行方不明になった11歳の児童を探す捜索は、通学路だけでは終わらなかった。京都府警は養父のスマートフォンなどに残る行動履歴を分析し、捜索範囲を山中へ広げた。2026年4月12日に黒いスニーカー、翌13日に子どもの遺体が見つかり、身元は安達結希さん(当時11歳)と確認された。
3月23日の朝、結希さんを車で学校方向へ送ったと説明していた養父の安達優季被告(37歳)は、4月16日に死体遺棄容疑で逮捕され、5月6日に殺人容疑で再逮捕された。京都地検は5月28日、殺人と死体遺棄の罪で起訴した。2026年8月26日時点で有罪判決が出たことは確認されておらず、起訴内容と裁判所が認定した事実はまだ同じではない。
| 行方不明 | 2026年3月23日 |
|---|---|
| 被害者 | 安達結希さん(当時11歳、南丹市立園部小学校) |
| リュック発見 | 3月下旬、捜索中に発見 |
| 靴発見 | 4月12日、南丹市内の山中 |
| 遺体発見 | 4月13日午後4時45分ごろ |
| 死体遺棄容疑で逮捕 | 4月16日 |
| 殺人容疑で再逮捕 | 5月6日 |
| 起訴 | 5月28日、殺人・死体遺棄 |
| 被告 | 養父・安達優季被告(37歳) |
| 現在 | 刑事裁判前の被告人。判決未確定 |
3月23日の朝、学校へ送る車に乗った後に姿が消えた
結希さんは3月23日朝、安達被告が運転する車で自宅を出た。安達被告は当初、学校近くで結希さんを降ろしたと説明していた。しかし結希さんは登校しておらず、学校側が午前中に不在を把握。担任から母親へ連絡が入り、その後110番通報された。
「学校へ行ったはずの児童がいない」という前提で捜索が始まったが、防犯カメラなどには結希さんが学校へ入る様子が残っていなかった。府警は3月25日から公開捜査を行い、通学路や自宅周辺、山林へ捜索範囲を広げた。
リュックと靴が、遺体とは離れた場所で見つかった
捜索中には、結希さんが使っていたとみられる通学用のリュックサックが見つかった。さらに4月12日には、市内の山中から行方不明時に履いていたものと特徴が似る黒色のスニーカーが左右とも発見された。スポニチによると、靴の発見地点は学校から南西へ約6キロ、自宅から約3キロ北に離れていた。
靴やリュックの発見場所は、翌日に遺体が見つかる山林と一致していなかった。こうした位置関係は、後の死体遺棄容疑の捜査で、遺体や所持品が複数地点へ移された疑いと結び付いていく。
スマートフォンの行動履歴が、山林の捜索範囲を絞った
4月16日の産経新聞系報道によれば、府警は安達被告のスマートフォンなどから行動履歴を分析し、捜索範囲を絞り込んだ。その結果として12日に靴、13日に遺体の発見へつながったとされる。
行方不明者の捜索が、養父の行動記録の検証へ変わった転換点だった。目撃証言だけでなく、端末に残る位置や移動の情報を現場捜索と重ねることで、学校周辺から離れた山中へ警察の捜索が及んだ。
4月13日、山林で発見された遺体は結希さんと確認された
4月13日午後4時45分ごろ、南丹市内の山林で子どもの遺体が見つかった。翌14日、DNA型鑑定によって結希さんと確認された。発見時、行方不明当日のものと一致する衣服を着ていた一方、靴は履いていなかったと報じられている。
当初の司法解剖では死因を特定できなかった。その後、専門家による詳しい鑑定で窒息死の疑いが示され、府警は死体遺棄だけでなく殺人容疑の捜査を進めた。死因不詳の段階から、捜査・鑑定を経て殺人容疑の再逮捕へ進んだ点は区別する必要がある。
4月16日、養父を死体遺棄容疑で逮捕
府警は4月15日に自宅を家宅捜索し、翌16日、安達被告を死体遺棄容疑で逮捕した。逮捕容疑は、3月23日朝ごろから4月13日の遺体発見までの間に、結希さんの遺体を南丹市内へ運び、隠したというものだった。
安達被告は死体遺棄容疑について「私のやったことに間違いありません」と認めたと府警が発表した。ここで認めた供述は捜査資料の一つであり、最終的な犯罪事実は公判で証拠に基づいて判断される。
遺体は一度置かれたのではなく、複数地点へ移されたとされる
起訴状などによると、安達被告は3月23日の殺害後から24日にかけて、遺体を車で運び、市内3カ所へ移したとされる。最終的に遺体が見つかった山林へ遺棄したのは3月29日と起訴内容に記載された。
集英社オンラインは、捜査側が遺体を計4地点に移したとみていることや、安達被告が「捜索が及ぶ可能性があった」という趣旨の供述をしたと報じている。ただし、遺体移動の具体的な目的や各地点を選んだ理由は、これから公判で検討される部分を含む。
5月6日、府警は公衆トイレで殺害した疑いで再逮捕
京都府警は5月6日、安達被告を殺人容疑で再逮捕した。再逮捕容疑は3月23日朝、学校から自宅方向へ戻る途中にある駐車場の公衆トイレ内で、結希さんの首を絞めるなどして殺害したというものだった。
府警発表では、安達被告は「両手で首を絞めて殺した」と容疑を認めていたとされる。起訴状では殺害時刻について、3月23日午前8時台の一定の時間帯が示されたと報じられている。供述と起訴状の内容は、裁判所の認定前であることを明確にして読む必要がある。
「言動に腹が立った」という供述は、確定した動機ではない
