銀座資産家夫婦強盗殺人事件|渡辺剛が夫婦を誘い出し絞殺・事前購入した土地に埋め死刑確定

公開日 2026年3月18日
最終更新 2026年7月31日
カテゴリー 2010年代 死刑

銀座資産家夫婦強盗殺人事件は、2012年12月7日、スイス在住の資産家夫婦が東京都中央区銀座の滞在先を出た後に殺害され、埼玉県久喜市の土地へ埋められた強盗殺人事件である。東京地裁は2014年に死刑を言い渡し、東京高裁も維持。2018年12月21日、最高裁第二小法廷が上告を棄却し、死刑が確定した。現在も、渡辺について死刑執行または死亡を示す公的発表は確認されていない。

POINT
この記事でわかること
  • 銀座から消息を絶った資産家夫婦が久喜市で遺体発見されるまでの経緯
  • 自動車、睡眠薬、ロープ、土地まで準備した高度な計画性 渡辺剛が主張した「第三者が殺害した」という弁解と裁判所の判断
  • 2014年の死刑判決から2018年の最高裁上告棄却までの裁判経過

銀座資産家夫婦強盗殺人事件の概要

事件名銀座資産家夫婦強盗殺人事件
発生日・期間2012年12月7日失踪前の場所東京都中央区銀座のマンション
被害霜見誠さん(当時51歳)、妻の美重さん(当時48歳)
被告人等渡辺剛
裁判・捜査状況強盗殺人、死体遺棄、詐欺未遂/2014年9月19日、東京地裁が死刑/2016年3月16日、東京高裁が控訴棄却/2018年12月21日、最高裁第二小法廷が上告棄却/死刑現在の状況現在も死刑執行・死亡を示す公的発表は確認されていない 「銀座資産家夫婦殺人事件」だが殺害現場が銀座だったわけではない
現在の状況銀座資産家夫婦強盗殺人事件は、2012年12月7日、スイス在住の資産家夫婦が東京都中央区銀座の滞在先を出た後に殺害され、埼玉県久喜市の土地へ埋められた強盗殺人事件である。東京地裁は2014年に死刑を言い渡し、東京高裁も維持。2018年12月21日、最高裁第二小法廷が上告を棄却し、死刑が確定した。現在も、渡辺について死刑執行または死亡を示す公的発表は確認されていない。

銀座から消息を絶った資産家夫婦が久喜市で遺体発見されるまでの経緯

霜見さん夫婦はスイスを生活拠点とし、日本へ一時帰国していた。そして2012年12月7日、東京都中央区銀座のマンションを出た後に消息を絶ったため、銀座の資産家夫婦失踪事件として注目された。最高裁判決が認定した強盗殺人の中心的な犯行場所は自動車内である。殺害後、遺体は東京都外へ運ばれ、埼玉県久喜市の土地へ埋められた。

したがって、本件は銀座から誘い出された夫婦を殺害し、埼玉県へ遺棄した広域的な強盗殺人事件と整理するのが正確である。

被害者はスイス在住の霜見誠さんと妻・美重さん

殺害されたのは霜見誠さん(当時51歳)と妻の美重さん(当時48歳)である。霜見さんは金融・投資分野で活動し、報道ではファンドマネジャーや金融会社役員などと紹介された。夫婦はスイスを生活拠点としており、事件当時は日本へ一時帰国していた。渡辺剛は、全く接点のない夫婦を偶然見つけて襲ったわけではない。最高裁判決は被害者2人を渡辺と「親交のある資産家夫妻」と整理している。

この関係性が犯行を可能にした。夫婦側から見れば、渡辺は見知らぬ侵入者ではなく、一定の交流がある人物だった。裁判所は、渡辺がその信頼関係を利用して2人を巧みに誘い出したと認定している。

2012年12月7日、夫婦は銀座のマンションを出た後に消息を絶つ

2012年12月7日、霜見さん夫婦は銀座のマンションを出た。当時報道では、渡辺が栃木県日光市方面で開かれるパーティーなどの話を使って夫婦を誘い出したと伝えられている。著名人が参加する催しであるかのような説明があったとの報道もある。ただし、最高裁判決が量刑判断上明確に認定している核心は、渡辺がクレジットカードなどを強奪する目的で夫婦を「巧みに誘い出した」という点である。

