江戸川18歳女性殺害事件|野本結梨香さんを交際相手が殺害・山梨の山林に遺棄し懲役22年

公開日 2026年3月18日
最終更新 2026年7月31日
カテゴリー 2020年代 有期刑 殺人事件

江戸川18歳女性殺害事件は、2023年6月、東京都江戸川区に住む会社員・野本結梨香さん(当時18歳)が殺害され、遺体を山梨県小菅村の山林へ遺棄された事件である。渥美は裁判で死体遺棄などを認める一方、殺人については無罪を主張した。しかし東京地裁は2026年3月16日、渥美が野本さんを刃物で刺して殺害したと認定し、懲役22年を言い渡した。検察側の求刑は懲役25年だった。

POINT
この記事でわかること
  • 18歳の野本結梨香さんが2023年6月に消息を絶った経緯
  • 交際相手・渥美遼馬と野本さんの関係悪化をめぐる裁判上の認定
  • 山梨県小菅村への遺体遺棄と数か月続いた生存偽装 殺人無罪主張を退け、2026年に懲役22年とした東京地裁判決

江戸川18歳女性殺害事件の概要

事件名江戸川18歳女性殺害事件
被害野本結梨香さん(当時18歳)
被告人等渥美遼馬
裁判・捜査状況殺人、死体遺棄、横領、電子計算機使用詐欺など殺人の認否渥美被告は無罪を主張/2026年3月16日、東京地裁が懲役22年現在の状況現在も一審の懲役22年判決が公表されている
現在の状況江戸川18歳女性殺害事件は、2023年6月、東京都江戸川区に住む会社員・野本結梨香さん(当時18歳)が殺害され、遺体を山梨県小菅村の山林へ遺棄された事件である。渥美は裁判で死体遺棄などを認める一方、殺人については無罪を主張した。しかし東京地裁は2026年3月16日、渥美が野本さんを刃物で刺して殺害したと認定し、懲役22年を言い渡した。検察側の求刑は懲役25年だった。

18歳の野本結梨香さんが2023年6月に消息を絶った経緯

高校卒業後は働いており、報道や公判取材では、高校時代からアルバイトをしていた職場で卒業後に正社員となったことが伝えられている。野本さんを知る人物は、男女を問わず友人と接することができ、学校行事にも真面目に取り組む女性だったという趣旨の人物像を語っている。

野本さんと渥美遼馬の間には10歳以上の年齢差があった。事件当時、渥美は既婚者でしたが、野本さんと交際関係にあったと裁判報道で明らかにされている。

2023年春ごろから交際|5月には関係が悪化

2026年の裁判で検察側が示した事件像では、野本さんと渥美は2023年3月ごろから交際していた。しかし同年5月ごろには関係が悪化する。検察側は、野本さんが友人や職場関係者に、渥美からの連絡を無視していることや、別れ話をしていることなどを相談していたと主張した。

渥美側から長文のメッセージが送られる一方、野本さんからの返信がない状況もあったとされている。裁判では、この交際関係の悪化と別れをめぐる状況が、殺害動機を判断する重要な背景となった。ただし、交際関係が悪化したという事情だけで殺人を立証できるわけではない。東京地裁は、車内の血痕、動画、被告の行動、遺棄状況、生存偽装など複数の証拠を総合して判断している。

6月7日夜、野本さんは連絡を受けて外出

野本さんが消息を絶ったのは2023年6月7日ごろだった。報道によると、午後7時ごろに連絡を受けて外出したとされている。裁判で検察側は、渥美が「出張へ行く前に金を返したい」という趣旨の連絡をして野本さんと会う約束をしたと説明した。2人は千葉県市川市のラーメン店で食事をした。その後、駐車場を出発した時点が、野本さんの生存を確認できる最後の状況になったとされている。

野本さんはそのまま自宅へ戻らなかった。ところが家族や周囲は、直ちに「すでに殺害されている」と知ることができなかった。事件後、本人のスマートフォンを使った長期的な偽装工作が行われたためである。

乗用車内で胸部を刺して殺害したと東京地裁が認定

2026年3月16日の東京地裁判決は、渥美が2023年6月7日ごろ、東京都内またはその周辺に駐車していた乗用車内で野本さんを殺害したと認定した。裁判報道によると、判決はペティナイフを胸部へ突き刺したと認定している。検察側は論告で、胸部に刃物を深く刺した行為から強固な殺意があったと主張した。

