ローソン加賀桑原町店強盗殺人事件|山崎外茂治さん刺殺、かつら・雨具・凶器が残った未解決事件

公開日 2026年6月17日
最終更新 2026年8月28日

事件ステータス

発生年月日
2010年
都道府県
石川県
事件分類
強盗・監禁・暴行事件 / 未解決事件 / 殺人事件
事件状況
未解決

2010年11月3日午前3時前、石川県加賀市桑原町のローソン加賀桑原町店に刃物を持った男が押し入り、店長の山崎外茂治さん(当時68歳)が刺されて死亡した。山崎さんは負傷後、自ら110番通報したと当時報じられている。男は店内に長くとどまらず、車で逃走した。

事件から15年以上が過ぎても、石川県警は男の防犯カメラ画像だけでなく、かつら、長靴、上着、凶器、使用車両まで個別に公開している。2024年には凶器と同型とされる洋包丁の画像も新たに示された。遺留品は多い。それでも、使用者の特定には至っていない。

警察庁は現在も本件を捜査特別報奨金制度の対象としており、2025年12月7日から2026年12月6日まで、被疑者の検挙または事件解決につながる情報に上限300万円を設定している。事件は未解決のまま、大聖寺警察署の捜査本部が情報を受け付けている。

発生2010年11月3日 午前3時前
場所石川県加賀市桑原町・ローソン加賀桑原町店
被害者店長・山崎外茂治さん(当時68歳)
事件類型強盗殺人
主な公開資料防犯映像、かつら、長靴、上着、凶器、使用車両
捜査本部石川県警・大聖寺警察署
捜査特別報奨金上限300万円
現行応募期間2025年12月7日〜2026年12月6日
現在被疑者未検挙・情報提供を継続

午前3時前、店内には山崎外茂治さん一人が勤務していた

当時の主要報道では、山崎さんは前夜から一人で店に入り、商品陳列などをしていた。深夜帯の店内へ、顔や頭部を覆うような格好をした男が刃物を持って入ってきた。防犯カメラには、男が山崎さんへ接近し、カウンター付近でもみ合う様子が記録された。

事件発生から1週間後の新聞記事には「狙われた深夜1人勤務」という見出しも残る。ただし、犯人が山崎さんの勤務状況を事前に把握していたのか、偶然一人の時間帯に入店したのかまでは確定していない。勤務状況は重要な事実だが、計画性を示す証拠とは分けて扱う必要がある。

山崎さんは店長として働く一方、事件前の石川県資料では石川県弓道連盟会長を務めていたことも確認できる。事件1年後や10年後の地元紙には、弓道仲間が解決を願う記事が残された。被害者は「深夜勤務の店員」という一面だけでなく、地域の弓道界でも長く活動していた人物だった。

男は金を要求し、山崎さんとのもみ合いの末に逃走した

当時の報道や後年公開された映像では、男が金銭を求める言葉を発したことが伝えられている。山崎さんは抵抗し、男との間でもみ合いになった。男は山崎さんの胸や腕を刃物で刺したとされ、山崎さんは搬送先で死亡した。

事件名が「強盗殺人」である一方、実際に店から現金を奪ったかどうかは、報道によって説明の仕方に差がある。少なくとも、男が金銭を要求して刃物を使い、その結果として山崎さんが死亡したことを前提に、県警は強盗殺人事件として捜査本部を設置した。

入店から逃走までの時間は短く、防犯カメラに行動が残った

石川県立図書館の新聞記事索引には、事件1カ月後の北陸中日新聞記事として「到着から逃走たった2分」との見出しが残る。別の当時報道では、男が店内にいた時間は約1分とも伝えられており、犯行は短時間のうちに進んだ。

短時間だったことは、何が起きたかを単純にするわけではない。男がどの時点で刃物を出したのか、山崎さんがどのように抵抗したのか、男がどこまで当初の行動を実行できたのか。防犯映像が残っていても、その前後の準備と逃走経路をつなぐには別の証拠が必要だった。

山崎さんは負傷後も通報し、新聞配達員が店を訪れた

事件直後の報道では、山崎さん本人から「包丁で刺された」という110番通報があったとされる。男が立ち去った後、新聞を届けに来た配達員が店を訪れた際にも、山崎さんには受け答えができる状態が残っていたという。

山崎さんは病院へ搬送されたが、約1時間後に死亡したと報じられた。事件の発覚は、犯人が逃げた後に誰かが偶然遺体を見つけたという経過ではなく、被害者自身の通報と直後に店を訪れた人物によって極めて早い段階で始まっていた。

犯人はかつらや雨具で外見を変えていたとみられている

県警の現在の公開ページには、「犯人の特徴」と並んで「犯人がかぶっていたカツラ」「犯人が履いていた長靴等」「犯人の上着」という独立した画像資料がある。防犯映像だけではなく、身に着けていたとみられる物品が捜査資料として長く公開されている。

