大和連続主婦強盗殺人事件|庄子幸一の死刑と共犯者の無期、2019年執行まで

公開日 2026年3月4日
最終更新 2026年8月28日

事件ステータス

発生年月日
2001年
都道府県
神奈川県
事件分類
強盗・監禁・暴行事件 / 性犯罪
司法状況
確定

2001年8月28日と9月19日、神奈川県大和市で54歳と42歳の女性が相次いで襲われ、金品を奪われたうえ死亡した。最高裁が後に認定したのは、庄子幸一が共犯女性と役割を分担し、当初から性暴力、強盗、殺害までを含む計画を立てて実行したという事実だった。

一審の横浜地裁は庄子に死刑、共犯女性には無期懲役を言い渡した。同じ2件に関与しながら量刑が分かれ、庄子については最高裁が2007年11月6日に上告を棄却。死刑は同年12月5日に確定し、約11年8か月後の2019年8月2日に執行されている。

発生日2001年8月28日、9月19日
場所神奈川県大和市
被害者54歳女性、42歳女性
被告人庄子幸一、共犯女性
逮捕2001年9月26日(庄子)
一審2003年4月30日・横浜地裁 庄子に死刑、共犯女性に無期懲役
控訴審2004年9月7日・東京高裁 各一審判断を維持
最高裁2007年11月6日・庄子の上告棄却
死刑確定2007年12月5日
死刑執行2019年8月2日・東京拘置所

2件の前に、庄子は別の60歳女性を襲っていた

最高裁判決は、大和市の2件だけでなく、その前に庄子が単独で起こした別事件も量刑判断の対象としている。庄子は当時60歳の知人女性宅へ侵入し、女性に性暴力を加えて負傷させ、現金約12万円とキャッシュカード2枚を奪った。さらに、そのカードを使って現金425万円を引き出したと認定された。

この前件は死亡事件ではないが、最高裁は庄子に同種の強盗・性犯罪による懲役前科があることと合わせ、「この種犯行の常習性」を重くみた。後の2件だけを切り離すと、死刑判断で前科と先行事件がどのように評価されたのかが見えにくくなる。

先行事件で奪われた現金は約12万円だったが、キャッシュカードによる引き出しは425万円に達した。最高裁がこの事件を付言で詳しく示したのは、単なる周辺犯罪としてではなく、庄子の金銭目的と女性を狙う同種犯罪の反復を判断する材料になったためである。

8月28日、54歳女性への犯行は最初から殺害まで計画されていた

8月28日の事件について、最高裁は庄子と共犯者が54歳女性に性暴力を加え、殺害して金品を奪うことをあらかじめ企てたと認定している。女性宅で暴行を加えて性暴力を試みたものの遂げられず、その後、女性を殺害した。

二人は現金約23万円、キャッシュカード3枚などが入ったリュックサックを奪い、カードを使ってATMから40万9000円を引き出した。単に侵入後の成り行きで死亡結果が生じた事件ではなく、最高裁は「当初から」強盗・性暴力・殺害を遂行する確定的な意思があったと明示している。

この認定は量刑だけでなく、事件の性格を理解するうえでも重要である。現場で予想外の抵抗を受け、その場で殺意が生じたという構造ではなく、標的となる女性を決め、共犯者との役割を定め、金品奪取まで含めて準備した計画犯罪として司法判断が確定した。

9月19日、42歳女性も同じ計画のもとで標的になった

約3週間後の9月19日、庄子らは42歳女性についても、性暴力を加えたうえで殺害し、金品を奪うことを計画して住宅へ入った。女性を拘束して性暴力を加え、殺害した後、現金6万円と通帳などを奪ったと最高裁は認定した。

二つの死亡事件は、同じ大和市内で約3週間のうちに連続した。最高裁は被害者に落ち度がないこと、役割分担を決めて準備したこと、性的欲求と金銭的欲求を満たす目的だったこと、結果として二つの家庭から家族を奪ったことを量刑上の重要事情に挙げた。

最高裁判決は被害女性を氏名ではなく年齢で記載し、二人がそれぞれ妻、母として家族にとってかけがえのない存在だったことに触れている。判決が重くみたのは、死亡者数だけではない。何の落ち度もない二人を計画的に標的とし、家庭生活そのものを失わせた被害結果だった。

裁判所が認定した動機は「祈祷師のお告げ」だけではない

この事件は、庄子が公判で祈祷師の言葉を持ち出したことから、「お告げを信じて殺人をした事件」と紹介されることがある。当時報道を整理した記録でも、庄子は「5人殺せば幸せになれる」という趣旨の説明を弁護人にしたとされる。

しかし、これは庄子側が述べた説明と、裁判所が確定した動機を同一視できるという意味ではない。最高裁は2件について、金品を奪う目的を含む確定的な計画と役割分担を認定し、動機・経緯には酌量の余地がないと判断した。したがって「祈祷師のお告げが司法上の確定動機だった」と一本化するのは正確ではない。

庄子は一審公判で起訴事実を認めながら、犯行は自分一人で行った、殺人自体が目的で強盗が主目的ではなかった、という趣旨の主張もしていた。これに対し確定判決は共謀、金品奪取、役割分担を認定しており、「本人がそう語った」ことと「裁判所が事実として認定した」ことの間には明確な差がある。