捜査関係者による取材報道では、安達被告が結希さんから「父親じゃない」といった趣旨のことを言われ、腹を立てたと説明したとされる。5月28日の起訴を伝えた共同通信系記事も、この供述が公判でどのように扱われるかが焦点になるとした。
ただし、本人が捜査段階で語った理由を、そのまま事件の動機として確定することはできない。殺意が生じた時点、場所を探した経過、衝動的だったのかといった点は、検察・弁護側の主張と証拠を経て裁判所が判断する事項になる。
通学用リュックや靴の配置も、遺棄行為の一部として捜査された
結希さんのリュックや靴は、遺体の発見場所とは異なる場所から見つかった。集英社オンラインは、捜査側がこうした所持品の配置について、捜索を別方向へ向ける行動だった可能性を調べたと報じている。
しかし、所持品を置いた具体的な意図について確定判決はまだない。記事では「捜査をかく乱するために置いた」と言い切るのではなく、捜査機関がその可能性を含めて経緯を調べてきた、という法的段階にとどめる必要がある。
5月28日、京都地検が殺人と死体遺棄で起訴
京都地検は5月28日、安達被告を殺人と死体遺棄の罪で起訴した。起訴状などでは、3月23日に南丹市内の公衆トイレで結希さんを窒息死させ、その後遺体を移動させ、3月29日に山林へ遺棄したとされる。
起訴は「検察が有罪立証を求めて裁判に付した」段階だ。安達被告は刑事被告人になったが、有罪が確定したわけではない。事件発生から逮捕までの報道で用いられた「容疑者」と、起訴後の「被告」は法的状態が異なる。
2026年8月時点、公判で何が争われるかはまだ確定していない
2026年8月には、捜索時の警察と安達被告の行動を振り返る追加報道も出た。ただし、8月26日時点で初公判や判決が出たことを示す信頼できる公開情報は確認できない。記事を「養父が殺害した事件」と確定判決のように結ぶ段階ではない。
公判では、起訴された殺害・遺棄の具体的経過、供述の信用性、殺意の形成、遺体や所持品を複数地点へ移した理由などが証拠に照らして扱われる可能性がある。実際に何が争点になるかは、公判での主張を待つ必要がある。
事件の記録で重要なのは、捜査段階と裁判段階を混ぜないこと
結希さんが3月23日に姿を消し、4月13日に遺体で見つかったこと、安達被告が4月16日に死体遺棄容疑で逮捕、5月6日に殺人容疑で再逮捕され、5月28日に殺人・死体遺棄で起訴されたことは確認できる。
一方、捜査段階の供述や「かく乱目的だった」とする見方は、まだ裁判所の確定認定ではない。被害児童の死を扱う記事だからこそ、強い言葉で筋書きを完成させるより、現時点でどこまでが起訴事実で、どこからが今後の司法判断なのかを残す必要がある。
公開捜査は3週間続き、延べ約1000人規模の捜索になった
結希さんの行方が分からなくなった後、府警は3月25日に顔写真や服装などを公表し、情報提供を求めた。警察、消防、地域関係者らによる捜索は学校周辺や河川、山林へ広がり、4月中旬までに延べ約1000人規模になったと複数の報道が伝えている。
それでも、学校へ向かったという当初説明だけでは足取りをつかめなかった。リュック、靴、遺体がそれぞれ異なる地点で見つかったことに加え、養父側の端末の行動履歴が捜索場所を絞る材料になった。人海戦術だけではなく、デジタル情報との照合が発見へつながった点が捜査経過の重要な部分になる。
「父親」と報じられても、結希さんとの関係は養父だった
速報記事では安達被告を「父親」と表記する媒体も多かったが、結希さんの母親との結婚を機に養父となった人物だと報じられている。事件記事で家族関係を正確に残すなら、「父親」という一般表現だけではなく、初出時に養父であることを示す方が誤解が少ない。
また、家族関係そのものを事件原因とみなす根拠はない。結希さんとの関係性について周辺証言や週刊誌報道は存在するが、刑事責任の核心は起訴された殺人・死体遺棄が証拠によって立証されるかどうかにある。家庭内の印象や後付けの人物評価を、犯行理由の証明として置くべきではない。
死体遺棄の処分保留から、殺人と合わせた起訴へ進んだ
5月6日に殺人容疑で再逮捕された時点で、先に逮捕されていた死体遺棄容疑は京都地検が処分保留としていた。その後、地検は殺人容疑の勾留期限に合わせ、5月28日に殺人と死体遺棄の両方を起訴した。二つの容疑が別々の逮捕手続を経て、最終的に一つの刑事裁判で審理される形になった。
この経過は、逮捕された容疑がそのまま直ちに起訴されたわけではないことを示す。死体遺棄で逮捕、処分保留、殺人で再逮捕、両罪で起訴という順番を残すことで、捜査段階と検察判断を混同せずに事件の進行を追える。
参考資料・出典
- 神戸新聞NEXT「京都男児殺害疑い父再逮捕 公衆トイレで『首絞めた』」
- 神戸新聞NEXT「京都男児殺害事件で父を起訴」
- スポニチ「京都男児遺棄疑い、37歳の父親逮捕」
- スポニチ「行方不明男児、山中に靴」
- ITmedia NEWS/産経新聞「スマホ行動履歴を分析、捜索範囲絞り遺体発見」
- 集英社オンライン「京都小6殺害、起訴内容と遺体移動」
- 文春オンライン「京都11歳男児殺人、捜索の経過」
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