かつらを使っていたことから、映像に映った髪型を本人の実際の髪型とみなすことはできない。マスクやフードなども重なれば、顔や頭部の特徴から人物を特定する難度は上がる。公開映像を見て外見だけから国籍や職業を推測する根拠もない。

かつらとトラックは、現場から離れた場所で見つかった

事件1週間後の読売新聞記事は「トラック、かつら5キロ圏に」と報じている。2021年には県警が、かつらの発見場所を改めて公表したことも新聞記事になった。犯行現場から逃走経路上へ手掛かりが点在していたことになる。

後年の報道では、青色系のトラックが現場から約4キロ離れた場所で見つかり、かつらも加賀市内で発見されたと伝えられている。こうした遺留品がある一方、誰がそれらを入手し、どの経路で現場へ持ち込み、逃走後にどこへ向かったのかは解明されていない。

2024年、県警は凶器と同型の洋包丁を新たに公開した

事件から14年を前にした2024年10月、県警は犯行に使われた凶器と同型とされる洋包丁の画像を公開した。北陸朝日放送によれば、刃渡りは約20センチで、2008年5月ごろから加賀市内の大手百貨店で数年間販売されていた型だった。

凶器そのものが「どこで買われたか」まで特定されたわけではない。同じ型の商品が一定期間販売されていたという情報は、購入者や譲渡経路を探すための手掛かりであり、特定店舗で犯人本人が購入したことを意味しない。

紺色の雨具は事件翌日に発見され、入手経路も捜査対象になった

2024年の北陸朝日放送は、犯人が着用していたとみられる紺色の雨具が、加賀市中島町の御橋大橋高架下で事件翌日に発見されていたと報じた。県警はこの雨具についても公開し、入手経路などを調べている。

かつら、雨具、長靴、凶器、車両。通常の公開捜査より物品の種類は多いが、個々の物品から直ちに一人の人物へ到達できるとは限らない。量産品であれば流通範囲は広く、時間が経過するほど購入記録や記憶も失われやすい。

延べ6万5000人規模の捜査でも、被疑者の検挙には至っていない

2024年の報道では、県警は事件発生から14年までに延べ約6万5000人の捜査員を投入したとされる。映像と音声、遺留品、逃走車両という複数の手掛かりを検討し続けながらも、被疑者の逮捕には結び付いていない。

未解決の理由を一つの要因へ還元することはできない。変装によって外見情報が限られたこと、夜間の短時間の犯行だったこと、遺留品が量産品を含むことなどは捜査上の条件だが、どの要素が決定的に特定を妨げたかは公表されていない。

捜査特別報奨金は「逮捕につながる情報」だけに限られない

警察庁の2025年12月7日付広告では、本件に関する被疑者の検挙「又は事件の解決」に結び付く情報が報奨金の対象とされている。上限額は300万円で、複数の情報提供者が解決へ寄与した場合には、寄与度に応じて上限額の範囲内で分割して支払われる。

現在の応募期間は2025年12月7日から2026年12月6日まで。匿名で個人を特定できない情報提供者、警察職員、被疑者本人や共犯者などは支払い対象から除外される。報奨金制度は、単なる懸賞ではなく警察庁が定めた要件に基づく制度である。

「外国人を装った」といった推測と、確定した犯人像は分ける必要がある

犯人が金を求める際に使った言葉の発音について、当時の新聞には「外国人を装ったのではないか」とする見方も掲載された。しかし、発音だけで国籍や出身地を確定することはできない。変装と同様、話し方自体が意図的だった可能性も捜査上は考えられる。

逮捕された人物がいない以上、犯人の国籍、年齢、職業、生活圏、山崎さんとの面識の有無はいずれも刑事裁判で認定されていない。公開された映像・音声からもっともらしい人物像を作ることと、証拠で人物を特定することは別の作業になる。

2026年8月現在も、県警は物証を公開し情報を求めている

石川県警の事件情報ページには現在も本件が掲載され、かつら、長靴、上着、凶器、使用車両などの画像が閲覧できる。警察庁の捜査特別報奨金一覧にも対象事件として残っている。

2025年11月1日には、事件15年を前に捜査1課と大聖寺署の捜査員約20人が現場近くの商業施設で情報提供を呼びかけた。共同通信によれば、犯人の等身大ポスターも掲示され、大聖寺署長は当時のわずかな記憶でも知らせてほしいと訴えた。年月の経過後も、県警は公開捜査を縮小せず続けている。

情報提供先は大聖寺警察署の「ローソン加賀桑原町店における強盗殺人事件捜査本部」。山崎さんを刺した人物の逮捕、起訴、有罪判決はない。多くの遺留品が残りながら、そのすべてを一人の被疑者へ結び付ける最後の線が、15年以上たった現在も見つかっていない。

参考資料・出典

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