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品川製麺所夫婦強殺事件|謝依俤が大家夫婦を刺殺し金品を奪った強盗殺人事件

事件概要

項目内容
事件名品川製麺所夫婦強殺事件
犯人謝依俤(シェ・イーディ)
事件種別強盗殺人事件、住居侵入事件、入管法違反事件
発生日2002年8月31日
発生場所東京都品川区の製麺所兼住宅
被害者数2人死亡
判決死刑(2012年10月19日確定)
動機生活費・遊興費や借金返済のため金品を奪う目的と認定
被害品現金約4万7000円、指輪・ネックレスなど計52点(約7万円相当)

事件の注目ポイント

品川製麺所夫婦強殺事件は、自宅アパートの大家だった製麺所経営者夫婦を狙い、深夜に侵入して2人を刺殺した強盗殺人事件である。被告の謝依俤は、被害者宅の構造や生活状況を知る立場にあり、その事情を利用して犯行に及んだと認定された。単なる侵入窃盗ではなく、最初から刃物を携帯し、発見された場合に殺害も辞さない構えで押し入った点が、この事件の重大性を際立たせている。

この事件が強く注目された理由の一つは、加害者が被害者夫婦の所有するアパートに住んでいた店子で、大家との日常的接点を持つ人物だったことにある。被害者側に強い落ち度はなく、むしろ住まいを提供していた相手から命を奪われた形になった。裁判でも、恩義ある相手を金銭目的で殺害した身勝手で冷酷な犯行として厳しく評価されている。

また、本件はしばしば発生日や確定時期が誤って語られるが、正確には2005年ではなく2002年8月31日の事件であり、死刑確定は2011年ではなく2012年10月19日である。ここを正確に押さえないと、事件の整理を誤る。

事件の発生

事件が起きたのは2002年8月31日である。現場は東京都品川区にあった製麺所兼住宅で、被害者は製麺所を営む男性(当時64歳)とその妻(当時57歳)だった。謝依俤はこの夫婦が所有するアパートに住んでおり、家賃の支払いが滞りがちだったうえ、事件当時は仕事も辞めて生活に行き詰まっていたとされる。

事件後、被害者宅からは現金や貴金属がなくなっており、警視庁は早い段階から金品目的の侵入強盗が発展した殺人事件として捜査を進めた。後の裁判では、謝が大家夫婦宅に押し入り、2人を殺害したうえで現金約4万7000円と指輪・ネックレスなどを奪って逃走したと認定されている。

犯行状況

裁判で認定された内容によると、謝依俤は犯行当日、持参したナイフを使って夫婦2人を相次いで刺殺した。公判で謝は「盗みをするつもりだった」「誤って刺したが、殺すつもりはなかった」と主張したが、裁判所はこれを退け、ナイフをあらかじめいつでも使える状態で所持していた以上、偶発的犯行とはいえないと判断した。

さらに判決では、犯行態様について**「息の根を止めるまで執拗に突き刺した」「強固な殺意に基づく犯行」**と評価されている。つまり本件は、窃盗の最中にたまたまもみ合いとなって死なせた事件ではなく、被害者の生命を確実に絶つ方向へ暴力が一気に拡大した強盗殺人事件として扱われた。

また、謝は単独犯として犯行に及ったとされる。報道では、犯行前に中国人仲間へ「年寄り夫婦だから殺すのは簡単だ」と持ちかけたが断られ、その後1人で実行したとされている。ここからも、生活苦の中で偶発的に暴発したというより、金を奪うため殺害も視野に入れた危険な意思形成があったことがうかがえる。

事件背景

事件の背景には、謝依俤の不法滞在、借金、失業、家賃滞納があった。謝は中国福建省出身で、1999年ごろに船で名古屋港へ密入国し、その後は解体工や皿洗いなどの仕事を転々としていたが長続きせず、2002年8月上旬には解体工の仕事も辞めていたとされる。被害者夫婦のアパートに住んでいたものの、家賃月1万8000円は滞納し、事件直前には所持金も尽きていた。

こうした状況の中で、謝は生活費や遊興費、さらに密入国時から抱えていた借金の返済資金を得るため、大家夫婦宅から金品を奪おうと考えたとされる。裁判所も、金銭的欲望を満たすために何ら落ち度のない2人の命を奪ったと強く非難している。生活苦は背景事情ではあっても、量刑を大きく軽くする事情とは認められなかった。

捜査経過

事件後、謝依俤は現場から逃走した。警察は被害者宅裏のアパートから行方をくらませた中国人男性がいることを把握し、それが謝であると特定した。その後、2002年9月14日、謝はJR池袋駅近くの友人宅にいたところを発見され、まず旅券不携帯による入管法違反の現行犯で逮捕された。

謝は当初、「外から帰ったら大家が死んでいて驚いた」などと説明したが、供述には時間関係や行動経過に不自然な点が多く、追及の中で崩れていった。そして2002年9月19日、強盗殺人容疑で再逮捕されたとされる。公衆電話から「大家が死んでいる」と110番通報していたことも報じられているが、この行動自体も犯行発覚後の自己保身的対応として捉えられている。

裁判

東京地裁は2006年10月2日、謝依俤に死刑を言い渡した。判決は、被告が強盗目的で夫婦宅に侵入し、2人を執拗に刺殺していること、被害者に落ち度がないこと、奪った金品のために2人の命を奪ったことを重くみた。地裁は、年齢が若く前途があることや反省の兆しに一定の言及をしつつも、死刑をもって臨むほかないと結論づけた。

その後、東京高裁は2008年9月26日に控訴を棄却し、さらに最高裁は2012年10月19日に上告を棄却して死刑が確定した。したがって、この事件は2012年死刑確定事件として整理するのが正確である。前回案の「2005年発生」「2011年確定」は誤りだった。

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社会的影響

この事件は、外国人研修生事件ではなく、より正確には不法滞在の中国人元解体工による大家夫婦殺害事件として理解すべきである。ここを取り違えると、制度論の前提自体を誤る。事件当時は外国人犯罪や不法滞在問題と結びつけて語られることも多かったが、裁判で中心的に問われたのは、あくまで金品奪取目的の強盗殺人としての悪質性だった。

また本件は、身近な賃貸関係の中にある経済的緊張が、極端な暴力へ転化した事件としても見られる。被害者は貸主であり、加害者は店子だった。生活苦や滞納、借金という要素はあったが、それが恩義ある大家夫婦の殺害へ直結したことで、地域社会には強い不安と嫌悪感が残った。