2012年4月23日朝、京都府亀岡市の道路を集団登校していた小学生と保護者の列に、軽乗用車が突っ込んだ。松村幸姫さん(26)と、小学2年の小谷真緒さん(7)、横山奈緒さん(8)が死亡し、児童7人が負傷した。松村さんは妊娠中だった。
運転していたのは18歳の少年で、免許を取得したことがなかった。前夜から長時間運転した末に居眠りしたとされる。それでも当時の危険運転致死傷罪は適用されなかった。この「重い結果」と「適用できる罪の要件」のずれが、その後の法改正を動かす一因となった。
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事件の基本情報
| 発生日 | 2012年4月23日 |
|---|---|
| 場所 | 京都府亀岡市篠町 |
| 被害 | 3人死亡、7人負傷 |
| 運転者 | 当時18歳、無免許 |
| 事故原因 | 長時間運転後の居眠りと認定 |
| 適用罪 | 自動車運転過失致死傷罪など |
| 確定刑 | 懲役5年以上9年以下の不定期刑 |
| 制度への影響 | 自動車運転死傷行為処罰法の制定議論を後押し |
集団登校の列へ車が進入した
事故は午前8時ごろに起きた。登校中の児童と付き添いの保護者が歩いていた道路へ、少年が運転する車が進入した。地域の日常の通学路で、短時間に多数の被害が生じた。
死亡した3人のほか7人の児童が負傷した。事故後、通学路の安全対策と同時に、無免許運転による重大事故をどの罪で処罰するかが社会的な論点になった。
少年は免許がないまま繰り返し運転していた
少年は運転免許を一度も取得していなかったが、車を運転した経験は繰り返しあった。事故前も友人らと夜間から走行を続け、睡眠不足の状態で運転していた。
裁判では、無免許という形式だけでなく、実際にどの程度の運転技能があったのかが危険運転致死傷罪の要件との関係で重要になった。
危険運転罪が適用されなかったのは「無免許だから」ではない
当時の危険運転致死傷罪には、「進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為」など限定された類型があった。少年は無免許だったものの、日常的に運転していたため、運転技能がないとまでは認定できないと判断された。
その結果、検察は危険運転致死傷罪ではなく、自動車運転過失致死傷罪などで起訴した。重い結果が出れば自動的に危険運転になる制度ではなかった。
居眠り運転による過失として有罪
裁判所は、長時間運転を続けて強い眠気があるのに運転を中止しなかった過失を認定した。京都地裁の判決を経て、最終的に懲役5年以上9年以下の不定期刑が確定した。
少年事件であるため不定期刑が用いられた。これは刑期に下限と上限を設け、矯正状況などを踏まえる制度で、単純に「懲役9年」と同じではない。
遺族が求めたのは刑罰だけではなかった
事故後、遺族は危険運転の適用範囲や無免許運転への処罰のあり方について制度見直しを訴えた。同時期には栃木県鹿沼市のクレーン車事故など重大な自動車事故が相次いでいた。
既存の刑法上の危険運転致死傷罪では捉えにくい類型をどう扱うかが法制審議会や国会で検討されることになった。
2013年、自動車運転死傷行為処罰法へ
2013年に自動車運転死傷行為処罰法が成立し、危険運転致死傷罪の類型が拡張された。無免許運転による加重規定も新設され、従来より重大事故の態様に応じた処罰が可能になった。
国会審議では、亀岡事故や鹿沼事故が旧法の問題を示す具体例として取り上げられた。こうした重大事故を背景に、自動車運転による死傷事犯を独立して処罰する新法の整備が進められた。
通学路そのものの安全対策も全国で見直された
事故後、亀岡市では現場周辺の道路整備や通学路の安全確保が進められた。全国でも、学校、道路管理者、警察が合同で通学路を点検し、歩道や防護柵、速度対策を組み合わせる取組が強化された。
事故後は刑事法制の見直しと並行して、学校、警察、道路管理者による通学路の緊急合同点検が全国で進められた。歩道整備や防護柵、路面表示など道路側の対策も検討された。
最終刑は「5年以上9年以下」の不定期刑
少年への判決は、成人のように「懲役9年」と固定された刑期ではなかった。最終的に5年以上9年以下という幅を持つ不定期刑が確定した。少年法の枠組みで、改善更生の状況を考慮できる制度である。
少年に対する最終刑は、5年以上9年以下の不定期刑だった。危険運転致死傷罪は適用されず、自動車運転過失致死傷などの罪と少年法上の刑罰制度に基づいて量刑された。
新法は「危険運転」の空白を複数の類型で埋めた
2013年の自動車運転死傷行為処罰法は、従来の危険運転致死傷罪を刑法から独立法へ移し、病気による運転支障や一定の危険行為などを新たに整理した。無免許運転についても、死亡・傷害事故の刑を加重する規定が設けられた。
2013年成立の自動車運転死傷行為処罰法は、危険運転致死傷と過失運転致死傷を独立した法律に整理し、一定の病気や薬物の影響など新たな類型も設けた。個別の運転態様に応じて適用罪名を判断する仕組みが拡充された。
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参考資料・出典
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