福岡3女性連続強盗殺人事件|約1か月で3人を襲った鈴木泰徳と2019年の死刑執行

公開日 2026年3月4日
最終更新 2026年8月28日
カテゴリー 2000年代 性犯罪 死刑

事件ステータス

都道府県
福岡県
事件分類
性犯罪
司法状況
確定
最終刑・処分
死刑

2004年12月から翌2005年1月まで、福岡県内の三つの市で、一人で移動していた女性が相次いで襲われた。被害者は18歳、62歳、23歳の3人。事件同士に直接のつながりが見えにくいなか、捜査はやがてトラック運転手だった鈴木泰徳へ収束していく。

最高裁が認定したのは、強盗や性暴力を目的に女性を追跡し、犯行の発覚を防ぐなどの理由で殺害を重ねた一連の犯行だった。一審から死刑が選択され、2011年に最高裁が上告を棄却。鈴木の死刑は2019年8月2日に福岡拘置所で執行された。

約5週間に3人が殺害された

発生期間2004年12月12日~2005年1月18日
発生場所福岡県飯塚市・北九州市・福岡市
被害者18歳女性、62歳女性、福島啓子さん(23歳)
被告人鈴木泰徳
主な罪名強盗強姦、強盗強姦未遂、強盗殺人、銃刀法違反
一審2006年11月13日 福岡地裁・死刑
控訴審2008年2月7日 福岡高裁・控訴棄却
上告審2011年3月8日 最高裁第三小法廷・上告棄却
死刑執行2019年8月2日 福岡拘置所

最初の被害は飯塚市の18歳女性

最初の事件は2004年12月12日深夜、飯塚市内で起きた。最高裁判決によれば、鈴木は強盗と性暴力を目的に、歩道を通行していた当時18歳の女性を公園内へ連れ込み、性暴力を加えた。その後、犯行の発覚を防ぐため女性を殺害した。金品を奪う目的については遂げられなかったため、この事件では強盗強姦と強盗殺人が成立した。

同じ「連続強盗殺人」の一件として語られることが多いが、三つの事件で成立した罪名は同一ではない。この違いを押さえると、後の裁判で鈴木の行動がどのように評価されたかが見えやすくなる。

大みそかの朝、北九州市で62歳女性を襲う

19日後の12月31日午前7時ごろ、北九州市内の公園付近で当時62歳の女性が襲われた。最高裁判決は、鈴木が強盗目的で女性を刃物で刺して殺害し、現金などが入った手提げバッグを奪ったと認定している。

この事件では性暴力は認定されておらず、中心となった罪は強盗殺人だった。鈴木はこの事件と次の福岡市の事件で、あらかじめ刃物を持ち出して被害者を追跡していた。最高裁は、この準備や追跡の経過を計画性を示す事情として重視した。

福岡空港で働いていた福島啓子さん

2005年1月18日午前5時30分ごろ、福岡市内で福島啓子さん(当時23歳)が襲われた。啓子さんは福岡空港に勤務しながらキャビンアテンダントを目指していた。RKB毎日放送の後年の取材では、命日に勤務先の関係者らが福岡空港から現場の公園まで清掃活動を続けていることも伝えられている。

最高裁判決によると、鈴木は強盗と性暴力を目的に啓子さんを公園内へ連れ込み、性暴力に及ぼうとしたが未遂に終わった。さらに犯行の発覚を避けるため殺害し、現金などが入った手提げバッグを奪った。ここでは強盗強姦未遂と強盗殺人が認定された。

奪われた携帯電話が捜査を鈴木へ近づけた

3件目の福岡市の事件後、被害者から奪われた携帯電話が使用されていたことが捜査の手掛かりになった。事件当時を取材した報道によれば、警察は2005年3月8日、携帯電話を所持していた鈴木を直方市内で確認し、まず占有離脱物横領容疑で逮捕した。そこから福岡市の事件だけでなく、飯塚市、北九州市の事件との関連も調べられた。

逮捕時点で三つの殺人すべてが直ちに確定したわけではない。捜査機関は各事件の現場、被害品、鈴木の行動や供述を個別に照合し、事件ごとに立件した。地理的に離れた三つの事件が一人の被告人の刑事裁判へまとまった過程では、被害品の追跡が重要な入口となった。

三つの事件を一つの量刑判断として見た最高裁

最高裁第三小法廷は2011年3月8日、鈴木の上告を棄却した。判決は、約1か月余りという短期間に犯行を重ねたこと、単独で歩く女性を見つけて追跡したこと、帽子や軍手、刃物を準備していたことなどを指摘した。

そのうえで、いずれの殺害も強固な殺意に基づくと評価し、3人が何の落ち度もないまま命を奪われた結果を重視した。交通関係の罰金以外に前科がないことや、死亡させたことについて反省を述べていたことを考慮しても、死刑はやむを得ないと判断した。

「金品を奪った事件」だけでは捉えられない

確定判決が認定した背景には、金銭的な困窮だけでなく性的欲求もあった。第1・第3事件では性暴力を目的とする行動が伴い、第2事件では強盗目的で女性を襲っている。犯行ごとの目的には違いがある一方、無関係の女性を追跡し、抵抗や発覚を避けるため殺害へ進むという共通性があった。

このため裁判では、単に「3人が死亡した」という結果だけでなく、短期間の反復性、対象の選び方、事前に道具を準備して追跡した経過まで量刑判断の材料となった。

一審死刑から最高裁まで結論は変わらなかった

福岡地裁は2006年11月13日、鈴木に死刑を言い渡した。福岡高裁は2008年2月7日に控訴を棄却し、最高裁第三小法廷も2011年3月8日に上告を棄却した。判決訂正申立ての手続きを経て、死刑判決は確定した。

上告審で最高裁は、動機や経緯に酌量すべき点がなく、被害者を追跡して凶器を用意した行動には計画性があるとした。三つの犯行を個別に認定したうえで、その反復性を含めて刑事責任を評価した判断だった。

2019年8月2日に死刑執行

2019年8月2日、鈴木泰徳の死刑が福岡拘置所で執行された。同日には別事件で死刑が確定していた庄子幸一にも刑が執行されている。在日スイス大使館などの共同声明も、同日に両名への執行が行われたことを記録している。鈴木は50歳だった。

これにより鈴木本人に対する刑事手続は終結した。事件発生から死刑執行までは約14年半、最高裁の上告棄却からは8年以上が経過していた。

事件現場の公園に残された「夢を語る」という名前

福島啓子さんが襲われた福岡市博多区の大井北公園では、遺族の思いを受け、後に「夢を語る公園」という愛称が使われるようになった。啓子さんが大学時代、仲間と将来の目標を語る活動をしていたことに由来する。

父親は福岡市長に公園の名称について手紙を送り、市と地元町内会が意向をくんだ。公園にはベンチが設けられ、家族をイメージした3本の桜も植えられている。刑事裁判が終わり、刑が執行された後も、被害者の人生と事件の記憶は現場に残されている。

参考資料・出典

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