弁護側は責任能力についても、犯行当時は心神耗弱だったとして死刑回避を求めたと報じられている。しかしこの主張は退けられた。周到な準備や連続性を認めた裁判判断と合わせると、祈祷師に関する説明だけを取り出して、正常な判断能力を欠いた状態だったと結論づけることはできない。

2003年4月、一審は庄子に死刑、共犯女性に無期懲役

横浜地裁は2003年4月30日、庄子に死刑を言い渡した。一方、同じ2件の共犯として裁かれた女性には無期懲役が言い渡されている。検察は共犯女性についても死刑を求めていたが、一審は庄子と同じ量刑を選ばなかった。

共犯事件では、被害結果が同じであっても、各被告人の役割、主導性、直接の実行行為、前科、犯行に至る経緯などが個別に評価される。この事件でも庄子には先行する強盗・性犯罪と同種前科があり、最高裁はそれらを死刑判断の中で明示的に取り上げている。

2004年9月、東京高裁も庄子の死刑を維持した

東京高裁は2004年9月7日、庄子について一審の死刑判断を維持した。共犯女性についても一審の無期懲役が維持され、その後、この共犯者の無期懲役刑は確定している。

庄子側は責任能力や量刑などを争って上告した。最高裁の公開判決によれば、弁護側の主張のうち、死刑制度の違憲性に関する主張は従来判例に照らして退けられ、その他は法令違反、事実誤認、量刑不当などの主張として整理された。

最高裁は、これらが適法な上告理由に当たらないとしただけで審理を終えたわけではない。記録を調べ、刑事訴訟法411条によって原判決を破棄すべき事情もないとした上で、量刑について付言し、死刑を維持する理由を具体的に示している。

最高裁は「共犯者が無期」でも庄子の死刑を是認した

2007年11月6日、最高裁第三小法廷は庄子の上告を棄却した。判決は、大和市の2件が確定的な犯意のもとで役割分担と準備を行った計画犯罪であること、約3週間の短期間に連続していること、庄子自身の先行事件と同種前科があることを重視した。

一方で、最高裁は庄子が一部についておおむね事実を認め、反省の態度を示していることや、共犯者に無期懲役刑が確定していることも有利な事情として検討した。それでも刑事責任は極めて重く、原判決が維持した死刑を是認せざるを得ないと結論づけている。

判決がこの有利な事情を明記していることは、死刑という結論だけを見るより重要である。反省や共犯者との均衡は量刑材料として実際に検討されたが、計画性、被害者2人の死亡、短期間の反復、先行事件、同種前科という事情を総合すると、死刑回避には足りないという判断だった。

「共犯者が無期だから庄子も無期」とはならなかった理由

量刑差を理解する上で重要なのは、最高裁が共犯者の無期懲役を見落としていたわけではない点である。判決はその事情を明記したうえで、庄子については二つの死亡事件での関与に加え、単独で起こした60歳女性への強盗・性犯罪、同種前科、連続性などを総合した。

そのため、共犯女性の刑が無期懲役で確定していることは庄子に有利な一事情ではあったものの、死刑を回避させる決定的要素にはならなかった。共同犯であることと、各人の刑事責任が同一であることは別問題だという量刑判断が表れている。

死刑は2007年12月5日に確定した

最高裁の上告棄却判決日は2007年11月6日だが、法務大臣の2019年8月2日の臨時記者会見では、庄子の死刑判決が確定した日は同年12月5日と説明されている。「最高裁判決日」と「死刑確定日」は同一ではないため、本稿では区別して記載する。

この区別は、事件記事で法的手続を追うときに重要になる。最高裁が上告を棄却したという事実だけで、その日を直ちに「確定日」と置き換えると、判決訂正申立てなど上告審後の手続を無視した日付になることがある。

2019年8月2日、東京拘置所で死刑執行

死刑確定から約11年8か月後の2019年8月2日、庄子の死刑が東京拘置所で執行された。法務大臣会見は、庄子が共犯者とともに2人の女性に対する強盗・性犯罪・殺害を確定的な意思のもとで計画し、役割を分担して実行した事件として犯罪事実を説明している。

山下貴司法務大臣は、執行命令に署名した日を2019年7月31日と明らかにした。会見では、関係記録を審査し、刑の執行停止事由や再審事由の有無など、執行を妨げる事情がないか検討した上で命令したと説明している。

同日の会見では、個々の死刑確定者について再審請求の有無を公表するかとの質問も出た。法務大臣は、再審請求の有無や内容は個人のプライバシーに関わるとして、個別の回答を控えた。CrimeInfoは報道をもとに庄子が再審請求中に執行されたと整理しており、ここは法務省の公表範囲と報道情報を分けて読む必要がある。

「祈祷師」「共犯者との量刑差」「執行」まで分けて見る

大和連続主婦強盗殺人事件は、2人が死亡したという結果だけでなく、庄子側が語った動機説明と裁判所認定の違い、共犯者との量刑差、最高裁が死刑を維持した理由、確定から執行までの経過を分けて確認することで全体像が見える。

確認できる司法判断の中心は、二つの事件が当初から強盗・性暴力・殺害を含む計画として準備され、短期間に反復されたという認定である。共犯者が無期懲役で確定していても、庄子自身の役割、先行犯罪、同種前科まで含めた責任評価は別に行われた。

参考資料・出典

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