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鳥取連続不審死事件|男たちを支配し金を奪った上田美由紀の連続殺人

事件概要

項目内容
事件名鳥取連続不審死事件
発生2009年4月、2009年10月
発生場所鳥取県北栄町、鳥取市
被害者矢部和実さん(当時47歳)、圓山秀樹さん(当時57歳)
犯人上田美由紀
犯行強盗殺人、詐欺など
逮捕2009年11月
判決死刑(2017年確定)
死刑執行執行されず、2023年に拘置所で死亡
性質金銭目的の連続不審死事件

事件の注目ポイント

鳥取連続不審死事件は、2009年に鳥取県で男性2人が相次いで不審死した事件である。犯人の 上田美由紀 は、交際関係や金銭関係を通じて男性たちを支配し、最終的に睡眠導入剤を飲ませたうえで溺死させたと認定された。

この事件が特に異様だったのは、上田が周囲の男性に借金や保険、金銭負担を背負わせる一方で、自らは被害者の家族や知人にも平然と接していた点にある。裁判では、直接的な目撃証言が乏しい中でも、金銭の流れ、睡眠導入剤、死亡状況、被告の行動を積み重ねて犯行が認定された。

事件の発生

最初の事件は2009年4月4日に起きた。トラック運転手の 矢部和実さん が行方不明となり、同月11日に鳥取県北栄町の日本海で遺体が見つかった。捜査では、上田が借金返済を免れるため、矢部さんに睡眠導入剤を飲ませて海に入水させたと認定されている。

2件目は2009年10月6日に発生した。家電販売店を営んでいた 圓山秀樹さん が集金に出かけた後に行方不明となり、翌7日に鳥取市内を流れる川で遺体が発見された。こちらも睡眠導入剤を飲ませたうえで溺死させたと認定された。

犯行状況

裁判で認定された犯行の特徴は、被害者を暴力で制圧するのではなく、関係性を利用して無防備な状態にしたうえで殺害した点にある。上田は被害者男性と金銭的・心理的な結びつきを作り、その立場を利用して睡眠導入剤を摂取させていた。

そのうえで、矢部さんは海で、圓山さんは川で死亡している。いずれも表面的には事故や自殺にも見えうる状況だったが、捜査の結果、睡眠導入剤の存在と被告の利得が共通し、連続した強盗殺人事件として立件された。

捜査経過

事件の端緒となったのは、2009年11月の詐欺容疑による逮捕だった。警察が上田の金銭トラブルを調べる中で、周辺の男性の不審死との関係が浮かび上がり、2件の死亡事件が本格的に再検証された。

その後、捜査は被害者との関係、被害者が置かれていた経済状況、睡眠導入剤の入手や使用状況などを中心に進んだ。目撃証言に乏しい事件だったが、警察は状況証拠を積み重ね、上田を強盗殺人罪で起訴した。

裁判

裁判では、体格差のある男性2人を女性の上田が単独で溺死させることが可能かが大きな争点になった。弁護側は無罪を主張したが、裁判所は、睡眠導入剤で意識を低下させたうえで入水させることは可能であり、各種状況証拠は合理的疑いを超えると判断した。

2012年に鳥取地裁は死刑判決を言い渡し、2014年に広島高裁松江支部も控訴を棄却した。さらに2017年7月に最高裁が上告を棄却し、同年8月の訂正申し立ても退けられて死刑が確定した。

事件背景

この事件の背景には、上田美由紀が周囲の男性との関係を利用して、借金、立替え、物品購入、金銭援助を受け続けていた構図がある。被害者2人はいずれも、上田との関係の中で経済的負担を負わされ、その末に命まで奪われたと認定された。

事件は、単純な保険金殺人とも、単純な男女トラブルとも言い切れない。むしろ、人間関係そのものを支配の道具に変え、金を搾り取った末に殺害するという点に、この事件の本質がある。

社会的影響

鳥取連続不審死事件は、地方都市で起きた連続不審死が、実は金銭目的の連続殺人だったという点で大きな衝撃を与えた。特に、外見上は普通の交際や知人関係に見える人間関係の中で、ここまで支配的な搾取と殺害が起きていたことが社会に強い不安を与えた。

また、裁判では状況証拠中心で死刑が維持されたことから、証拠評価や死刑判断のあり方も議論になった。事件は、首都圏連続不審死事件などと並び、2000年代後半の「連続不審死」型事件として語られることが多い。

現在の位置づけ

鳥取連続不審死事件は、上田美由紀に死刑が確定した重大連続殺人事件として位置づけられている。ただし、2023年1月、上田は広島拘置所で食べ物を喉に詰まらせて窒息死しており、死刑は執行されなかった。

そのため本件は、死刑確定後に獄死した女性死刑囚事件としても記憶されている。事件の核心は、恋愛や交際を装った関係の中に、金銭支配と殺意が潜んでいた点にある。

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