宮崎・高千穂6人殺人事件|家族5人と仲裁に来た知人を殺害・飯干昌大は死亡し動機不明

公開日 2026年3月9日
最終更新 2026年7月31日

宮崎・高千穂6人殺人事件は、2018年11月25日夜から26日朝にかけて、宮崎県西臼杵郡高千穂町押方の民家で家族5人と知人男性1人が殺害された大量殺人事件である。ただし飯干本人が死亡していたため、刑事裁判は開かれていない。宮崎地検は2019年10月に不起訴処分とし、現在でもなぜ家族と知人6人を殺害したのか、動機は解明されないままである。

POINT
この記事でわかること
  • 2018年11月に高千穂町で6人が殺害された経緯
  • 被害者となった家族5人と知人男性の関係
  • 夫婦間のトラブルを仲裁しに来た知人が巻き込まれた流れ
  • 飯干昌大が容疑者と特定された主な捜査状況
  • 被疑者死亡のまま書類送検され、不起訴となった理由
  • 動機が今も断定できない理由と現在の状況
事件名高千穂6人殺害事件
一般的な呼称宮崎・高千穂6人殺人事件、高千穂一家6人殺害事件など
発生日2018年11月25日夜から26日朝にかけてとみられる
発覚日2018年11月26日
場所宮崎県西臼杵郡高千穂町押方
死亡者数6人
被害者一家5人と知人男性1人
被疑者飯干昌大(当時42歳)
主な凶器山刀状の刃物2本など
被疑者の状況事件後、橋から転落し死亡したと判断
捜査結果宮崎県警が単独犯行と特定
書類送検2019年7月24日、殺人容疑
処分2019年10月、被疑者死亡により不起訴
動機解明されず
現在刑事手続きは終了。犯行動機など一部は不明

被害者は3世代の家族5人と知人男性

事件現場となったのは、高千穂町押方にある農業・飯干保生さんの住宅だった。殺害されたのは次の6人である。

  • 飯干保生さん(72歳)
  • 妻・実穂子さん(66歳)
  • 次男の妻・美紀子さん(41歳)
  • 次男の長男・拓海さん(21歳)
  • 次男の長女・唯さん(7歳)
  • 知人・松岡史晃さん(44歳)

一家は祖父母、親世代、孫世代が暮らす3世代の家庭だった。そこへ事件当日の夜、家族ではない松岡さんが訪れている。後の捜査や報道から、松岡さんは飯干昌大夫妻のトラブルを仲裁するため呼ばれたとみられた。

事件直前まで妻と7歳長女は家族旅行に参加していた

事件の不可解さを深めたのが、その直前までの様子である。飯干昌大は妻の美紀子さん、7歳の長女・唯さんとともに、勤務先関係の旅行へ参加していた。周囲からは大きな異変が見えず、家族3人は旅行を終えて帰宅したとされている。ところが、その日の夜には家庭内で深刻なトラブルが起きていたとみられる。

数時間前まで家族で行動していた住宅で、翌朝までに6人が殺害された。外から見える家族像と、事件直前に起きていた事態との落差も社会へ強い衝撃を与えた。

11月25日夜、知人男性が「夫婦げんかの仲裁」へ向かった

知人の松岡史晃さんは、高千穂町に隣接する五ケ瀬町で暮らし、消防団活動にも参加していた。2018年11月25日夜、松岡さんは飲み会の場を離れ、飯干家へ向かう。周囲には夫婦間のトラブルを仲裁しに行くという趣旨を伝えていたと報じられた。

松岡さんは以前にも夫婦の間へ入ったことがあったとされる。今回も話を収めるために向かった可能性が高いとみられた。しかし松岡さんも住宅内で殺害される。争いの当事者ではなく、仲裁のため現場へ足を運んだ知人まで命を奪われた。本件の被害を考えるうえで外せない経緯である。

11月26日、民家から男女6人の遺体を発見

翌26日朝、飯干昌大は勤務先へ現れなかった。普段とは異なる欠勤を不審に思った関係者が家族へ連絡。さらに一家とも連絡が取れず、警察へ確認を求める流れとなる。警察官が住宅を訪れると、屋外で女性1人、屋内で男性3人と女性2人、計6人の遺体が見つかった。

被害者には刃物による激しい外傷が確認され、宮崎県警は殺人事件として捜査を開始する。ところが、この家で生活していた飯干昌大の姿だけがなかった。

妻と7歳長女には首を圧迫された痕

6人は全員が同じ方法で殺害されたわけではない。妻の美紀子さんと長女の唯さんは脱衣場付近で発見され、目立った刃物傷とは異なる状態だった。首には圧迫されたとみられる痕があり、唯さんの死因は窒息死と判明している。一方、保生さん、実穂子さん、拓海さん、松岡さんには頭部や頸部を中心に激しい刃物傷が確認された。

実穂子さんは屋外で発見され、男性3人は屋内で倒れていた。7歳の子どもを含む6人へ異なる方法で攻撃が加えられたことから、県警は強い殺意に基づく犯行とみて捜査を進めた。

凶器とみられる2本の山刀、DNA型と血痕を捜査

現場からは、凶器とみられる山刀状の刃物2本が発見された。県警は刃物の柄や付着物を鑑定。飯干昌大のDNA型や被害者の血痕との関係を調べた。さらに飯干の衣類、住宅内の痕跡、事件前後の行動も検証されている。