遺体は発見時に白骨化が進んでおり、凶器も発見されていなかった。そのため殺人罪の審理では、典型的な「凶器があり、直接目撃者がいる事件」とは異なる証拠評価が必要になった。一方、遺棄現場で見つかった下着には刃物によるものとみられる損傷があり、裁判所は血痕や動画、事件後の行動なども検討した。

最終的に東京地裁は、渥美の行為によって野本さんが死亡したと認定し、殺人罪の成立を認めた。

スマートフォンには血の付いた野本さんの動画が残っていた

殺人罪をめぐる裁判で重要な証拠の一つとなったのが、渥美被告のスマートフォンに残されていた動画である。検察側によると、車内で血の付いた衣服を着た野本さんが映る動画が保存されていた。裁判では動画の撮影時刻や設定も問題となった。渥美側は別の男が刺したという事件像を主張しましたが、裁判所は動画撮影時の状況などを検討し、その説明を信用しなかった。

さらに、渥美が野本さんの呼吸や傷を確認して救命措置を取るのではなく、動画を撮影していたことも判断材料となった。東京地裁は、死亡に至る核心部分について渥美側が具体的かつ合理的な説明をできていないと判断した。

高校時代の同級生を呼び出し、遺体を山梨県小菅村へ

野本さんの死亡後、渥美は高校時代の同級生だった男とともに遺体を運んだとされている。同級生は報道で堀俊哉とされ、渥美とは同じ高校の同学年だった。裁判で示された事件像では、遺体はブルーシートなどで包まれ、車で山梨県北都留郡小菅村まで運ばれた。

そして人目につきにくい山林へ遺棄される。渥美は後の捜査で、山奥まで遺体を運んで遺棄したこと自体は認めた。高校時代の同級生だった男についても死体遺棄事件で刑事責任が問われ、有罪が確定したと報じられている。

殺害後も野本さんになりすまして連絡を続けた

本件で特に悪質と評価されたのが、長期間にわたる生存偽装である。野本さんは6月に自宅へ戻らなくなりましたが、その後も本人の通信アプリでは既読が付いたり、返信が送られたりしていた。裁判報道によると、殺害翌日には野本さんのスマートフォンから勤務先へ「仕事を休む」という趣旨の連絡が送られた。

その後も家族や友人らに連絡が続き、10月下旬ごろまで野本さんが生きているように見える状態がつくられていた。しかし、実際には野本さんはすでに死亡し、山梨県の山林へ遺棄されていたと東京地裁は認定している。この偽装工作により、家族は娘の死亡を知らないまま数か月を過ごした。検察側は、生存を装った一連の行為を事件後の悪質性を示す事情として指摘した。

11月に父親が行方不明者届|捜査が大きく動く

野本さん本人からの返信が途絶えた後、2023年11月、父親が警察へ行方不明者届を提出した。警視庁が捜査を進めると、野本さんの関係者として交際相手の渥美と、高校時代の同級生だった男が浮上する。同級生の供述などを基に山梨県小菅村の山林が捜索され、野本さんの遺体が発見された。遺体は長期間屋外に置かれていたため、白骨化が進んでいた。

数か月にわたって「生きている」と思わせる連絡が続いた一方、実際の遺体は遠く離れた山林に残されていたことになる。

2023年11月28日、死体遺棄事件で同級生の男を逮捕

2023年11月28日、警視庁捜査第一課は、野本さんの遺体を山梨県の山林へ遺棄した疑いで、当時30歳の男を逮捕した。報道では、この男は堀俊哉とされ、千葉県八千代市に住み、渥美とは高校時代の同級生だった。捜査は遺体を運搬した経緯を追い、その中心人物として交際相手の渥美へ広がる。

渥美は当時、別事件ですでに身柄を拘束されていた。警察は車両や関係場所を調べ、野本さんのものとみられる血痕などを捜査した。

2023年12月1日、交際相手の渥美遼馬を死体遺棄容疑で逮捕

2023年12月1日、警視庁は渥美遼馬を死体遺棄容疑で逮捕した。当時31歳だった。渥美は遺棄について、自分が野本さんの遺体を山奥まで運んだことを認める趣旨の供述をしたと報じられている。しかし、この段階で法的に確定していたのは「遺体を遺棄した疑い」である。死体遺棄への関与と、誰が野本さんを殺害したかは別の問題だった。

