勝田清孝連続殺人事件|警察官から奪った拳銃と8人殺害の死刑判決

公開日 2026年2月3日
最終更新 2026年8月1日

1972年から1982年にかけ、京都府出身で消防士として勤務していた勝田清孝が、近畿・東海地方で強盗や殺人を繰り返した。裁判で有罪と認定された殺人被害者は8人で、女性を襲って金品を奪った事件のほか、金融機関の職員や店舗関係者を狙った強盗殺人が含まれる。

1982年には警察官を襲って拳銃を奪い、その銃を使った一連の事件が警察庁広域重要指定113号事件となった。勝田は1983年1月、名古屋市内で強盗を試みた際に取り押さえられ、過去の事件も解明された。名古屋地裁は二つに分けて審理された事件群の双方で死刑を言い渡し、1994年に確定した。2000年11月30日、名古屋拘置所で刑が執行された。

事件名勝田清孝連続殺人事件
主な犯行期間1972年~1982年
主な発生地域近畿・東海地方
被害裁判で8人の殺害を認定
加害者勝田清孝(元消防士)
関連事件警察庁広域重要指定113号事件
現在死刑。1994年確定、2000年11月30日執行

消防士として働く一方で始まった侵入盗と殺人

勝田清孝は1948年に京都府で生まれ、成人後に消防士となった。勤務先では通常の社会生活を送り、結婚して家庭を持っていた。その一方で、車や遊興費などに使う金を得るため、住宅への侵入や車上狙いを繰り返すようになった。

1972年9月、京都府内で女性が殺害され、金品を奪われた事件が起きた。これが裁判で認定された連続殺人の最初の事件となった。その後も、女性の住居や一人になる時間を狙い、首を絞めるなどして殺害し、現金や貴重品を奪う犯行が続いた。

事件は京都、大阪、兵庫、愛知など複数の地域に分散し、手口にも違いがあった。被害者同士に関係がなく、当初は一人の犯人による連続事件とは考えられなかった。勝田が職業と家庭を維持していたことも、周囲が長期間にわたる犯罪を察知しにくい一因となった。

女性を狙った強盗殺人と金銭目的の犯行

初期の事件では、勝田は女性の住居へ侵入したり、帰宅を待ち伏せたりして金品を奪った。被害者に顔を見られ、通報されることを防ぐために殺害したと認定された事件が複数ある。性的な行為を伴った事件も含まれ、強盗、強姦、殺人が重なった。

勝田は盗んだ金を車の購入や交際、生活費などに使った。特定の被害者への恨みや関係のもつれではなく、金銭を得るために面識のない人を襲う犯行が中心だった。犯行後は職場や家庭へ戻り、次の事件まで間隔が空くこともあった。

勝田は後に多数の殺人を供述したが、供述された事件のすべてが起訴されたわけではない。裏付けとなる物証や客観記録が得られず、別人の犯行と判明したものもあった。刑事裁判で確定した殺人被害者数は8人であり、自供数をそのまま事実として加えることはできない。

金融機関や店舗の現金を狙う犯行への変化

1970年代後半になると、勝田は個人宅だけでなく、金融機関の職員や店舗の売上金を狙うようになった。現金を運ぶ職員を待ち伏せし、銃器を使って殺害して金を奪った事件が起きた。被害者の行動を事前に調べ、現金を持つ時間と場所を選んだ犯行だった。

1980年には名古屋市内のスーパーマーケット関係者が殺害され、売上金が奪われた。この事件を含む複数の強盗殺人は、後に勝田の供述と証拠から解明されたが、発生当時はそれぞれ別の事件として捜査されていた。

同年、勝田は車上狙いで逮捕され、窃盗事件について有罪判決を受けた。しかし、捜査機関はその時点で過去の強盗殺人との関係を把握できず、執行猶予付き判決後に社会へ戻った。後の裁判では、この窃盗罪の確定判決が前後の事件群を法律上分けることになった。

警察官から奪った拳銃と113号事件

1982年10月、勝田は名古屋市内で警察官を襲い、負傷させて拳銃を奪った。警察官が所持する拳銃を犯罪に使う目的で強奪した事件であり、警察は銃を持った犯人による次の犯行を警戒した。

奪われた拳銃は、その後の強盗に使用された。浜松市内の店舗で強盗未遂が起き、続いて名神高速道路の養老サービスエリアでは男性が射殺され、別の男性も負傷した。複数県を移動しながら警察官の拳銃を使う犯行となり、警察庁は一連の事件を広域重要指定113号事件に指定した。

警察は車両、弾丸、目撃情報、現金を狙った店舗を結び、東海から近畿にかけて検問と張り込みを強化した。勝田は拳銃を持ったまま次の標的を探し、金融機関の利用者や現金を持つ人へ接近した。

銀行駐車場で取り押さえられた1983年1月

1983年1月31日、勝田は名古屋市内の銀行付近で、現金を持つ男性の車へ乗り込み、拳銃を示して金を奪おうとした。男性が抵抗し、周囲の人も加わって勝田を取り押さえた。所持していた拳銃が警察官から奪われたものと確認され、113号事件の容疑者として逮捕された。

