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江戸川18歳女性殺害事件|渥美遼馬が交際相手の18歳女性を殺害し、山梨県の山林に遺体を遺棄した事件

事件概要

項目内容
事件名江戸川18歳女性殺害事件(江戸川区18歳女性遺体遺棄事件)
発生時期2023年6月上旬
発生場所東京都内の駐車場内車両、遺体遺棄は山梨県北都留郡小菅村の山林
被害者野本結梨香さん(当時18歳)
犯人渥美遼馬(あつみ りょうま)
犯行種別殺人、死体遺棄など
死亡者数1人
判決2026年3月16日 東京地裁で懲役22年
動機交際関係の悪化・別れ話・連絡無視へのいら立ちが検察側主張の中核
特徴交際関係を利用して呼び出し、車内で殺害したと認定され、その後に生存偽装まで行ったとされた事件

事件の注目ポイント

この事件は、見知らぬ相手とのSNS接触型事件というより、既に交際関係にあった18歳女性が、年上の交際相手に呼び出されて殺害されたと認定された事件である。初公判報道では、被告は事件当時既婚者だった一方、被害者とは交際関係にあり、被害者側は友人や同僚に「被告の連絡を無視している」「別れ話をしている」と相談していたと検察側が述べている。

本件が特に悪質と評価されたのは、単なる殺害にとどまらず、遺体を山中へ運んで遺棄し、その後も被害者のスマートフォンから生存を装うようなメッセージを送ったと検察側が主張し、判決でもそうした一連の隠蔽行為が重く見られた点にある。検察は「何重にも死後の尊厳を害した」と表現し、強い非難を加えている。

裁判では、殺人の実行者が誰かが最大の争点になった。被告は死体遺棄は認めたが、殺人については「自分は刺していない」と否認し、弁護側は第三者が刺したと主張した。これに対して裁判所は、被告が殺意をもって胸部などをナイフで突き刺して殺害したと認定し、懲役22年を言い渡している。

事件の発生

被害者の野本結梨香さんが姿を消したのは2023年6月だった。テレビ朝日の初公判報道によれば、野本さんは午後7時ごろに誰かから連絡を受けて外出し、その後帰宅しなかった。しばらくの間は通信アプリに返信や既読があったものの、10月下旬ごろから反応がなくなり、11月に父親が行方不明届を出している。

検察側の公判主張では、事件前、被告は野本さんから連絡を無視されていたが、「明日から出張に行ってしばらく会えないから金を返したい」と連絡し、会う約束を取り付けたとされる。その後、2人は千葉県市川市のラーメン店で食事をし、そこから車で移動した。この時点が野本さんの生存が最後に確認された場面とされている。

その後、事件は江戸川区の自宅内ではなく、義父が所有する駐車場に停めた車内で起きたと検察側は主張した。最終的に遺体は山梨県小菅村の山林で発見されており、事件は東京都内の殺害と山梨県内の遺棄が結びついた広域事件として整理するのが正確である。

犯行状況

検察側は、被告が車内で野本さんを刃物で刺して殺害したと主張し、2026年3月の論告では「胸部にナイフを根元まで突き刺し、強固な殺意があった」と述べた。判決報道でも、東京地裁は「殺意をもって被害者の胸部などをナイフで突き刺し殺害した」と認定している。

事件後の隠蔽行為も極めて重要である。初公判報道では、被告のスマートフォンには血痕が付いた被害者を映した動画が残されていたと検察側が指摘した。また、被告が借りていた車の後部座席からは、後に被害者のものと分かる血痕が見つかっている。これは、車内で重大な暴力行為が行われたことを裏付ける事情として扱われた。

さらに、遺体は別の車で山梨県の山林へ運ばれたとされる。報道では、被告と共犯者の男が山奥へ向かい、そこが遺棄現場になったとされている。文春の2024年記事では、遺体は全身バラバラで白骨化し、原形をとどめない状態で発見されたと報じられており、本件の死体遺棄が極めて悪質だったことがわかる。

捜査経過

事件の発覚は、長期の行方不明捜査の中で進んだ。野本さんは2023年6月に行方不明となり、家族や知人が連絡しても反応がなく、11月に行方不明届が出された。その後、警視庁の捜査で関係者として渥美遼馬と共犯者の男が浮上している。

大きな突破口になったのは、共犯者側の供述だった。テレビ朝日の報道では、共犯者の男の証言から山梨県の山林を捜索し、遺体を発見したとされる。文春記事でも、最初に任意聴取を受けた別の男が「2023年6月上旬ごろに何かわからない物体を車で運搬した」と供述し、そこから遺体発見に至ったと報じられている。

遺体発見後、警視庁は関係者を順次逮捕し、被告が借りていた車から被害者の血痕が見つかったことなどから立件を進めた。つまり本件は、目撃証言よりも、通信履歴、関係者供述、車両の痕跡、デジタルデータを積み上げて構図を固めていった事件といえる。

裁判

2026年2月の初公判で、渥美遼馬は殺人は否認し、死体遺棄は認める姿勢を示した。法廷では「刺していません」と述べ、弁護側は、被害者が包丁を持ち出した場に居合わせた第三者が刺したと主張した。弁護側の構図では、被告はその後に遺体遺棄へ関わったにすぎないという立場だった。

これに対し検察側は、被告には男女間トラブルを背景とする動機があったとし、被害者が別れ話をしていたこと、被告がメッセージの返信がないことにいら立っていたことを指摘した。さらに、被告が生存偽装を行った点や胸部刺創の深さなどから、計画性と強い殺意を主張し、懲役25年を求刑した。

2026年3月16日、東京地裁は渥美遼馬に懲役22年を言い渡した。判決は、被告の無罪主張を退け、被告が殺意をもって被害者を刺し殺害したと認定したうえで、「被害者の生命および尊厳を著しく害するものであり、一連の犯行は非常に身勝手」と強く非難している。

関連事件

SNS・交際関係を起点にした若年女性殺害事件

本件は、見知らぬ相手にだまされた事件ではなく、交際関係にあった年長男性との関係悪化が殺害に至った事件として整理した方が正確である。したがって、単純なSNS出会い型事件よりも、交際・支配・別れ話を背景にした若年女性被害事件との比較が有効である。

死体遺棄と生存偽装を伴う事件

本件では、殺害後に山林へ遺体を運び、さらに被害者のスマートフォンから生存を装うようなメッセージが送られたとされる。殺害だけでなく、発覚遅延と責任回避のための工作が重なっている点で、隠蔽性の高い交際トラブル殺人としての性格が強い。

関連事件

社会的影響

この事件は、若年層の交際トラブルが、LINEやメッセージアプリを介した連絡・無視・別れ話のもつれを経て、重大犯罪へ発展しうることを改めて示した。特に、被害者が18歳で、相手が既婚の年上男性だったという構図は、対等な交際関係とは言い難い不均衡さを感じさせ、社会的にも強い反発を呼んだ。

また、捜査面では、行方不明後もしばらく被害者のアカウントに既読や返信があったことから、デジタル上の“生存演出”が捜査を攪乱しうることも示した。一方で最終的には、車両の血痕、関係者供述、端末内データなどが事件解明の柱となっており、現代型捜査の典型事例でもある。