厚真猟銃事件は、2011年2月4日午前、北海道勇払郡厚真町字桜丘の山林で、林業作業中だった新渡戸勝彦さん(当時45歳)が銃弾を受けて死亡した未解決事件である。現在でも北海道警察の情報提供ページは公開されており、事件は解明されていない。「誤射事故」だったのか、故意の発砲だったのかという根本部分も、司法上確定していないままである。
- 2011年2月4日に厚真町の山林で何が起きたのか オレンジ色の上衣を着た2人と青色系RV車の目撃情報
- なぜ業務上過失致死としての公訴時効が問題になったのか 誤射説と故意の発砲をめぐる論点、現在の捜査状況
- 厚真猟銃事件が発生してから事件が発覚するまでの経緯
厚真猟銃事件警察の表記勇払郡厚真町発生の業務上過失致死事件の概要
| 事件名 | 厚真猟銃事件警察の表記勇払郡厚真町発生の業務上過失致死事件 |
|---|---|
| 発生日・期間 | 2011年2月4日午前9時30分ごろ |
| 発生場所 | 北海道勇払郡厚真町字桜丘の山林内 |
| 被害 | 新渡戸勝彦さん(当時45歳) |
| 現在の状況 | 厚真猟銃事件は、2011年2月4日午前、北海道勇払郡厚真町字桜丘の山林で、林業作業中だった新渡戸勝彦さん(当時45歳)が銃弾を受けて死亡した未解決事件である。現在でも北海道警察の情報提供ページは公開されており、事件は解明されていない。「誤射事故」だったのか、故意の発砲だったのかという根本部分も、司法上確定していないままである。 |
2011年2月4日に厚真町の山林で何が起きたのか オレンジ色の上衣を着た2人と青色系RV車の目撃情報
北海道警察によると、新渡戸勝彦さんはこの山林で林業作業に従事していた。その最中に銃弾を受け、死亡した。現場は厚真町の中心市街地から北方向へ約8キロ、新千歳空港から東へ約16キロの位置にある。町道10号線や道道235号線から延びる、行き止まりの町道「幌里本線」沿いの地域だった。
周辺には知決辺川が流れ、一般住宅も点在している。完全に人の立ち入らない奥深い原生林ではなく、町道や林業活動、人の生活圏が存在する場所だった。冬の北海道ではエゾシカ猟などで銃器を持つハンターが山林に入ることがある。事件当初から、狩猟中に発射された銃弾が新渡戸さんに命中した可能性が捜査の重要な焦点となった。
現場付近で目撃されたオレンジ色の上衣を着た2人
厚真猟銃事件には、現在も北海道警察が公開している極めて重要な目撃情報がある。事件現場付近で目撃されたのは2人。警察によると、いずれもオレンジ色の上衣を着用していた。ジャンパーやチョッキのような服装だったとされている。狩猟現場では、他のハンターや作業者から視認されやすくするため、目立つ色の衣服が用いられることがある。このため、目撃された2人は報道で「ハンター風の人物」などと伝えられていた。
ただし、2人の身元は特定されておらず、発砲者であることも司法上確定していない。北海道警察が現在公開しているのは、事件に関連する可能性がある人物・車両についての情報提供を求める内容である。目撃情報が存在しながら、なぜ2人が名乗り出なかったのか。別人だったのか、それとも事件との関係を隠したのか。この点は事件最大の謎の一つである。
青色・水色系のRV車はどこへ消えたのか
人物情報と並ぶ重要な手掛かりが車両である。北海道警察は、事件に関連する可能性のある使用車両として青色・水色系のRV車を挙げている。事件当時の厚真町周辺は、積雪期の山林を移動する必要があった。RV車や四輪駆動車は珍しい存在ではなく、色の情報だけで一台に絞り込むことは困難である。
それでも、オレンジ色の上衣を着た2人と青色系RV車という組み合わせは、警察が現在まで公開を続ける具体的情報である。事件当日に同様の2人組を見た、知人が似た車で狩猟に出かけていた、事件後に車を急に処分したといった記憶が捜査につながる可能性がある。一方、ネット上では特定車種を断定する投稿もありますが、北海道警察の公式情報は「青色・水色系のRV車両」という範囲である。公的根拠なくメーカーや所有者を特定することはできない。
警察はなぜ「誤射」の可能性を重視したのか
北海道警察の公式ページでは、本件を「業務上過失致死事件」として掲載している。これは長年の捜査で、狩猟中の発砲による誤射の可能性が重要視されてきたことと関係する。山林で狩猟用の銃器が使用され、別方向にいた人へ弾丸が命中したのであれば、発砲者が人を殺す意思を持っていなかった可能性がある。その場合、殺人罪とは異なる法的評価が問題になる。
しかし、本件では発砲者本人が特定されていない。誰が、どこから、何を狙って撃ったのかについて、刑事裁判で認定された事実はない。そのため「シカと間違えて撃った」と確定しているわけでもなければ、「新渡戸さんを狙って射殺した」と確定しているわけでもない。死亡原因が銃撃であることと、発砲者の故意・過失を法的に認定することは別問題である。
「人とシカを本当に見間違えるのか」という疑問