逮捕後の取調べで、勝田は113号事件だけでなく、1970年代からの強盗殺人を供述した。捜査員は供述された場所、被害者の状況、盗品、当時の記録を再検討し、外部から知り得ない事実が含まれているかを確認した。

長く別々に扱われていた未解決事件が結び付き、裁判で立証可能な事件が選別された。勝田の供述には確認できない事件も多かったため、検察は客観的な裏付けが得られた殺人8件と強盗、窃盗、拳銃強奪などを起訴した。

二つの事件群に分かれた名古屋地裁の審理

勝田は1980年の窃盗事件で有罪判決が確定していた。刑法上、確定判決の前に犯した事件と、その後に犯した事件は併合して一つの刑を科すことができず、裁判は前期の強盗殺人などと、1982年以降の113号事件に分けて量刑を判断した。

名古屋地裁は1986年3月24日、二つの事件群のそれぞれについて死刑を言い渡した。判決は、金銭目的で人命を奪う犯行を長期間繰り返したこと、被害者が8人に及ぶこと、警察官から拳銃を奪って新たな強盗殺人へ使ったことを重視した。

一人の被告人に対し、法律上分けられた二つの主文で死刑が選択される異例の判決となった。弁護側は、供述の信用性、犯行時の心理状態、逮捕後の反省などを主張して控訴した。

最高裁で確定した死刑と2000年の執行

名古屋高裁は1988年2月、第一審の事実認定と量刑を維持して控訴を棄却した。勝田は最高裁へ上告し、死刑が重すぎることなどを争った。最高裁は1994年1月17日に上告を棄却し、二つの事件群について言い渡された死刑が確定した。

死刑確定後、勝田は養子縁組によって藤原姓となった。獄中では自らの事件について文章を書き、点訳作業にも関わったとされる。後年の行動は裁判でも一定の事情として扱われたが、8人を殺害した結果と、長期間反復した強盗犯罪を覆すものではなかった。

2000年11月30日、藤原清孝となっていた勝田の死刑は名古屋拘置所で執行された。52歳だった。逮捕から約17年10か月、死刑確定から約6年10か月後で、本人に対する刑事手続はこの執行によって終結した。

消防士としての勤務歴は、勝田の犯罪を説明する原因ではない。職場で救助や防災に携わっていたことと、勤務外に金銭目的の犯罪を重ねたことが併存していた。社会的に安定した職業や家庭があることを理由に、重大犯罪の可能性を最初から除外できないという点が、逮捕後に注目された。

事件の多くでは、被害者が現金を扱う時間や一人になる場所が選ばれていた。偶発的に口論となって殺害したのではなく、盗みを成功させ、目撃者を残さないために暴力を使ったと裁判は認定した。犯行間隔が長い時期があっても、窃盗や下見を含む金銭目的の行動は継続していた。

警察官から拳銃を奪った後の事件では、弾丸や薬きょうの鑑定が複数現場を結ぶ証拠となった。銃器の固有の痕跡、盗難車の移動、目撃された人物の特徴を照合することで、別々の県で起きた強盗未遂や殺人が同一犯による可能性が高まった。113号事件の指定は、都道府県警察の情報を警察庁の下で集約するために行われた。

逮捕時、勝田は拳銃を使用できる状態で持っていた。被害者の抵抗と周囲の協力がなければ、新たな強盗や発砲へ発展する危険があった。身柄確保は、銀行周辺の張り込みで計画的に行われた逮捕ではなく、被害を受けかけた男性らがその場で抵抗した結果だった。

勝田が供述した未起訴事件については、発生日や場所が似ていても、被害者との結び付きや物証が確認できないものがあった。連続殺人事件では、逮捕後の供述が注目を集めるほど、未解決事件を一人の犯人へ集約しやすくなる。裁判で認定された8人と、本人が語っただけの人数を分けることは、被害者ごとの事件を正確に記録するために必要である。

死刑判決では、被害者数だけでなく、10年にわたり犯行を反復したこと、金銭を得るために無関係の人を殺害したこと、窃盗事件で有罪となった後に警察官を襲って拳銃を奪ったことが重視された。社会内で一度処罰を受けた後も、より危険な手段へ移行した経過から、裁判所は更生可能性に厳しい判断を示した。

前期と後期の事件群が別々に裁かれたのは、途中に窃盗罪の確定判決があったためである。確定判決より前の犯罪と後の犯罪を一括して一つの刑にすることができず、名古屋地裁はそれぞれについて刑を定めた。二つの死刑主文は殺害人数を二重に数えた結果ではなく、法律上の事件区分から生じた。

勝田の犯罪は、元消防士という肩書やテレビ番組への出演など、日常生活上の一面と結び付けて語られることが多い。しかし、これらの逸話は殺害の立証に使われた証拠ではない。事件を理解する中心は、被害者を選んだ方法、金銭目的、拳銃強奪後の犯行、逮捕後に客観証拠で裏付けられた8件である。

本人に対する刑事手続は死刑執行で終わったが、8人の被害者は異なる場所と時期に生活を奪われた。連続事件としてまとめる場合も、それぞれが独立した被害であることは変わらない。

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