夫婦はその後、家族や勤務関係者との連絡が途絶えた。海外在住者が一時帰国中に2人そろって消息を絶ったことで、単なる一時的な連絡不通では説明しにくい状況となる。

渡辺剛は犯行用の車、睡眠薬、ロープ、フックを事前準備

最高裁が死刑を維持するうえで特に重視したのが、犯行の高度な計画性だった。渡辺は事前に、次のような物を準備していた。

  • 殺害に使用する自動車
  • 夫婦を抵抗困難な状態にする睡眠薬
  • 首を絞めるロープ
  • ロープを通すためのフック
  • 遺体を埋める土地
  • 遺体を埋めるための穴

特に異例なのが、夫婦を殺害する前から遺体を埋める土地を購入し、穴まで掘っていたことである。殺害後に慌てて遺棄場所を探した事件ではない。人を殺害し、その遺体を発見されにくくする段階まで事前に準備していた。最高裁は、この一連の事情から「周到に準備された高度に計画的な犯行」と評価している。

自動車内で夫婦に多量の睡眠薬を服用させた

夫婦を誘い出した後、渡辺は自動車内で犯行へ進んだ。最高裁判決によると、渡辺は夫婦に多量の睡眠薬を服用させ、睡眠状態に陥らせた。成人2人を同時に襲えば、激しい抵抗を受ける可能性がある。夫婦の一方が逃走したり、通報したりする危険もある。

睡眠薬を利用したことで、2人は抵抗しにくい状態に置かれた。最高裁は、偶発的な争いの中で殺人へ発展したのではなく、当初から強盗殺人を実行するための手段として準備された犯行と判断している。

ロープとフックを組み合わせ、夫婦をそれぞれ絞殺

殺害方法は、最高裁判決に具体的に記載されている。渡辺は睡眠状態となった夫婦の首へ、それぞれロープを掛けた。さらに自動車の後部ドア枠上部へ引っ掛けたフックにロープを通し、そのロープを引っ張って2人を絞殺した。

使用されたロープやフックは、現場で偶然手にした物ではない。最高裁は、渡辺があらかじめ殺害のために準備したと認定している。裁判所は、殺害方法と準備状況から殺意は強固だったと評価した。被害者夫婦には、生命を奪われるような落ち度はなかった。親交のある人物から誘い出され、抵抗しにくい状態にされたうえで殺害された事件である。

殺害後、クレジットカードなどの所持品を強奪

渡辺の刑事責任が「殺人」ではなく強盗殺人として認定されたのは、殺害と財物奪取が結びついていたためである。最高裁判決は、渡辺がクレジットカードなどを強奪する目的で夫婦を誘い出したと認定した。当時の裁判報道では、財布など複数の所持品が奪われたとされている。殺害後の渡辺側の行動からも、奪ったカードを金銭化しようとする意図が明確に表れた。

被害者との間に過去の投資をめぐる感情的対立や不満があった可能性も裁判で取り上げられましたが、司法判断の核心は金品を奪う目的を伴う計画的強盗殺人である。

遺体を埼玉県久喜市へ運び、事前に掘った穴へ埋めた

夫婦を殺害した後、渡辺は遺体を埼玉県久喜市へ運んだ。そこには、すでに遺体を隠すための準備があった。渡辺は事前に土地を購入し、穴を掘っていた。夫婦の遺体は土中へ埋められた。

この事実は、犯行の計画性を示す重要な証拠となった。殺害現場で衝動的に人を殺し、後から遺体処理に困ったのではない。殺害前から「2人の遺体をどこへ隠すか」を具体的に準備していたためである。最高裁も土地購入と穴掘りを明示的に取り上げ、強盗殺人が高度に計画された犯行である根拠とした。