後に県警は、第三者が犯行へ加わったことを裏付ける証拠はないと判断した。

行方不明だった飯干昌大、橋の下の川で死亡

6人の遺体発見後、捜査の焦点は行方不明の飯干昌大へ向かった。現場から離れた神都高千穂大橋付近では、飯干が使用していた車が発見される。同日夕方、橋の下を流れる五ヶ瀬川で男性の遺体が見つかり、後に飯干本人と確認された。

橋の欄干に残された痕跡や目撃情報などから、県警は飯干が事件後に橋から飛び降りたと判断している。この時点で、6人を殺害した疑いを持たれた人物から直接事情を聴くことはできなくなった。

本当に飯干昌大の単独犯行だったのか

事件直後には、6人もの被害者がいることから、第三者の関与を疑う見方もあった。県警は長期間にわたり、現場のDNA型、血痕、凶器、被害者と関係者の行動、通信状況などを捜査する。その結果、2019年7月、飯干昌大が単独で6人を殺害したと特定した。

これは裁判所による有罪判決ではないという点である。飯干は死亡しており、公判で証拠を争う機会はなかった。法的には、警察が殺人容疑で送検し、検察が被疑者死亡を理由に不起訴とした事件である。

「不倫トラブルが原因」は確定した事実ではない

事件後、広く報じられたのが夫婦間の男女関係をめぐるトラブル説である。実際、事件直前に夫婦間で深刻な争いがあり、松岡さんが仲裁へ向かったとみられることから、何らかの夫婦問題が発端になった可能性は捜査された。一方、妻の不倫が事実だったと司法手続きで確定したわけではない。

「夫の女性関係が原因」「妻の不倫が原因」「被害妄想だった」など、報道や周辺証言には複数の情報がある。飯干本人は死亡し、遺書も確認されなかった。県警も最終的に犯行動機は判明しなかったとしている。

なぜ7歳の娘や21歳の長男まで殺害したのか

夫婦間のトラブルだけでは説明し切れない最大の問題が、被害者の範囲である。殺害されたのは妻だけではない。72歳の父、66歳の母、21歳の長男、7歳の長女。そして仲裁に訪れた44歳の知人男性まで命を奪われた。

家族旅行へ一緒に参加していた7歳の娘まで、なぜ殺害対象となったのか。成人した長男はどの段階で事件に巻き込まれたのか。殺害の正確な順序や、一人ひとりへ攻撃を加えた理由は解明されていない。この点こそ、事件が「犯人は特定されたが真相の核心が残った事件」とされる理由である。

2019年7月、被疑者死亡のまま殺人容疑で書類送検

事件発生から約8カ月後の2019年7月24日、宮崎県警は飯干昌大を6人に対する殺人容疑で書類送検した。県警は、凶器とみられる刃物の鑑定結果や現場証拠などから単独犯行と特定。一方、動機については解明に至らなかった。

「書類送検」は有罪判決ではない。捜査機関が事件記録を検察へ送り、起訴するかどうかの判断を求める手続きである。

2019年10月、被疑者死亡で不起訴処分

2019年10月、宮崎地検は飯干を不起訴処分とした。理由は被疑者本人が死亡しているためである。死亡した人物を刑事裁判へ出廷させ、刑罰を科すことはできない。そのため本件には、一審判決、控訴審、確定刑といった裁判経過が存在しない。

同時に、不起訴だから警察が「無実と判断した」という意味でもない。警察は6人殺害の被疑者と特定したが、本人死亡により裁判には至らなかった。これが法的な経過である。

現在の状況|事件処理は終了、動機は不明のまま

現在も、新たな被告人が起訴された事実や、第三者の共犯が判明した事実は確認されていない。宮崎県警は飯干昌大の単独犯行と特定し、殺人容疑で書類送検。宮崎地検は被疑者死亡により不起訴としている。したがって、通常の意味で「犯人が分からない未解決事件」と表現するのは適切ではない。

一方、動機、殺害順序、家族全員と知人まで殺害した理由は十分に解明されていない。捜査上の被疑者は特定された。それでも事件の核心は残ったまま。高千穂6人殺害事件は、そうした異例の結末を迎えている。

宮崎・高千穂6人殺人事件が残したもの

2018年11月25日、飯干昌大は妻、7歳の娘とともに旅行から戻った。その夜、家庭内でトラブルが起きたとみられ、知人の松岡史晃さんが仲裁のため住宅へ向かう。翌日、家から見つかったのは6人の遺体だった。

祖父母。41歳の妻。21歳の長男。小学2年生の7歳女児。そして争いを収めようと訪れた知人男性。一つの夜を境に、3世代の家族と知人の命が失われた。被疑者とされた飯干も、事件について語ることなく死亡している。

後の捜査で単独犯行と特定されても、「なぜ」という問いには答えが残らなかった。夫婦げんかがあった可能性は高い。男女関係をめぐる報道もあった。しかし、それだけで7歳の娘や21歳の長男、両親、仲裁役の知人まで殺害した理由は説明できない。宮崎・高千穂6人殺人事件は、6人が殺害された重大な大量殺人事件であると同時に、被疑者死亡によって刑事裁判が開かれず、犯行動機の核心が解明されないまま終結した事件である。

6人の遺体が発見されたのは2018年11月26日である。殺害は前日の25日夜から26日朝にかけて行われたとみられている。

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