寝屋川市中1男女殺害事件|平田奈津美さん・星野凌斗さん殺害と控訴取下げで確定した死刑

公開日 2026年2月4日
最終更新 2026年8月28日
カテゴリー 2010年代 死刑

事件ステータス

発生年月日
2015年
都道府県
大阪府
最終刑・処分
死刑

2015年8月13日深夜、大阪府高槻市の駐車場で、中学1年の平田奈津美さん(13)の遺体が見つかった。平田さんと一緒に行動していた同級生の星野凌斗さん(12)も行方が分からなくなっており、8日後、柏原市の山中で遺体となって発見された。

大阪府警は寝屋川市駅周辺や道路、店舗などの防犯カメラ映像をつなぎ、一台の車の動きを追った。捜査線上に浮上した山田浩二は2人の殺人罪で起訴され、2018年12月、大阪地裁で死刑判決を受けた。控訴審は本案を審理しないまま、本人が提出した控訴取下書の効力をめぐる手続へ移り、2021年に一審死刑が確定した。

事件名寝屋川市中1男女殺害事件
発生日2015年8月13日
主な場所大阪府寝屋川市、高槻市、柏原市
被害者平田奈津美さん(13)、星野凌斗さん(12)
被告人山田浩二(後に姓変更)
一審2018年12月19日・大阪地裁、死刑
控訴弁護人・本人が控訴後、本人が取下書を提出
最終手続2021年8月25日・最高裁第三小法廷が弁護側の特別抗告を棄却
法的結末大阪地裁の死刑判決が確定

深夜の寝屋川市駅周辺に残された2人の映像

8月12日夜から13日早朝にかけて、平田さんと星野さんは京阪寝屋川市駅周辺で一緒に行動していた。商店街などの防犯カメラには2人が歩く姿が残され、午前5時ごろを最後に映像上の足取りが途絶えた。

2人が行方不明になった後、警察は駅周辺だけでなく、幹線道路、店舗、駐車場などに残された映像を集めた。事件当時の人の動きと車の移動を時刻順につなげる作業が、その後の容疑者特定につながっていく。

高槻市の駐車場で平田奈津美さんが発見された

13日午後11時すぎ、高槻市番田の物流施設駐車場で平田さんの遺体が発見された。身元が判明したことで、同じ時間帯から行方不明になっていた星野さんの捜索も急速に進んだ。

平田さんの遺体には粘着テープが巻かれ、複数の傷があった。裁判では死因と殺意が争われたが、大阪地裁は頸部への強い圧迫による窒息死と認定し、傷害致死にとどまるという弁護側の主張を退けた。

防犯カメラが一台の車の動きをつないだ

捜査の大きな軸になったのが防犯カメラだった。寝屋川市駅周辺で2人の姿が途絶えた時間帯に、後に山田の使用車両と特定される車が周辺を走行していた。高槻市の遺体遺棄現場付近でも、不審な車の出入りが記録されていた。

警察は車両の特徴、走行方向、通過時刻を照合し、山田の行動を追跡した。店舗の記録や携帯電話関連の情報、車内から得られた資料も組み合わされ、2人が山田の車に乗ったことを示す状況証拠が積み上げられた。

8月21日、星野凌斗さんの遺体を柏原市で発見

警察は8月21日、山田の車を追跡し、山田が立ち寄った柏原市の竹林周辺を捜索した。同日、星野さんの遺体が見つかり、平田さんに続いて2人目の被害が確認された。

山田は当初、平田さんの死体遺棄容疑で逮捕された。その後の捜査で2人の死亡経過が検討され、殺人罪で起訴された。直接の目撃者がいない中、遺体の所見、防犯カメラ、車両、通信記録、山田の行動などが裁判で詳細に検討されることになった。

裁判では2人への殺意と責任能力が争われた

大阪地裁の裁判員裁判で、山田は2人を殺すつもりはなかったと主張した。弁護側は平田さんについて傷害致死にとどまるとし、星野さんについては急な体調不良などで死亡した可能性を挙げ、殺人罪の成立を争った。平田さんへの犯行時の責任能力も争点となった。

検察側は、2人とも頸部を強く圧迫されて窒息死したと主張した。大阪地裁は遺体の所見などから、急所である首を強く圧迫し続けた行為には殺意があったと判断した。星野さんについても、健康状態などから突然死の可能性を退け、山田による殺害を認定した。

大阪地裁が2人の殺人を認定し死刑判決

2018年12月19日、大阪地裁は山田に求刑通り死刑を言い渡した。裁判所は、2人への殺意と完全責任能力を認め、未成年の2人の生命を奪った結果を重く評価した。

判決は計画性が強い事件とは認定しなかった一方、2人を相次いで死亡させた結果、犯行後の遺棄、山田の犯罪傾向などを総合して死刑を選択した。弁護側は判決当日に控訴し、山田本人も後に控訴した。

2019年、本人が最初の控訴取下書を提出

控訴審が始まる前の2019年5月18日、山田は自ら控訴を取り下げる書面を提出した。取下げが有効なら、大阪地裁の死刑判決がそのまま確定する。弁護人は、山田の精神状態や意思決定の経過に問題があったとして、取下げは無効だと主張した。

