、海斗被告が少年へ「住人を殺害してでも金品を奪え」という趣旨の指示をしたとみられると報じたが、これは捜査側の見立てであり、判決による認定ではない。

事件は「少年4人と夫婦」の6人だけでは終わらなかった

捜査本部は、現場にいたとされる少年4人と竹前夫妻を逮捕した後、さらに上位で事件を動かした疑いがある人物として益田和彦容疑者を特定した。益田容疑者には強盗殺人容疑で逮捕状が出され、5月29日に公開手配された。

捜査関係者への取材では、益田容疑者が匿名性の高い通信アプリなどを通じて竹前被告へ強盗を持ち掛けた疑いが報じられている。ただし、益田容疑者は未逮捕で、本人の供述も刑事裁判もない。事件全体の最上位指示者が誰だったのかは、現時点で裁判上確定していない。

バール購入の記録や交通系ICカード、防犯カメラから益田容疑者が浮上した

共同通信によると、捜査本部は事件で使われたとみられるバールの購入経路も追った。益田容疑者は神奈川県内のホームセンターで現金購入した際にポイントを付け、電車移動では交通系ICカードを使用していたとされる。こうした利用履歴と防犯カメラ映像の照合が、益田容疑者を特定する手掛かりになった。

捜査は実行役4人と竹前夫妻だけでなく、少年を紹介した経路にも及んだ。5月30日には、事件前日に16歳の少年を別の16歳少年へ紹介した疑いで、相模原市の18歳高校生が職業安定法違反容疑で逮捕された。これは強盗殺人そのものの起訴事実とは別の捜査で、少年を有害な仕事へ勧誘・紹介した疑いを調べる手続だった。

益田容疑者は事件3日後に出国し、国際手配された

FNNによると、益田容疑者は事件後、成田空港から中国などを経由して東南アジアへ向かったとみられている。警察庁はICPO=国際刑事警察機構を通じ、身柄拘束を求める国際手配を行った。

ICPOは顔写真のほか、やけど痕や手術痕などの身体的特徴も公開し、情報提供を求めた。国内で逮捕状を取ったこと、公開手配したこと、国際手配したことはいずれも捜査手続であり、益田容疑者が裁判で有罪認定されたことを意味しない。

家族2人への攻撃は、富山さん殺害とは別に強盗殺人未遂として扱われた

事件の被害は富山さん1人の死亡にとどまらない。長男と次男は、物色中の住宅へ駆け付けた際に襲われ、重傷を負った。捜査本部は少年らをこの2人への強盗殺人未遂容疑でも再逮捕し、後の起訴内容にも組み込まれた。

死亡した1人と負傷した2人を「親子3人死傷」と一括りにすると、罪名の違いが見えにくい。富山さんについては強盗殺人、息子2人については強盗殺人未遂として刑事責任が問われている。判決では、各被告人がどの行為を行い、どこまで共謀していたかが個別に判断されることになる。

飼い犬の殺害も独立した起訴内容になった

本件では、侵入前に飼い犬が殺されたとする行為が動物愛護法違反として起訴されている。単なる現場の付随情報ではなく、竹前夫妻や少年らの刑事事件を構成する一つの罪として扱われている点が特徴的だ。

捜査側は、犬が吠えることを避けるための行為だったとみていると報じられた。これも犯行準備や共謀の範囲を考える材料になるが、最終的に誰が実行し、誰が指示し、他の被告人がどこまで認識していたかは公判で判断される。

「指示役」「主導役」「実行役」は捜査上の整理で、刑事責任の最終結論ではない

報道では、少年4人を「実行役」、竹前夫妻を「指示役」、益田容疑者を「主導役」と呼ぶことが多い。この区分は事件の構造を理解するうえで便利だが、裁判所が確定した役割分担ではない。

起訴された6人については、今後の刑事裁判で共謀の範囲、各人の認識、具体的な実行行為などが争われる可能性がある。益田容疑者は未逮捕で、刑事裁判の被告人にもなっていない。法的段階を揃えずに全員を「犯人」と書けば、捜査情報と司法判断を混同することになる。

2026年8月時点、二つの手続が並行して続いている

一つは、すでに起訴された竹前夫妻と少年4人に対する刑事裁判である。もう一つは、国際手配された益田容疑者の所在捜査だ。事件全体は、逮捕・起訴で終結した状態ではない。

2026年8月26日時点で、起訴された6人に対する有罪判決が出たことは確認されていない。少年4人についても、逆送と起訴は刑事裁判へ進んだことを示す手続であり、判決そのものではない。今後の公判と益田容疑者の身柄確保の有無によって、事件の法的な位置付けはさらに更新される。

参考資料・出典

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