2007年12月10日午後9時ごろ、東京・代々木の書店事務所で男性従業員が倒れているのが見つかった。頭部を鈍器のようなもので殴られ、意識不明の重体。事務所からは売上金入りの手提げ金庫がなくなっていたと当時報じられ、男性は13日後の12月23日に死亡した。警視庁は強盗殺人事件として捜査を続けている。
警視庁が現在も公開する被疑者像は限られている。事件現場付近で目撃されたのは、薄緑色の目出し帽のようなものをかぶり、灰色のジャンパーを着た男。氏名も顔も特定されておらず、2026年8月現在も原宿警察署に特別捜査本部が置かれたままだ。
| 発覚日時 | 2007年12月10日午後9時ごろ |
|---|---|
| 発覚場所 | 東京都渋谷区代々木1丁目37番5号の書店事務所内 |
| 被害者 | 男性。報道では書店従業員の磯島護さん(当時51歳) |
| 被害 | 頭部を鈍器のようなもので殴られ重体、13日後に死亡 |
| 奪われたもの | 報道では現金約9万8000円入りの手提げ金庫 |
| 目撃された男 | 薄緑色の目出し帽のようなもの、灰色のジャンパー |
| 捜査 | 原宿警察署・特別捜査本部 |
| 現在 | 未解決。警視庁の公開捜査一覧に掲載中 |
閉店後、売上金を事務所へ運ぶ時間帯に襲撃された
警視庁の現行ページが示す発覚時刻は午後9時ごろ。当時の新聞報道では、現場は金港堂書店の事務所で、被害男性は閉店後の売上金が入った手提げ金庫を店舗から事務所へ運ぶ役割を担っていたとされる。現場からその手提げ金庫がなくなっていたため、捜査は金品を狙った強盗事件として始まった。
当時報道で伝えられた現金は約9万8000円。犯人側が実際の金額を把握していたのか、単に「売上金が入っている」と考えていたのかは分かっていない。金額の多少から動機を推測することはできず、犯人が逮捕されていない現在、なぜ被害男性に致命的な暴行を加えたのかも未解明のままだ。
被害男性はその場で死亡したのではなく、13日間治療を受けた
事件直後の業界紙「新文化」は、金港堂書店の店長が強盗に襲われ重体になったと伝えている。その後の新聞報道では、男性は意識を取り戻さないまま12月23日に死亡したとされた。事件は発生時から死亡事件だったわけではなく、重大な強盗傷害事件として始まり、被害者死亡後に強盗殺人として捜査される経過をたどった。
当時の新聞報道では、被害者は書店従業員の磯島護さん(当時51歳)と伝えられた。現在の警視庁公式ページは氏名や年齢を掲載せず、被害者を「男性」として公開捜査を続けている。
事務所の大きな物音をきっかけに異変が発覚したと報じられた
当時の新聞報道では、書店社長が建物内で大きな物音を聞き、事務所へ向かったところ磯島さんが倒れていたとされた。室内には大きく荒らされた形跡がなく、警視庁は事務所内で待ち伏せされていた可能性も視野に捜査した。
犯人がどの時点で事務所へ入り、どれほどの時間そこにいたのかは公表されていない。売上金が運ばれる時間帯に磯島さんが襲われ、手提げ金庫がなくなっていたことから、警視庁は犯人が金庫の移動を把握していた可能性も含めて捜査した。
薄緑色の目出し帽と灰色ジャンパーの男
事件で現在も最も明確に公表されている人物情報が、現場付近で目撃された男の服装である。警視庁は「薄緑色の目出し帽のようなものを被り、灰色のジャンパーを着た男」と記載し、この人物に関する情報を求めている。
顔立ち、氏名、正確な年齢は現行の公開ページには掲載されていない。過去報道では体格や身長に触れた記事もあったが、現在警視庁が前面に出しているのは帽子とジャンパーという特徴だ。この服装以外に、氏名や顔立ちなど被疑者を特定できる情報は現在も公表されていない。
警視庁が求めているのは「男を見た」情報だけではない
原宿警察署の特別捜査本部は、発覚現場付近で不審な人や車両を見た人、物音や争う声を聞いた人、服に血の付いた人を見た人などから広く情報を募っている。事件当夜の直接の目撃だけに限定していない。
時間が経った未解決事件では、当時は重要と思わなかった記憶が別の資料と結びつくことがある。事件後に急に服を処分した人物、深夜に不自然な移動をした人物、書店の売上金管理に異常な関心を示していた人物なども、具体的な事実があれば捜査資料と照合できる。もちろん、心当たりだけで個人を犯人扱いすることはできず、情報は警察へ提供する必要がある。