奪ったカードで約381万円分の新幹線回数券を購入しようとした

殺害後、渡辺は奪ったクレジットカードの利用へ進んだ。最高裁判決によると、カードを不正に使い、約381万円相当の新幹線回数券50冊をだまし取ろうとした。しかし購入は成功せず、詐欺は未遂に終わった。

当時、新幹線回数券は換金性の高い商品として悪用されることがあった。高額なカード決済で購入し、別の場所で換金すれば現金化できる。本件では、夫婦を殺害してカードなどを奪った後、実際に高額商品の不正購入へ進んだことが、金銭目的を示す重要な事情となった。

夫婦失踪から約7週間後、久喜市の土地で2遺体を発見

夫婦が消息を絶った後、警視庁は行方を追った。失踪後のクレジットカード利用状況、不審な取引、夫婦と接触した人物などが調べられ、捜査は渡辺周辺へ接近する。2013年1月28日、埼玉県久喜市の土地から男女2人の遺体が発見された。

身元確認が進み、行方不明となっていた霜見さん夫婦と判明。夫婦の失踪事件は、強盗殺人・死体遺棄事件へ大きく転換した。遺体が見つかった場所は、偶然選ばれた山林ではない。渡辺が犯行前から準備していた土地だった。

宮古島へ移動した渡辺剛を逮捕

捜査が進む中、渡辺は沖縄県宮古島市へ移動していた。2013年1月末、警察は渡辺の身柄を確保する。当時報道では、逮捕前に渡辺が洗剤を飲んで自殺を図ったとされ、病院へ搬送された後に逮捕された。当初は死体遺棄をめぐる捜査が進み、その後、詐欺未遂、さらに夫婦に対する強盗殺人へと立件が拡大した。

事件発生から遺体発見、逮捕まで約2か月。事前に土地を購入して遺体を隠した計画は、最終的に捜査によって明らかになった。

元部下の男も逮捕されたが、夫婦殺害の共犯とは認定されていない

本件では渡辺の元部下だった男性も捜査対象となったため、「2人組による強盗殺人」と誤解されることがある。元部下の男性は事件後、渡辺とともに宮古島方面へ移動し、当初は死体遺棄容疑などで逮捕された。しかし、その後の刑事処分では夫婦殺害の実行共犯として有罪になったわけではない。報道では、死体遺棄については嫌疑不十分で不起訴となり、奪われたクレジットカードを利用した新幹線回数券の詐欺未遂事件で有罪判決を受けたとされている。

最高裁が2018年に死刑を維持した強盗殺人事件の被告人は渡辺である。逮捕された人物が複数いることと、夫婦殺害について複数人の刑事責任が司法上認定されたことは同じではない。

渡辺剛は裁判で「第三者が殺害した」と主張

刑事裁判で渡辺は、死体遺棄やカードをめぐる詐欺未遂の一部事実を認める一方、夫婦を自ら殺害したという核心部分を争った。弁護側は、夫婦を殺害したのは別の第三者であるという趣旨の事件像を示した。しかし裁判所は、この説明を信用しなかった。

問題となったのは、単なる供述の印象だけではない。

  • 渡辺が夫婦を誘い出している
  • 殺害用のロープなどを準備している
  • 睡眠薬を準備している
  • 犯行用の自動車を用意している
  • 事前に土地を購入している
  • 遺体を埋める穴を掘っている
  • 殺害後に被害者のカードを利用しようとしている

裁判所はこれらの事情を総合し、渡辺が強盗目的で夫婦を殺害したと認定した。

2014年9月19日、東京地裁が求刑通り死刑判決

2014年9月19日、東京地裁の裁判員裁判は渡辺剛に死刑を言い渡した。検察側の求刑も死刑だった。裁判所は、夫婦殺害だけでなく、遺体処分まであらかじめ予定した高度に計画的な犯行と評価した。親交のある夫婦を信用させて誘い出し、睡眠薬によって抵抗を困難にし、準備したロープとフックで殺害する。その後、事前に用意した穴へ遺体を埋め、奪ったカードの不正使用へ進む。

