2024年5月、滋賀県大津市の住宅で、地域の保護司として更生支援に携わっていた新庄博志さん(60)が刃物で殺害された。新庄さんは、自宅で死亡しているのを家族に発見され、警察は面談などで自宅を訪れていた保護観察対象者との関係を調べた。
滋賀県警は、新庄さんが担当していた飯塚紘平を殺人容疑で逮捕し、検察は鑑定留置を経て起訴した。大津地裁は2026年3月、完全責任能力を認めて無期懲役を言い渡した。飯塚側は控訴しており、2026年8月2日現在、判決は確定していない。
| 事件名 | 大津市保護司殺害事件 |
|---|---|
| 発生日 | 2024年5月24日ごろ |
| 発生場所 | 滋賀県大津市の新庄博志さん宅 |
| 被害 | 保護司・新庄博志さん(60)が死亡 |
| 被告人 | 飯塚紘平 |
| 現在の状況 | 一審無期懲役。被告側が控訴中 |
自宅で発見された保護司
5月26日、新庄さんは自宅の一室で倒れているのを家族に発見された。身体には刃物による多数の傷があり、死亡から時間が経過していた。室内の状況から、面識のある人物を迎え入れた後に襲われた可能性が考えられた。
警察は、最後に新庄さんと連絡を取った人物、訪問予定、電話やメッセージ、周辺の防犯映像を確認した。保護司は対象者と自宅で面談することがあり、事件当日も支援活動に関係する面会がなかったかが調べられた。
死亡推定時刻を絞るため、家族が最後に会った時刻、電話の利用、照明や家電の状態が確認された。現場には争った痕跡があり、傷の位置と血痕から、新庄さんが不意に襲われた後も抵抗した可能性が検討された。
無償で更生支援を続けていた新庄さん
保護司は法務大臣から委嘱され、犯罪や非行をした人の社会復帰を地域で支える民間の非常勤公務員である。対象者と面談し、生活、就労、家族関係の相談に乗り、保護観察所へ状況を報告する。
新庄さんは長年、地域活動と保護司の仕事に携わっていた。飯塚が過去の強盗事件で執行猶予付き判決を受け、保護観察となった後、その担当を務めていた。支援関係が続いていたことから、警察は面談記録と両者のやり取りを確認した。
被告人が受けていた保護観察
飯塚は2019年、コンビニエンスストアでの強盗事件により、懲役3年、執行猶予5年、保護観察付きの判決を受けていた。保護観察期間中は、定期的な面談や生活上の指導を受ける立場だった。
保護司は刑を科す裁判官や捜査官ではなく、社会内で再犯を防ぎ生活を整える支援者である。一方、対象者の違反や問題を保護観察所へ伝える役割もあり、本人が監視や不利益と感じることがある。事件では、飯塚が新庄さんへどのような感情を抱いていたかが動機の一部として調べられた。
保護観察付き執行猶予では、決められた事項を守らない場合に執行猶予が取り消される可能性がある。対象者にとって担当保護司の報告が重要になるため、支援と監督の二つの役割が緊張を生む場合がある。
控訴審では、一審が認定した責任能力と無期懲役の量刑が改めて審理される。
防犯映像と刃物所持による捜査
事件前後、新庄さん宅の周辺では飯塚とみられる人物の移動が防犯カメラに記録されていた。警察は訪問時刻、滞在時間、帰宅経路を確認し、携帯電話の位置情報などと照合した。
5月28日、警察は飯塚を別件の銃刀法違反容疑で逮捕した。所持していた刃物や衣服を鑑定し、新庄さんの傷、現場の血痕、微物と結び付くかを調べた。その後、殺人容疑で再逮捕した。
大津地裁は飯塚被告に無期懲役を言い渡したが、被告側が控訴しているため判決は確定していない。
鑑定留置後の殺人罪での起訴
大津地検は2024年11月、飯塚を殺人などの罪で起訴した。起訴後の裁判では実行行為の事実に大きな争いがなく、主に刑事責任能力と量刑が争われた。診断や特性が存在することと、法律上の責任がないことは分けて判断された。
裁判で語られた動機と責任能力
2026年の裁判員裁判で飯塚は起訴内容を認めた。弁護側は、自閉スペクトラム症などの影響により、善悪の判断や行動制御の能力が低下していたと主張した。検察側は、犯行準備や事件後の行動から完全な責任能力があったとした。
裁判では、飯塚が保護観察や新庄さんの指導へ不満を強め、恨みを募らせた経緯が示された。刃物を用意して訪問し、複数回攻撃した後に現場を離れた行動が、計画性と状況理解を示すかが検討された。
飯塚の不満が事実に基づくかではなく、本人がどのように受け止め、どの能力の下で行動したかが責任能力の問題となった。裁判所は鑑定人の意見だけでなく、刃物の準備と訪問方法、事件後の行動を総合して判断した。
大津地裁の無期懲役判決
大津地裁は2026年3月2日、飯塚に完全責任能力があったと認定し、検察の求刑どおり無期懲役を言い渡した。判決は、新庄さんが更生を願って支援していたにもかかわらず、その信頼を利用して自宅で襲った犯行を極めて悪質と評価した。