警視庁は、血痕、車両、スマートフォン、交際関係、事件後の通信状況などを調べ、殺人事件として捜査を続けた。

2024年1月26日、殺人容疑で再逮捕

捜査の結果、警視庁は2024年1月26日、渥美を野本さんに対する殺人容疑で再逮捕した。当初の取り調べでは、野本さんを刺したことをほのめかす趣旨の供述があったと報じられている。一方、殺人容疑での再逮捕後は、殺害について供述を控える姿勢を示した。その後、刑事裁判では殺人罪そのものを争い、自分は野本さんを殺していないという無罪主張へ進む。

逮捕は有罪確定を意味しない。最終的に殺人罪が成立するかどうかは、2026年の裁判員裁判で証拠を基に判断された。

被害者の口座から23万7000円を移した電子計算機使用詐欺

渥美が問われたのは殺人と死体遺棄だけではなかった。裁判報道によると、野本さんのスマートフォンを使用し、被害者名義の預金口座から20回にわたり合計23万7000円を電子決済サービスなどへ移した行為が問題となった。この行為については電子計算機使用詐欺罪が問われた。

さらに、血痕が付着した借用車両を返却せず放置した行為について横領罪も審理対象となった。2026年の裁判で渥美は、死体遺棄など殺人以外の一部罪について起訴内容を認めている。

2026年2月18日初公判|殺人について無罪を主張

2026年2月18日、東京地裁で渥美遼馬被告の裁判員裁判が始まった。最大の争点は明確だった。野本さんを殺害したのは本当に渥美被告なのかという点である。検察側は、交際関係が悪化する中、渥美被告が野本さんを呼び出し、2人きりになった車内で刃物によって殺害したという事件像を示した。

一方、弁護側は全く異なる説明を展開した。高校時代の同級生だった男も車内におり、野本さんが刃物を持ち出した際、その男が止めようとして刺さったという趣旨の主張である。渥美被告側は殺人罪について無罪を求めた。

共犯者関与説を東京地裁は退けた

弁護側の主張では、高校時代の同級生だった男が野本さんの死亡に関わった可能性が示された。しかし東京地裁は、証拠上、その男が殺害へ関与したとは認めなかった。特に問題となったのが、スマートフォン内の動画である。裁判所は撮影時刻などを検討し、渥美側が説明する事件像と整合しないと判断した。

また、瀕死状態にある交際相手の呼吸や傷を確認せず、救命措置も取らないまま別人をかばったという説明は不合理だと評価した。こうして殺人無罪主張は退けられた。

検察は懲役25年を求刑|「強固な殺意」と主張

2026年3月11日、検察側は渥美被告に懲役25年を求刑した。検察側は、胸部へナイフを深く突き刺した行為から強固な殺意があったと指摘した。さらに殺害後、野本さんのスマートフォンを利用して本人になりすまし、長期間にわたって生存を偽装した点も悪質と主張した。

一方、弁護側は殺人について無罪を求め、認めている死体遺棄などについては執行猶予付き判決が相当だと主張した。有罪か無罪かだけでなく、殺人を認定した場合の刑期も裁判員と裁判官が判断することになった。

2026年3月16日、東京地裁が懲役22年判決

2026年3月16日、東京地裁は渥美遼馬被告に懲役22年を言い渡した。求刑は懲役25年だった。判決は、渥美被告の行為によって野本さんが死亡したと認定。殺人罪について無罪とする弁護側の主張を退けた。裁判所は、遺体発見時には白骨化が進み、凶器も見つかっていないという証拠上の難しさを踏まえながら、下着の損傷、血痕、スマートフォン動画、撮影時刻、事件後の行動などを総合した。

そして渥美がペティナイフを突き刺して野本さんを殺害したと認定した。判決では、被害者に落ち度がなく、犯行は身勝手なものと厳しく評価された。

現在|懲役22年の一審判決後の状況

現在も、公に確認できる最新の主要な司法判断は、2026年3月16日の東京地裁による懲役22年判決である。本件は、2023年当時には「18歳女性の死体遺棄事件」として表面化した。しかしその後の捜査と裁判を経て、交際相手による殺人と認定された。一方、現在も、控訴審による新たな判決や上級審の判断は主要な公開情報では確認されていない。そのため、刑の確定を断定せず、東京地裁の一審判決が懲役22年という段階で整理する必要がある。

事件の重大性は、18歳の女性が殺害されたことだけにとどまらない。遺体は県境を越えて山林へ運ばれ、本人のスマートフォンを使って数か月間にわたり生存が装われた。家族は娘がすでに死亡しているとは知らず、返信が来る状況の中で時間を過ごした。野本さんの失踪、山林での遺体発見、殺人容疑での再逮捕、そして殺人無罪主張を退けた懲役22年判決まで、事件の全容解明には約3年を要した。