一審は、一連の行動が偶然重なったものではなく、強盗殺人と証拠隠滅を一体として準備した犯罪だと判断した。渡辺側は判決を不服として控訴した。

2016年3月16日、東京高裁も死刑を維持

2016年3月16日、東京高裁は渡辺側の控訴を棄却した。控訴審でも渡辺側は、自分が夫婦を殺害したのではないという趣旨の主張を続けた。しかし高裁は、犯人は渡辺であり、金品目的の極めて計画性が高い強盗殺人事件だと判断。一審の死刑判決を維持した。

事前にロープなどを用意し、遺体を埋める土地を準備し、殺害後には被害者のカードを使おうとした一連の事情は、第三者犯行説と整合しないと評価された。渡辺側は最高裁へ上告した。

2018年12月21日、最高裁が上告棄却|死刑確定

2018年12月21日、最高裁第二小法廷は渡辺側の上告を棄却した。最高裁判決は事件を、親交のある資産家夫妻を殺害して所持品を強奪し、遺体を土中へ埋め、奪ったクレジットカードで約381万円相当の新幹線回数券50冊をだまし取ろうとした事案と整理している。特に強盗殺人については、次の点を明確に認定した。

  • クレジットカードなどを奪うため夫婦を巧みに誘い出した
  • 自動車内で多量の睡眠薬を服用させた
  • 夫婦の首へそれぞれロープを掛けた
  • 自動車の後部ドア枠上部に掛けたフックへロープを通した
  • ロープを引っ張って2人を絞殺した
  • 自動車、睡眠薬、ロープ、フックを事前準備した
  • 遺体を埋める土地を購入し、穴まで掘っていた

最高裁は、周到に準備された高度に計画的な犯行で、殺意も強固と評価した。死体遺棄や詐欺未遂の事実を認めていること、前科がないことなど渡辺に有利な事情も考慮しましたが、それでも死刑はやむを得ないとして、裁判官全員一致で上告を棄却した。

なぜ前科のない渡辺剛に死刑が選択されたのか

日本の死刑判断は、被害者数だけで自動的に決まるものではない。犯行動機、計画性、殺害方法、結果、遺族感情、前科、犯行後の状況などが総合的に検討される。渡辺には前科がなかった。また、死体遺棄と詐欺未遂の事実を認めている点も、本人に有利な事情として最高裁が明示している。

それでも死刑が維持された最大の理由は、犯行の計画性と結果の重大性である。

  • 落ち度のない夫婦2人を殺害した
  • 親交関係を利用して誘い出した
  • 金品強奪を目的とする強盗殺人だった
  • 睡眠薬で抵抗を困難にした
  • 殺害用のロープとフックを事前準備した
  • 遺体遺棄用の土地を購入した
  • 殺害前から穴を掘っていた
  • 殺害後に奪ったカードを不正利用しようとした

最高裁は、何の落ち度もない2人の生命を奪った結果は重大であり、遺族が峻烈な処罰感情を示すことも当然と判断した。前科がないことを考慮しても、刑事責任は極めて重く、死刑を回避する理由にはならないという結論だった。

現在の状況|死刑確定から7年以上

現在も、渡辺剛について死刑執行または死亡を示す公的発表は確認されていない。本件は未解決事件ではない。渡辺は逮捕・起訴され、東京地裁の裁判員裁判で死刑、東京高裁で控訴棄却、最高裁で上告棄却となった。最高裁判決は2018年12月21日。事件発生から約6年を経て、死刑判断が最終段階に達した。

事件が現在まで記憶される最大の理由は、殺害方法だけではない。知人関係を利用して夫婦を誘い出し、睡眠薬で無力化し、ロープとフックを使って2人を殺害する。そして犯行前から購入していた土地の穴へ埋め、奪ったカードを金銭化しようとする。殺害、強奪、遺体隠蔽、犯行後の換金までを一連の計画として準備した点が、本件の際立った特徴だった。

最高裁が「高度に計画的」「殺意も強固」と評価した銀座資産家夫婦強盗殺人事件は、顔見知りによる信頼関係が重大犯罪に利用された事件であり、2人の命を金銭目的で奪った責任に対して死刑が確定している。

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