裁判所は、発達上の特性が行動へ一定の影響を与えた可能性を認めながらも、犯行を決め、刃物を準備し、発覚を避ける行動を取る能力は保たれていたと判断した。死者一人の事件で無期懲役を選んだのは、計画性、攻撃態様、支援関係への背信を重く見たためだった。
一審判決は無差別殺人に近い悪質性があると指摘したが、実際には担当保護司を狙った事件である。比較表現は量刑評価で用いられたもので、事件を無差別殺傷と分類することとは異なる。現在は控訴審の判断を待つ段階にある。
控訴中の現在と保護司制度の見直し
飯塚側は一審判決を不服として2026年3月6日付で控訴した。控訴中であるため、無期懲役はまだ確定判決ではない。
事件後、法務省は保護司が自宅で一人きりで面談する運用や、対象者の危険情報をどこまで共有するかを見直した。面接場所の確保、複数人対応、保護観察官の関与強化などが検討された。
2026年8月4日時点で飯塚被告は控訴中で、無期懲役判決は確定していない。
新庄さんは2024年5月26日、自宅の一室で家族に発見された。身体には刃物による多数の傷があり、警察は家族が最後に姿を確認した時刻、電話やメッセージ、面談予定、住宅周辺の防犯カメラを調べ、事件が起きた時間帯を絞り込んだ。
新庄さんは長年、地域で保護司として活動し、2019年のコンビニ強盗事件で保護観察付き執行猶予判決を受けた飯塚被告を担当していた。定期的な面談を通じて生活や就労を支援する一方、保護観察所へ状況を報告する立場でもあった。
事件2日後の5月28日、警察は飯塚被告を銃刀法違反容疑で逮捕した。所持していた刃物や衣服を鑑定し、新庄さん宅周辺の映像、携帯電話の位置情報、現場の血痕や微物と照合した後、殺人容疑で再逮捕した。
大津地検は鑑定留置で飯塚被告の精神状態を調べ、2024年11月に殺人などの罪で起訴した。2026年の裁判員裁判では飯塚被告が起訴内容を認め、弁護側は自閉スペクトラム症などの影響によって責任能力が低下していたと主張した。
大津地裁は2026年3月2日、刃物を準備して新庄さん宅を訪れ、複数回攻撃した行為から完全責任能力があったと認定した。更生を支援していた新庄さんの信頼を利用した犯行は悪質だとして、検察の求刑どおり無期懲役を言い渡した。
飯塚被告側は同年3月6日付で控訴した。2026年8月4日時点で無期懲役は確定しておらず、控訴審では責任能力の評価と量刑が改めて争われる。事件後、法務省は保護司が自宅で一人きりで面談する運用や危険情報の共有方法を見直している。
裁判では、新庄さん宅へ向かう飯塚被告の姿や事件後の移動、刃物の所持、衣服などの鑑定結果が示された。検察は、保護観察で受けた指導への不満を募らせ、刃物を準備して訪問した計画的な犯行だと主張した。
弁護側は、飯塚被告の発達上の特性が物事の受け止め方や行動の制御へ影響したとして、刑を軽くするよう求めた。大津地裁は特性の影響を一部認めながらも、訪問前の準備と事件後の行動から判断能力は保たれていたとした。
新庄さんの死亡を受け、法務省は保護司が自宅で面談する際の安全確保、対象者に関する危険情報の共有、保護観察官の関与、公共施設などの面談場所の確保について検討を進めた。
新庄さんは保護司として飯塚被告の社会復帰を支えており、事件前にも面談や連絡を重ねていた。裁判では、その関係を利用して自宅へ入った点が、被害者の信頼を裏切る行為として重く評価された。
無期懲役判決後、飯塚被告側は責任能力の評価や量刑を不服として控訴した。大津高裁ではなく大阪高裁が管轄する控訴審で、一審の鑑定評価と犯行前後の行動が改めて検討される。
控訴審の期日は2026年8月4日時点で公表されていない。新庄さんの遺族は一審で意見を述べ、支援を続けた相手に命を奪われた苦しみと厳しい処罰感情を訴えた。
一審で認定された犯行経過と責任能力は、控訴審の判断が出るまで確定していない。
事件後、法務省は自宅面談の安全確保、危険情報の共有、公共施設の面談場所確保など、保護司制度の運用を見直している。
警察は、新庄さんが最後に家族と接した時刻、飯塚被告との面談や連絡、住宅周辺の防犯映像、携帯電話の位置情報を確認した。新庄さんの身体に残った傷と、飯塚被告が所持していた刃物や衣服の鑑定結果も捜査資料となった。
飯塚被告は2019年のコンビニ強盗事件で、懲役3年、執行猶予5年、保護観察付きの判決を受けていた。新庄さんは担当保護司として定期的に面談し、生活や就労について助言していた。
2026年の裁判員裁判で飯塚被告は起訴内容を認めた。検察は保護観察への不満を背景に刃物を準備したと主張し、弁護側は自閉スペクトラム症などの影響による責任能力の低下を訴えた。大津地裁は完全責任能力を認定して無期懲役を言い渡した。
飯塚被告側は2026年3月6日付で控訴し、無期懲役判決は確定していない。
控訴審を待つ段階である。
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