群馬パチンコ店員連続強盗殺人事件|店の鍵を狙った2人殺害、高根沢・小野川の死刑確定まで

公開日 2026年8月22日
最終更新 2026年8月28日

事件ステータス

発生年月日
2003年
都道府県
埼玉県 / 群馬県
事件分類
強盗・監禁・暴行事件 / 死体遺棄事件 / 殺人事件
司法状況
確定
最終刑・処分
死刑

2003年3月18日、埼玉県行田市を流れる福川で、群馬県伊勢崎市のパチンコ店員・根本常久さん(当時47歳)の遺体が見つかった。根本さんは2月23日未明に勤務先を出た後に行方が分からなくなり、その数時間後には店から現金約300万円が盗まれていた。

4月4日には、同じ福川で太田市のパチンコ店員・石橋真さん(当時25歳)の遺体が発見された。高根沢智明と小野川光紀は、店員から店舗の鍵を奪って売上金を盗む目的で二人を殺害したとして強盗殺人などに問われ、双方に死刑が確定。2021年12月21日に刑が執行された。

発生日2003年2月23日・4月1日
被害者根本常久さん(47)、石橋真さん(25)
主な発生地群馬県伊勢崎市・太田市、埼玉県行田市
被告人高根沢智明、小野川光紀
主な罪名強盗殺人、死体遺棄、建造物侵入、窃盗・窃盗未遂
一審2004年3月26日 さいたま地裁・2人に死刑
高根沢2005年7月13日 控訴取下げ。取下げの効力をめぐる手続後に死刑確定
小野川2009年6月9日 最高裁が上告棄却、死刑確定
死刑執行2021年12月21日

狙われたのは、閉店後の店へ入るための「鍵」だった

二件に共通していたのは、パチンコ店の従業員を襲って店舗の鍵を奪い、営業終了後の建物へ侵入して売上金を盗むという目的だった。高根沢は以前パチンコ店で働いた経験があり、根本さんとは元同僚の関係にあった。

高根沢と小野川も、約7年前に同じパチンコ店で働いたことがあったと当時の報道は伝えている。店の外から現金を奪うのではなく、従業員が持つ鍵を得て無人の店舗へ入る。そのために勤務を終えた店員を車へ乗せ、人目の少ない場所へ連れて行く方法が二度使われた。

2月23日午前1時ごろ、根本常久さんを車へ乗せた

2003年2月23日午前1時ごろ、伊勢崎市のパチンコ店に勤務していた根本さんが店の近くにいたところ、高根沢と小野川が声をかけた。高根沢は根本さんの元同僚で、二人は小野川の乗用車へ根本さんを乗せた。

車は群馬県内の人目の少ない場所へ向かった。二人はロープで根本さんの首を絞めて殺害し、遺体を車のトランクへ入れた。根本さんから奪った店の鍵は、そのまま次の行動に使われた。

午前3時ごろ、奪った鍵で店舗へ入り約300万円を盗んだ

二人は根本さんの遺体を車に積んだまま伊勢崎市へ戻り、午前3時ごろ、奪った鍵を使って勤務先のパチンコ店へ侵入した。店内から売上金約300万円を盗み出し、その後、埼玉県行田市の福川へ向かった。

当時の捜査発表では、午前4時ごろ、行田市北河原の福川水門付近へ根本さんの遺体を遺棄したとされた。勤務後の接触、殺害、店舗侵入、現金窃取、遺体遺棄が一晩のうちに連続していた。

3月18日、福川で根本さんの遺体が見つかる

根本さんが行方不明になってから約3週間後の3月18日、福川で遺体が発見された。勤務先では現金約300万円が失われており、警察は根本さんの失踪と店舗への侵入、現金盗難を結び付けながら捜査を進めた。

しかし、最初の事件が捜査中だった4月、同じパチンコ業界で働く別の男性が行方不明になる。二件目でも、従業員が持つ店舗の鍵が狙われた。

一件目で得た現金を使い、約1か月後に再び同じ手口へ

一件目で約300万円を得た後、高根沢と小野川はその金を分けた。当時の報道や後年の事件資料では、二人は得た金を遊興費などに使い、短期間のうちに再び金を得る必要が生じたことが二件目の背景として伝えられている。

次の標的もパチンコ店員だった。すでに根本さんの失踪と遺体発見について捜査が進む中、二人は店員から鍵を奪い、閉店後の店へ入るという方法を変えなかった。二件が単独の偶発事件ではなく、共通する金銭目的と方法を持つ連続犯行として扱われる理由でもある。

4月1日、太田市の石橋真さんを同じ目的で襲った

2003年4月1日未明、太田市のパチンコ店員・石橋真さんが勤務後に行方不明となった。高根沢と小野川は石橋さんを車へ乗せ、ロープで首を絞めて殺害し、店の鍵や所持品を奪った。

二人は奪った鍵を使って石橋さんの勤務先へ侵入したものの、金庫を開けることができず、売上金を盗む目的は達成できなかった。最初の事件では約300万円を得たのに対し、二件目では店舗から多額の現金を持ち出せないまま終わった。

二件目では、石橋さんの勤務先の事務所が荒らされていたことも当時報じられた。店舗へ侵入したものの金庫を開けられなかったため、一件目のように売上金を得ることはできなかった。被害者を殺害して鍵を奪うところまで同じ方法を繰り返しながら、金銭面の結果だけが異なった。

4月4日、根本さんの事件を捜索中に石橋さんの遺体を発見

4月4日朝、根本さんの事件に関する捜索を行っていた捜査員が、福川で別の男性の遺体を発見した。身元は石橋さんと判明。報道では、根本さんの遺体が見つかった場所から約400メートル上流だったとされる。