事件後、狩猟関係者や報道の間で繰り返し議論されたのが、「本当に単純な誤射だったのか」という疑問である。新渡戸さんは林業作業中で、周辺では人が活動していた。銃を発射する際には標的とその周囲、安全な射線を確認することが大前提である。もし目撃された2人が発砲に関与していたと仮定した場合、事故後に救護や通報をせず現場を離れたのはなぜかという疑問も残る。こうした事情から、ネット上では故意の殺人説も語られていた。
ただし、「誤射ではあり得ない」「2人組が意図的に殺害した」と断定できる公的証拠は公開されていない。目撃された2人が実際の発砲者かどうかも確定していない以上、故意犯説は未確認の推測として扱う必要がある。
発射した銃を特定できず、長期捜査は難航
銃器事件では、使用された弾丸や薬きょう、銃身内部に由来する痕跡などが、発射銃を特定する重要な手掛かりになる場合がある。厚真猟銃事件でも、警察は現場周辺で大規模な捜索を行った。事件後には捜査員が現場付近の土をふるいに掛け、弾丸などの証拠を探す様子も報じられている。
警察は銃の所持者や狩猟関係者への捜査を進めましたが、発砲者の特定には至らなかった。合法的に所持された銃なのか、北海道内の人物なのか、道外から来た人物なのかについても、最終的な結論は公表されていない。ネット上では「道外の遠征ハンター説」が語られることがある。苫小牧周辺にはフェリー航路があるため、事件後に道外へ移動したのではないかという推測である。しかし、道外ハンターの犯行を裏付ける公的な確定情報はない。
2021年2月、業務上過失致死罪としての公訴時効が成立
事件捜査に大きな節目が訪れたのは、発生から10年後の2021年だった。当時の報道によると、2021年2月4日、業務上過失致死罪としての公訴時効が成立した。誤射による過失事件として発砲者を処罰する道は、時効によって重大な制約を受けることになった。ここで注意すべきなのは、「時効成立=事件の真相が誤射と確定した」という意味ではないことである。むしろ発砲者が特定されず、故意か過失かを裁判で確定できないまま時間が経過した。
2021年当時の報道では、警察は殺人の可能性も視野に入れ、時効成立後も捜査を続けるとされた。人を死亡させた殺人罪については公訴時効がなく、故意の発砲を立証できる場合には過失事件とは法的状況が異なる。ただし、殺人罪で誰かが立件されたわけではない。発砲者の特定に加え、殺意など故意の立証が必要となるため、極めて高い捜査上のハードルがある。
「事故」か「殺人」かが未確定のまま残る異例の事件
厚真猟銃事件の特殊性は、単に犯人が捕まっていないことだけではない。刑事責任の根幹となる「故意か過失か」も確定していない点にある。過失による誤射なら、狩猟時の安全確認を怠って他人を死亡させた事件という構図になる。故意なら、銃器を使って人の命を奪った殺人事件である。
両者では犯罪の性質も、必要な立証も大きく異なる。発砲者が見つかっていない本件では、本人への事情聴取、銃器の鑑定、発射位置の確認といった核心的な捜査が十分に進められない難しさがある。だからこそ、「厚真猟銃殺人事件」と一律に断定することには慎重さが必要である。一般には「厚真猟銃事件」と呼ばれ、北海道警察の公開ページでは業務上過失致死事件として案内されている。
現在も未解決、北海道警察は情報提供を継続
現在でも、発砲者は特定・逮捕されていない。本件について起訴された人物もおらず、刑事裁判による事実認定は行われていない。北海道警察の公式サイトには現在も、厚真町で発生した事件に関する情報提供ページが掲載されている。そこでは新渡戸勝彦さんが銃弾を受け死亡した事実とともに、2人の人物、服装、車両の特徴が公開されている。
事件発生から15年以上が経過しており、当時30代だった人物でも現在は40代後半以上になっている。車両が売却・廃車され、服装や外見が変化している可能性もある。それでも、当時一緒に狩猟へ出た人物、事件後に不自然な言動をした知人、突然銃や車を処分した人物など、周辺者の記憶が残っている可能性はある。長期未解決事件では、時間の経過後に人間関係が変化し、新たな証言が得られることもある。
北海道警察が現在も求めている情報
北海道警察は公式に、事件が発生した時間帯に現場付近を通行した人や、目撃された人物・車両に関する情報を求めている。
- 2011年2月4日午前9時30分ごろ、厚真町字桜丘周辺を通行した
- オレンジ色の上衣を着た2人を見た
- 青色・水色系のRV車に心当たりがある
- 当日、厚真町周辺へ狩猟に出かけた人物を知っている
- 事件後に銃や車を急に処分した人物について知っている
北海道警察が現在案内している連絡先は、北海道警察本部「011-251-0110」および札幌方面苫小牧警察署「0144-35-0110」である。最寄りの警察署・交番からの情報提供も受け付けている。警察は情報提供者の秘密を厳守すると案内している。事件当時は重要と思わなかった記憶でも、既存の捜査資料と照合することで新たな意味を持つ可能性がある。
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