大阪高裁は同年12月17日、最初の取下げを無効とし、控訴審手続を再開・続行する決定を出した。検察側はこれを不服として手続を取り、最高裁にも特別抗告した。

2020年2月、最高裁は検察側の特別抗告を手続上棄却

最高裁第三小法廷は2020年2月25日、検察側の特別抗告を棄却した。ただし、この決定は山田の取下げが最終的に有効か無効かを決着させたものではない。高裁が取下げを無効とする決定をした場合、その決定にはまず高裁への異議申立てが可能であり、直ちに最高裁へ特別抗告することはできないという手続上の判断だった。

その後、大阪高裁の別の合議体は、最初の無効決定を取り消し、改めて取下げの効力を審理させた。死刑判決そのものの事実認定や量刑ではなく、本人の訴訟行為が有効かどうかが長く争われる異例の展開となった。

山田は2020年3月に再び控訴を取り下げた

最初の取下げをめぐる手続が続く中、山田は2020年3月24日、再び控訴取下書を提出した。弁護人は2回目についても無効を主張したが、大阪高裁は同年11月26日、山田が取下げによって死刑が確定することを理解した上で提出したとして、有効とする決定を出した。

弁護側は異議を申し立てたが、大阪高裁は2021年3月22日に棄却。弁護側は最高裁へ特別抗告し、控訴取下げの効力をめぐる手続は最終段階へ進んだ。

2021年8月、控訴取下げが有効となり一審死刑が確定

最高裁第三小法廷は2021年8月25日、弁護側の特別抗告を棄却した。これにより控訴取下げは有効となり、2018年12月の大阪地裁死刑判決が確定した。

本件では大阪高裁が殺人の事実認定や死刑の量刑を改めて判断したわけではない。最高裁も殺人罪の有罪・無罪を上告審として審理したのではなく、控訴取下げをめぐる手続に最終判断を示した。最終的に残った実体判断は大阪地裁の裁判員裁判判決だった。

2026年8月時点で死刑は未執行

死刑確定後も、山田は確定死刑囚として収容されている。収容中の結婚などにより姓を変更した時期があり、報道や資料によって氏名表記が異なるが、事件当時と一審判決時には山田浩二の名で広く報じられた。

2026年8月27日時点で、山田に対する死刑執行は公表されていない。事件発生から11年、一審判決からは7年以上が経過している。

13日昼、遺棄現場近くで粘着テープを購入

捜査では、山田が8月13日昼ごろ、後に星野さんの遺体が見つかる地域に近い店舗で粘着テープを購入していたことも確認された。防犯カメラには購入時の姿が記録され、遺体に使われたものと同種のテープとの関連が調べられた。

この記録は、それだけで殺人を証明するものではないが、山田の移動、防犯カメラに映った車、遺体の遺棄場所、車内の資料と組み合わせることで重要な状況証拠となった。事件では一つの決定的映像ではなく、複数地点の記録が時間軸の上で重なっていった。

星野さんについて弁護側は「突然死」の可能性を主張

星野さんの殺害については、平田さん以上に直接的な証拠が乏しい点が争われた。弁護側は、星野さんが熱中症など何らかの体調不良によって死亡した可能性を挙げ、山田が殺害したとは断定できないと主張した。

大阪地裁は、事件直前まで健康上の重大な問題が確認されていなかったことや遺体所見などから、自然な突然死の可能性を退けた。2人とも頸部圧迫によって死亡し、山田が殺意をもって行為に及んだと認定した。

一審は計画性の弱さも認めた上で死刑を選択

大阪地裁は、当初から2人を殺害する周到な計画があった事件とは評価していない。死刑判断では計画性の程度も検討されたが、被害者が12歳と13歳の中学生であること、2人を死亡させた結果、犯行後の遺棄や隠蔽行動、過去の犯罪からみた犯罪傾向などを重く見た。

死刑判決後、通常であれば大阪高裁が事実認定と量刑を改めて審理する。しかし本件では、本人による控訴取下げが繰り返され、その効力をめぐる手続が続いたため、控訴審の本案判決は出なかった。

1回目の取下げをめぐり高裁内でも判断が分かれた

2019年12月、大阪高裁の合議体は1回目の控訴取下げを無効とし、審理を続ける決定を出した。検察側は異議を申し立てると同時に最高裁へ特別抗告したが、最高裁は2020年2月、まず高裁内の異議手続を用いるべきだとして特別抗告を棄却した。

その後、大阪高裁の別の合議体が無効決定を取り消し、審理を差し戻した。死刑事件で被告人本人の取下げ意思をどこまで尊重するか、取下げ時に結果を理解する能力があったかが繰り返し検討された。

2度目の取下げで争点は本人の理解能力へ

山田は2020年3月24日に2度目の取下書を提出した。大阪高裁は同年11月、取下げによって死刑が確定することを明確に理解していたと判断し、有効とした。弁護側は、取下げ直後に後悔や撤回の意思を示したことなどを踏まえ、なお無効だと争った。

2021年3月に大阪高裁が弁護側の異議を棄却し、最高裁も同年8月25日に特別抗告を棄却したことで手続は終了した。控訴審で本案の判決が出なかったため、一審の大阪地裁判決がそのまま確定判決となった。

参考資料・出典

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