事件の約1か月前にも事務所が侵入被害に遭ったと報じられた
当時の朝日新聞などでは、事件の約1か月前にも同じ事務所が空き巣被害に遭い、据え付け金庫が狙われていたと報じられた。窓ガラスが割られ、金庫が動かされたものの、開けることはできなかったとされる。
この前回被害と12月10日の強盗殺人が同じ人物によるものかは確定していない。短期間に同じ事務所が金銭目的とみられる侵入を受けた点は重要だが、指紋やDNA型の一致、逮捕者の供述など、両事件を結びつける確定的な情報は公表されていない。
12月10日は据え付け金庫ではなく、手提げ金庫がなくなった
前月の侵入では据え付け金庫が狙われたと報じられた一方、12月の事件でなくなっていたのは、被害男性が運んでいたとされる手提げ金庫だった。この違いから、犯人が閉店後の売上金移動を知っていたのではないかという見方が生まれた。
しかし「内部事情を知る人物の犯行」と警察が確定したわけではない。事前に店舗周辺を観察していれば日々の行動パターンを把握できた可能性もある。犯人が書店関係者と面識があったのか、外部から下見を重ねたのかは、現在まで明らかにされていない。
奪われた金額と殺害の理由を結びつけてはいけない
当時報道で伝えられた手提げ金庫の現金は約9万8000円だった。ただし、犯人が事前に金額まで把握していたことを示す情報は公表されていない。磯島さんに致命的な暴行を加えた理由も、被疑者が特定されていない現在は解明されていない。
逮捕・起訴された人物はおらず、動機や犯行計画について裁判所の事実認定は存在しない。現場から手提げ金庫がなくなったことなどから強盗殺人として捜査されているが、暴行に至った詳しい経緯は未解明のままだ。
2010年の法改正で、強盗殺人の公訴時効はなくなった
事件発生は2007年。当時、人を死亡させ死刑に当たる犯罪には公訴時効が存在したが、2010年の刑事訴訟法改正で、人を死亡させた罪のうち死刑に当たるものは公訴時効の対象から除外された。法務省の経過規定では、改正時点で既に時効が完成していた事件には適用しない一方、未完成の事件には新制度が適用される。
本件は改正施行時に発生から約2年4か月しか経過しておらず、時効は完成していなかった。したがって、年月が経過したことだけを理由に強盗殺人について刑事責任を追及できなくなる事件ではない。証拠と被疑者が特定されれば、現在も起訴へ進む可能性が残る。
現在も「公開捜査中の事件」として原宿警察署が掲載
警視庁の公開捜査一覧には、2026年8月現在も「代々木一丁目書店事務所内強盗殺人事件」が掲載されている。原宿警察署のページにも公開捜査中の事件として掲示され、特別捜査本部が情報提供を受け付けている。
逮捕者や起訴された人物は公表されていないため、事件について特定人物を犯人と断定できる段階ではない。公式に残る人物像は、薄緑色の目出し帽のようなものと灰色のジャンパーを着た男。事件当夜の行動と売上金の動きを知る情報が、今も捜査の空白を埋める鍵になる。
参考資料・出典
- 警視庁「代々木一丁目書店事務所内強盗殺人事件」
- 警視庁「公開捜査一覧(事件・罪種別)」
- 原宿警察署「情報を求めます」
- 法務省「刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律」
- 法務省「刑事訴訟法における公訴時効に関する改正」
- 新文化 2007年12月13日号(東京・金港堂書店/強盗に襲われ店長が重体)
- 朝日新聞 2007年12月11日「強盗、書店員殴られ重体 閉店直後に事務所で 東京・代々木」
- 読売新聞 2007年12月11日「強盗に襲われ社員重体 書店事務所、売上金10万円不明/東京・代々木」
- 朝日新聞 2007年12月12日「金庫目的の侵入、先月中旬も被害 東京・代々木の書店事務所強盗」
- 読売新聞 2007年12月24日「書店事務所の強盗事件 重体の店長が死亡/東京・渋谷」
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