短期間に二人のパチンコ店員が行方不明となり、いずれも絞殺され、同じ福川へ遺棄されていた。さらに勤務先の鍵を使った店舗侵入が重なったことで、埼玉、群馬両県警は二件を結び付けて捜査した。

7月、合同捜査本部が高根沢と小野川を逮捕

2003年7月、埼玉、群馬両県警の合同捜査本部は、高根沢と小野川を根本さんの死体遺棄容疑で逮捕した。当時の報道では、二人は根本さん、石橋さんの殺害についても認める供述をしており、捜査は強盗殺人や店舗侵入へ広がった。

11月の初公判では、二人とも起訴事実の大筋を認めた。一方、高根沢側は一件目の被害者が川へ遺棄された時点ですでに死亡していたかという点を争い、小野川側では高根沢の主導性が量刑上の争点となった。

一審では起訴事実の大筋を認め、死刑を回避できる事情が争われた

2003年11月に始まった一審で、高根沢と小野川は起訴事実の大筋を認めた。事件そのものを全面的に否認する裁判ではなく、個別の事実や二人の役割、量刑が争点となった。

高根沢側は一件目について、根本さんの死亡時期と死体遺棄罪の成立に関わる主張をした。小野川側では、高根沢が計画を主導し、自分は追従した立場だったという点が死刑回避の事情として主張された。

さいたま地裁は、二件とも店の鍵と現金を得る目的で従業員を殺害し、遺体を福川へ遺棄するまで共同で実行したと評価した。二人の役割に違いがあっても、刑事責任を大きく分けるほどではないと判断し、双方に死刑を言い渡した。

2004年、さいたま地裁は二人に死刑を言い渡した

さいたま地裁は2004年3月26日、高根沢と小野川の双方に求刑通り死刑を言い渡した。金銭を得るために従業員から鍵を奪い、二人の生命を奪ったうえ、短期間に同種の犯行を繰り返した結果が量刑判断の中心となった。

小野川については、高根沢が計画を主導した面があった。しかし後の最高裁判断では、小野川も一件目で犯行に使う物を準備し、二件目では襲撃場所を提案するなど、計画と実行に積極的に関与したと評価されている。奪った利益を分けていたことも、従属的な立場にとどまらない事情とされた。

高根沢は2005年7月に控訴を取り下げた

高根沢は一審判決後に控訴したが、2005年7月13日に自ら控訴を取り下げた。弁護側は、当時の高根沢が正常な判断をできる状態ではなかったとして取下げの効力を争い、公判の続行を求めた。

東京高裁は同年11月30日、控訴取下げを有効として訴訟終了を決定した。弁護側は特別抗告したが、最高裁第二小法廷は2006年6月6日に棄却。これにより、高根沢については一審の死刑判決が確定した。

小野川は控訴・上告を続け、主導性の差を訴えた

小野川は控訴を続け、高根沢が犯行を主導していたことなどを挙げて死刑回避を求めた。東京高裁は2006年9月29日に控訴を棄却し、小野川は最高裁へ上告した。

最高裁で考慮された事情には、犯行時25歳だったこと、交通事犯の罰金以外に前科がなかったこと、反省や被害弁償に関する事情などがあった。一方で、小野川が二件の殺害行為に積極的に加わり、計画の具体化にも関与し、犯行による利益も受け取っていた点が重く評価された。

最高裁は小野川の年齢や前科、反省も量刑要素として検討

小野川については、犯行時25歳で、交通事犯による罰金以外に前科がなかったこと、反省の態度、家族による謝罪や被害弁償に関する事情など、死刑を避ける方向に働き得る事情も検討された。

それでも最高裁は、二人の生命が奪われた結果の重大性に加え、小野川が一件目で犯行に使う物を用意し、二件目では襲撃場所を提案するなど、計画の具体化に加わっていた点を重視した。高根沢の主導性だけでは、小野川の刑を死刑から変更する理由にはならないとした。

2009年6月9日、最高裁が小野川の上告を棄却

最高裁第三小法廷は2009年6月9日、小野川の上告を棄却した。高根沢に主導的な面があったことを踏まえても、小野川は二件の計画と実行に主体的・積極的に関与し、二人の殺害に加わっているとして死刑を維持した。

高根沢と小野川は同じ一審判決で死刑を言い渡されたが、確定までの経過は異なった。高根沢は本人の控訴取下げと、その効力をめぐる手続を経て確定。小野川は控訴審と最高裁まで争い、上告棄却によって死刑が確定した。

死刑確定後も再審請求が行われていた

死刑確定後、高根沢と小野川は東京拘置所に収容された。人権団体は2021年の執行時、両名が再審請求中だったと公表している。再審請求は確定判決に対して新たな審理を求める手続だが、請求したこと自体で刑の執行が自動的に停止する制度にはなっていない。

2021年12月21日の執行後、法務大臣は個々の再審請求の有無について回答を控えつつ、一般論として再審請求中であることだけを理由に執行しない運用は採っていないと説明した。

2021年12月21日、二人の死刑を東京拘置所で執行

法務省は2021年12月21日、高根沢智明と小野川光紀の死刑を東京拘置所で執行した。同日には、兵庫県加古川市の事件で死刑が確定していた藤城康孝の刑も大阪拘置所で執行された。日本での死刑執行は2019年12月以来約2年ぶりだった。

高根沢と小野川については、執行時に再審請求が行われていたと人権団体が公表している。刑の執行によって、2003年に始まった二件の強盗殺人に対する刑事手続は終結した。

参考資料・出典

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